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ブランコに乗って


私は、「アルプスの少女ハイジ」のオープニングソングの

ハイジが、ブランコに乗ってるシーンが好きである。

あの、空から吊るしたブランコで、小鳥さんたちと出会い

行き来してるハイジをみてると、自分も感情移入してしまい

ブランコに乗ってる様な気がしてくる。


しかし私の現実は空の上ではない。

シルバーの綱に釣られた、平らな椅子。

腰を下ろし、手と足の力の勢いで乗り出す。

大地を下に、地上に浮かぶ自分がいる。

風の中を揺れて、行き来している空中。

大きな木が、家が上下に歪んで見える。

ブランコから降りたら乗れるのは、

ハイジの世界の様な雲ではない。

完全な地面である。しかもこの地面は、

「母なる大地」とは別物である。


私は、このブランコ遊びで忘れられない思い出がある。

当時の8歳だった私は、お昼休み時間にブランコで遊ぶのが好きであった。

誰が一番高くこげるかな。そんな事をしていた。

みんな勢いあるブランコをこいでいた。

ふと、私はスカートの裾が気になった。

この瞬間に私の
悲劇が起こったのである。


なんと、ズラした腰から体のバランスを崩し、

私は
ブランコの前に、落ちてしまったのである。

「痛いよ〜」と言い、地面に
シリモチを衝いている。

次の瞬間、私の後ろにあったブランコがブーメランの様に

跳ね返ってくる。これが「空中ブランコ」と言う物なのか?

私はその勢いで、さらに
前に倒されたのである。

「二段攻撃」と言うのはこの事なのか?


私は、地面に見事に当たり、
鼻血ブーである。

もう、どっちの痛みか分からない。

ノックアウトした私は、地面で、
くたばっている。

気の済んだブランコは、
静かにたたずんでいる。


私が飛び込んだ先は、ハイジの様な白い雲ではなかったのである。

大地である。地面である。フコフコのクッションではない現実である。

顔を上げると、鼻血が出ている。


私は、みんなから鼻血を止める方法を教わる。しかし、そのコツが上手くつかめず

このまま人生が終わると思っている。

「♪上を向いて歩こう♪」
とは、鼻血の為に作られた歌だったのか。

そう思い、クラスメートらに慰められながら、私は白い雲を見上げている・・・

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