満員電車の中


普段、車通勤仕事に行く。

職場も少人数。

販売員として働いている私だが

一般的な販売業の人より、

密になる事が少ないので

人に接触する機会は少ない方だと思っていた。


そんなある日。

仕事の勉強会の為、

久々に電車に乗る事になった。

コロナ禍の中、出来るなら密は避けたい。

行はまだいいのだ。

まだ空いている方だから。

所が、帰りの電車は、

帰宅ラッシュと重なってしまったせいで

普段、密にならないワールドへ入り込んでしまった。


私が仙台駅に付くと、

乗りたい電車の発車時間は

「18:08」福島行き。

時計を見たら、18:04

おお!今からダッシュすればすぐに乗れる。

私はSUICAを改札口で通し、

ダッシュして5番線に向かう。

階段をヒールで音を立てて降りる。

5番線電車に乗ろうとしたら、すでに満員。

立っている人達がこちらを見ている。

こういう時、最前列の方が空いている可能性がある。

私は乗りこめそうな最前列を目指して

ホームを走る。

よし、ここなら今までみた所より、隙はある!

私が乗り込むと、私の後ろに居た人も

乗り込んできた。

まだ私だけならまだしも、後ろの人も無理やり。

そして私が場所を確保したら、さらにもう一人

ガタイのいい男性もデカいリュックを背負って

乗り込んできた。「うわ」と私もビックリ。

しかも、その男性が乗り込んだのでドアが微妙にしまるか

閉まらないか・・と言う感じに見えた。

時計を見たら、18:06!よし。あと2分で出発だ。

・・と、ここで終るかと思ったら、その後も

無理やり入ってきたの。うわあ。人に体重かけて

乗って帰れそうだね。

まあ、都会みたいにドアを車掌さんが

ギューと押したりする程の込み具合ではありませんが。


そして、18:08に出発の上がりの電車。

私は今日の勉強会で頭を使い、疲れた。

できたら座りたい!でもこの混み具合。

この密の状態。窓は空いていて

コロナ対策をされている。

私を取り囲む360度の視野全て

みんなマスク着用。

話しをする人すら居ない。

電車が動き出す。窓の景色は黒い。

すっかり暗くなったなあ。

そして、ふと私は左側のその窓を見ると

あれ?一か所だけ座れるスペースがある。

何故その場所は誰も座らないのだ?


ここでちょっと説明しよう。

私が立っている場所は、ドアの入り口から

少し中に入った所。

椅子に座れる人達がいるとすると

手摺を持って1列目にいる人達がいる。

私の居る場所は、その2列目。

私が1列目にいるなら、その場所に

座るのだが、私の前にいる黒のセルメガネの

マジメそうなメンズが、本を読んでいて立っている。

おい、そこにお前座れよ!と私は心で叫んだ。

そして、私の左斜めにいる1列目のおっさんが

「そこ空いてるのに!」と言う目で

黒メガネを睨んでいるのを目撃。

そうなの!そこに黒メガネが座れば


立っている私らも、もうすこしゆとりが出来て

人の肩に触れたりしないで済むの!!

普通、自分の目の前の席が空席だったら

座るのではないか?これは普通じゃないのか?

では、せめて黒メガネの隣のOLみたいな女!

じゃあお前が座れ!いくら自分から見て

目の前の席じゃなくても、一歩足を出して

座ってしまえば
あんたもラクでしょうが!!

そのヒールで歩いて、仕事帰りなんでしょう?

疲れたでしょう?スマホで、どうでもいい

小説読んでるんじゃね〜よ。


この胸の思いは、私一人ではない。

だけど、みんなそうは思っても

「仕方ない」と言う感じで、ただ動く電車に

身を任せている。

あと、各駅ごとに停車すれば人も減るから・・と

思っているのだと思われる。

一つ目の駅に着いた。そこで私の目の前の人が

降りようとしている。

この隙に場所を微妙に移動する私。

私が一歩足を伸ばして1列目に並ぶ。

すると、私の後ろや両隣にいた人達も動いてきた。

私は、あとちょっとで、その空席に座れる。

先ほどの黒縁メガネの真ん前の席である。

相変わらず、座る気配なし。

隣のOL風女もスマホに夢中。

私は、もう一歩足を出し、

「ちょっと失礼します」と椅子に座っている人と

黒縁男性らに声を掛ける。

そして、座る席GET!!

座れた!これぞBBA根性!←

黒縁メガネも、OL風女も

先ほどと何も変わらず。

私が座った事で、車内も少しラクになっただろう。


それにしても、何故空席1つあるのに

座らないのか?

ダイエット中なのか、

座るほど疲れてないアピールなのか。

私は頭を使って疲れていたので

帰りの電車はちゃんと座れて

本当に助かった。