トールキンがホビットの本で使っているルーン文字は、欧州の実際のルーン文字とほぼ同じ。 いや、ホビットのルーン文字も実際にあったのだ。だから今あちこちに残っている遺跡に彫られてるのと同じなのだ。うん。

ゲルマン人が使ってたルーン文字は、ラテン文字つまりローマ字つまり普通のABCとの関連もあって、だから、あ、ここはたぶん、ビットだよな、ってわかるのだ。
古代の文字はローマ字やルーン文字だけでなく、長い間にいろんなのが互いに影響しあっている。

北欧神話では神々が起源だってことになってるけどね。ほんまかいな。主神のオーディンさまが木(ユグドラシル)に9日間も吊り下がって、自分が自分への捧げ物となって(わからん)、それでルーンを見出したんだって。ふーん。
ま、神さまたちの話ですので、よくわからなくても、へぇ・・・・・そりゃよかったねぇ・・・とか言って冷たくしないであげてください。とにかくオーディンさまが見つけてくれたんだそうですので。はい。 自分自身が自分自身への生贄となり、要するに死にそうになることで、字がわかるようになって智慧を得た、ってことらしいです。オーディンは智慧の神だから、言葉の持つ力と強く結びついている。何かを得るためには何かを差し出さねばならない。知恵の泉の水を飲むために、オーディンは片目を差し出している。だからオーディンは独眼なのだ。そして自らを生贄として彼はルーンを得た。
何日も木にぶら下がってた話、詳しくはエッダ のオーディンの箴言、138、139節あたりをどうぞ。38ページ。 他の本でもその部分の該当個所は載っている。北欧神話物語なら61ページ。


神話の話はここまでにして、実際に残っている字に話を戻すと、ルーン文字にはデンマーク型とかスウェーデン・ノルウェー型とかある。それぞれちょっとずつ違って、文字数も違う。ここにデンマーク型のがあるよ。

一方、ホビットのルーン文字は、アングロ・サクソン型とほぼ同じで、っていうかトールキンは同じつもりで書いていて、そのアングロ・サクソン型というのは文字数が多い。二重母音用の字もあって、古英語の表記もしやすいようになっている。

ルーン文字は、フサルクという。
普通の日本語のひらがなをあいうえおって言ったり、英語のアルファベットをABCっていうのと同じで、順番に並べると、初めのところがフサルクっていう音になるからそう呼ぶの。
f, u, th, a, r, k って並ぶわけ。
アングロ・サクソン型では、a のところの字の担当が o になるから、フソルクとなる。でも昔の人が何と呼んでいたかはわからない。今はそう言うってこと。

こんな感じ↓ ね、初めがフソルクって読める。



3つ目のは、th のこと。 はng ね。 ungraceful とかのng はun+graceful で分かれてる語だから普通にnとgでいいけど、ring とかのng は閉鎖音だから を使う。
abcに直したところに横棒がついてるやつは、発音がびみょーに違うんだって。詳しく知りたい人はルーンの参考書で勉強してください。


ではトールキンがホビットで使ったルーン↓ 上の↑と比べてみよう。



字の割り当てはほぼ同じ。字の形が多少違うのもあるけど、まぁ同じ。アングロ・サクソンのルーンにあってこちらにないのがいくつか、向こうになくてこちらにあるのがいくつか。

I と J は同じのを使う。U と V も同じ。
これは、ABCには元々J がなくて、I だけだったのが、母音は I で、子音は J で書き分けるようになったから。
U と V との区別もなかったのが、母音は U で、子音はV という担当になった。
だからトールキンのルーン文字は、ルーン文字ではあるのだけれど、ABCの古い書き方の雰囲気そのままに、I とJ 、U と V は同じ字を使う。うーん、いいねぇ。

Aが2つある。発音によって使い分ける。oの発音になる時は、を使う。大抵はで間に合うけどね。

さて、指輪本編にも似たような字が出てくる。追補編にも詳しく説明がある。あれはキアスといって、これとは別。音の割り当ても全然違う。

ホビットの序文でトールキンは「Their runes are in this book represented by English runes,」と書いている。their ってドワーフのこと。
「この本に出てくるドワーフたちのルーン文字は、英語のルーン文字を使って表記してあります」ってことだ。
英語のルーンとは、現代英語ではルーンは使わないのだから古英語のルーン、すなわちアングロ・サクソン型のルーンのことだ。

つまりキアスそのままではなく、実在のルーン、いやキアスもホビット本のルーンも本当にあったのだけど、一般的に知られている普通のルーンに書き換えてありますよ、ってことなんだろう。

スロールの地図やホビットの表紙のルーンを書いた頃は、続編の指輪のことはまだ形になっていなかった。ホビットが書かれた頃、トールキンは大好きな古英語のルーンをお話に織りこんで、楽しくて仕方がなかったんだろうな。

指輪を書き進むうち、ホビットとの矛盾を直すため、ホビット本はいろいろ書き直された。序文もついた。その中で、キアスとは違うルーンの使い方をトールキンは説明したんだね。ドワーフ式を英語式にしてあります、って。要するに、わかりやすく書き直してありますよ、ってことだ。

ホビットに出てくるルーン文字は実際にあって、そして今あちこちに残っている遺跡に彫られてるのと同じなのだ。キアスと読み方が違うのは・・・キアスもほんとにあったんだし・・・・ いや、ホビット書いたり指輪を書いたりトールキン先生は忙しかったから、パターンが違ってもいいの。とにかく、ホビットに出てくるパターンは、今もあちこちの遺跡に残っているのだ。すごい。

そして、あの竜の山にある秘密の入り口のことが、そのアングロ・サクソン型ルーンで地図に書いてあるなんて!!凄すぎる。なんとわくわくすることだろう。そんな地図が目の前にあって、それを読むことが出来たなら、もうそれは、わくわくを通り越し、嬉しくて嬉しくて笑いが止まらなくなるだろう。キャー♪で、ラララで、ウヒウヒのニヤニヤのヘヘヘヘヘ、って感じ。

古語の、トールキンの大好きな世界。 それがホビットの地図で生き生きと踊っている。あの地図は、本当に楽しい。大好きだ。

指輪が映画化されたとき、冒頭でガン爺がバッグエンドに行ったところ、テーブルにあの地図があった。おぉ♪地図地図♪エレボールの地図っ♪ ファンにはたまらない演出だったな。


これね。ボロボロ加減がいいね。 スマウグがね、本のより立派なんだよ。知ってた?


じゃ、この地図が楽しめるように、いろいろ覚えて、キャー♪で、ラララで、ウヒウヒのニヤニヤのヘヘヘヘヘになってください。(^_^)v



へへへへへになろう♪