フェイス To フェイス


顔の面積が、増えた。

いつから私は顔がでかくなったのだ?

「7.5頭身だね」と言われたのは、20代だった。

(ただし、6センチヒール込みである。)

しかし、30歳を過ぎ私は
肥えてきたようだ。

鏡を見る。この
ほっぺたの肉が許せん。

横の余分な肉が憎い。


顔が
でかくみえて得をする事など

何一つないではないか。


顔が太る=体も丸く見える
と言う事だ。

さらに顔の面積が増えたと言う事は

化粧品をそれだけ多く使うではないか。

基礎化粧品のサイクルが早まるばかりではないか。


どうしたらいいのだ。ますます金がかかる。

私は鏡に映る肉を気にしながら

前髪を斜めに流す。


髪形と言うのはいわゆるフレームであり

顔として見た時、大半は髪形で印象が決まる。

最近話題の「バングスヘアー」

これは本当にありがたい。

まず、前髪を作ると
顔の面積が減る。

さらにサイドと前髪の具合を合わせると

一番、私がムカついている肉、

そう、
こめかみ付近の肉を誤魔化せるのである。

そうか。世の雑誌はこうやって

女をキレイにみせるのだな。


2007年現在、ワンレンが流行っていない時代で良かった。

今、おでこ全開にしたら顔がでかくなる。

オールバックは、本当に小顔じゃないと許されん。

今頃 前髪にトサカを作っても、

こめかみ付近は誤魔化せないだろう。

あの当時は
あのトサカで顔が面長に見えただろうけど

今、この時代にやったら
「今年はニワトリ年?」で終わりだろう。

どうも脱線しているが、脱線しているついでに

この時代にボディコンが流行らなくて良かった。

今の私には、腰周りの肉は

服のサイズを大きくしないと無理なのだ。

そして
小細工作成法に困る。

ないモノを足す事は簡単
だが、要らない物を消すには

服以外の闇とライトとが必要だ。

私は今、自分の空しさと、時間と供に増えて行った肉について

黄昏ているのである。

遠い目をするのは止めて、話を元に戻そう。



どこまで言ったか忘れてしまったが

私は目と目の距離が狭い女である。

でも心は狭くないつもりだ。(←そう思いたい。)

目が狭い女と言うのは、早い話が

顔の部品が中心に固まっているのだ。

だから、人間と言うのは、目の距離に合った顔のバランスを

保っているものだと思っていた。

しかし、自分が太り、顔の肉を目の当たりにしてから

この理論が理想論であった事に気づいたのである。


整形でも身長、さらに手の甲、首は修正出来ないらしい。

(首の場合、大事なリンパ線もあるからじゃないかと思うが。)

そして新たな疑問。目と目の距離は治せないのだろうか。

別に私は整形したいとか、脂肪吸引したいワケではないが

目と目の距離は、生まれ持った物で

ほどこしようがないのだろうか?

私は、この目と目の距離で生活をしていて

181度方向が見えなくて

困ったと言う事はないのだが

顔がでかくなると、目の中心が余計強調されるのである。

顔の面積が増えた分、目の距離も1ミリくらい

外側にズレないのか?


ズレてくれればバランスが良くなる。

そう願ってみたが、目の場所は固定された場所らしく


動く気配も感じられない。(動いたら怖いだろう。)

しかし、考えてみれば目の位置が外に向かって動いたら

鼻のバランスもズレので、鼻筋がなくなる可能性もある。

これは困る。それなら、髪形で誤魔化して

後は最後の手段。メイクテクである。


私は、この余分なこめかみから口元にかけての

肉について考えた。

チークは温かみを演出するので

細く見せるには、ハイライト効果である。

デーモン小暮のような

あの影を付けたら良いのではないだろうか。

あれは子顔だ。いや、
悪魔か?うん、小悪魔だ。

よし、
私も小悪魔を目指すか。

しかし、「顔がコスプレ」と言われたら困る。

どうやったら、
ほどよくあの影が出来るのだ?

でも蝋人形にはなりたくない。


お人形フェイスを目指しているわけではないが

そんなある日、悩みの多い私を助けるアイテムに遭遇。

メイクマジック。茶色の下地をリギットファンデーションと混ぜて

余分な部分に塗り、その上からファンデーションで馴染ませ

通常の顔と、余分な顔との境界線を無くすベースメイク。

これはすごい。こうして

原型からどんどんズレて行く女、みかりん。

さらに私は、顔の肉の他に、輪郭も気にしているのだ。


「太った・・って言うか、顔の輪郭が丸くなったよね?」

そう言われるようになっていた。

しかし、私は腹周りばかり気にしていて

一番、人の目に触れている顔はその次だったのである。

自分の悩みとはいつも主観的なものである。

そして、毎日鏡を見ているけど、自分自身が

素顔とメイク後の顔に幻滅しているので

そのダメージの強さに負け、

顔の輪郭には気づかなかったのだ。

だけど、日々、蓄積された結果の肉。

世の中に
「原因と結果」と言う法則

存在しているのは確からしい。

それが今、悲しい現実になっているではないか。

私の肉。要らない肉。貴方にあげたい肉!

これが血と汗と涙の結晶なのか!


こうやって思い続くままに

書かせてもらってもいいだろうか。

私はシャープなフェイスラインをしていると思っていた。

だから遠慮なしに美容室で
「叶恭子さんにしてください」

言えたのだ。
身の程知らずのアホ女の私に

当時の担当の千秋さんはゲラゲラ笑ったが

それでも私は何人かのお客さんに

「叶姉妹風」と言われたのである。

(これは言ってくれる人が

大人じゃないと出来ない社交辞令である。

しかし、フェイスラインが丸くなると、

「叶姉妹風」とも言われないのだ。

フェイスラインをもう少し、シャープにしたい!

私はボスに言った。

するとボスは「みかりんさん、そのぐらいで丁度いいど。

あんまり細いと、
きかね〜女に見えっど。」と言われたのだ。

きかない女に見える?ずっとそう見えていたのに

あの当時何故男が寄ってきたのだ!?

丁度いい今の方が魅力的だとしたら

何故、今、男が寄ってこないのじゃ〜〜〜!!!

するとボスは一言。

「みかりんさんは、遊び人の男にウケっど。」

それは、どうも!!




顔の輪郭をシャープにみせたい為に

痩せたとしても、この年齢だと

顔が細いと法令線が出やすい。

それなら、丸い顔で細胞プチプチの方がいいのではないか?

どっちを取るかは自分次第。

そして、うまく誤魔化すテクを磨くのも自分次第。

どこまで肉について悩めばいいのだ、私の33歳。


なんだかんだと書いてきたが、結局

落ち着く所は、せっかく女に生まれてきたのだから

キレイに歳を重ねたい。

それだけなのである。