毎日!チェッカーズ


105円でチェッカーズの本を入手してからと言うもの、

私は毎日チェッカーズなのである。

フミヤくんの歌う、

「YOU LOVE ROCK'N ROLL」を聴いていると私は

小学生までタイムスリップしてしまう。そして、当時の事を思い出す。


あの時は「明星」「平凡」があって、(今も明星ってあるよね?)

私はその雑誌に付いてくる、歌の本とポスターが欲しい子供だったのだ。

しかし、気が付くと付録よりも、雑誌の内容よりも、


その雑誌に映っている写真の

切り抜きに燃えていたのだ。


貴方もお世話になったであろう、あの
透き通った下敷きの存在を

覚えていらっしゃるであろうか?

私は、あの透明な下敷きに切り抜きを入れて裏も表も

「チェッカーズ」にするか「明菜ちゃん」にしていた。

その頃の私の周りはミーハーばかりで、お互い持っている雑誌の

切り抜きを交換しあって、下敷きの一面を毎回変え、友達らと見せ合うのが

趣味と言うか特技であった。そして、その下敷きを持ちながら

違う学年の廊下を歩く小学生の姿は、

子供ならではのポリシーがあったのだ。

それは「最新の明星の切り抜きを持っている私。」見せびらかすように

右斜めに正面に持つ事!
今思うと、単なるアホである。

しかし、その後、
このポリシーは

ブランドバッグに移行する。女とはそんな生き物なのだ。


話は脱線しているが、この切抜きの趣味は

雑誌だけでは満足しなくなっていく。

何故なら明星仲間も多く、同じショットでアングルを作るのは

いまひとつ、技術に欠ける。

そうなると「もっとレアな物が欲しい」と思うのが

人情ではないだろうか。

そんな私にとってもいいタイミングで現れたもの。

それは
「チェッカーズの生写真」であった。


写真は、私が直接撮影した物ではない。

当時「グリコのポッキー」が

「箱のバーコードを6つ集めて応募すると、チェッカーズの

ロゴ入りジャンパーが当たる!」と企画していた事があった。


私は、そんな大人向けの大きな服よりも

「外れても、参加者全員に
生写真をプレゼント!」と書いてある部分に

大変惹かれたのである。

何故なら、服は下敷きに入らないが、写真ならいくらでも

入れられるではないか。

しかも
表も裏も使える魔法のスペース。

私は「これだ!」と思った。そして学校が終わると即効でスーパーに行き

応募ハガキと、チョコポッキーを手にした。

あと、5個買うと応募出来る。明日もチョコポッキーを買う。


ボリボリとポッキーをかじりながら、私は夢を見ていた。

こうやって毎日ポッキーを買う私を母は

どうやら娘は、お菓子が食べたいのではなく

チェッカーズの写真が欲しいと言う事に気づき始めた。

母は、まとめてポッキーを買ってきてくれた。

「毎回チョコ味ばかり食べているみたいだから

アーモンド味にしたよ」と言われたが

アーモンド味は、子供ながらにも、まとめて一気に食べると

胸焼けがしてきたので、それは母に譲る事にした。

そう、何故なら私が欲しいのは、チェッカーズの写真。

その為にバーコード集めが趣味と言うか特技。そんな異様な

私の姿を父も見て「写真より、この服の方がいいじゃないか。」と言う。

「みかりんは、キノコカットのチェッカーズでもいいから

写真が欲しい〜」と言う。今日も朝ごはん代わりに

ポッキーを食べるアホな12才の私。

今思うと、これは30過ぎた私が、
毎回ナンバーズを

購入している姿に移行しているように思える。


さて。念願の応募ハガキが一口出来た。

私は悪友とポストの前で「当たれ〜当たれ〜!」と

祈りながら投函した。

・・・今思うと、写真は必ずくれるようになっているのだから

当たって欲しいと願うのはどうか?と思うのだが。

(この時、一緒にポストにお願いをしてくれたのは

今も時々 日記に登場するN子である。)



それから2週間後。家のチャイムがなった。

何かと思ったら「おめでとうございます!」と郵便の人が言う。

なんと!
私はチェッカーズの「ロゴ入りジャンパー」が当たったのである。

生まれて初めて、当たったのはチェッカーズの服だったのだ。


この服は、全体的に黒で、腕の裾が白になっていた。

そして、後ろには大きく「THE CHEAKERS」と白で書いてある。

さらに嬉しい事に、この服と一緒にウォークマンが付き着た。

ヘッドホンの部分は、この服の肩に入れて音楽が聴こえると言う物であった。

そして、カセットテープが一本入っている。それは

「ハート オブ レインボー」と言う、ポッキーのCMの歌。

チェッカーズが「ファンの前でしか歌わない」と言っていたあの曲。

私は生写真よりも、とても嬉しかった。

父は「この服くれ!」と私に言った。

いいよ〜。私はこのウォークマンと、カセットだけでいいから。

その夜は嬉しくて眠れなかった。


翌日、一番欲しかったチェッカーズの生写真が

ポストに入っていた。キノコカットのチェッカーズ。

私はこの写真を下敷きに入れて、持ち歩きをする予定だったが

ウォークマンの存在で、すっかり心が満たされた私は

友達らに、この写真をあげる事にした。


今思うと、欲が少なかったから、大きいのが当たったのだろうか?

それとも、ポッキーを買い続けていた成果だったのだろうか?

毎日チェッカーズを聴いて、思いが通じたのだろうか?


105円で、あの本を入手して

遠い昔の事を思い出したみかりんでした。