ブランディワイン川と橋 |
映画でも、原作でも、フロドたちは黒の乗り手に追われつつ、川を渡ります。 裂け谷のところじゃなくって、今言ってるのは初めの方で出てくる川。 映画では、ほんとにギリギリセーフ、原作では、そんなに切羽詰まった状況ではありませんが、とにかく渡ります。 川を渡らないと、ブリーへは行けません。裂け谷へも行けません。 あの川は、バランドゥインという名前で、これはエルフ語で、金茶色の川、という意味です。 ブランディワインとは、ホビットたちがこの川につけた名前です。 ホビット庄の東の境はこの川なので、境の川という意味のブランダニンという川だったのですが、ブラルダヒム(頭へくるビール)という名前で呼ぶようになって、それがブランディワインに。 金茶色だから、っていうのもあるのですが。アルコールの名前だと、みんな嬉しいわけで。 ですから、ほんとはバランドゥインという川です。ホビットの住んでる辺りだけ、ホビットたちが勝手にブランディワインと呼んでるだけです。 それから、街道には橋が架かっています。石弓橋です。(Bridge of Stonebows) この橋は、ドゥネダインの北方王朝(アラゴルンのご先祖)の時代に造られたもので、とても古い由緒ある橋なのです。 これも、ホビットたちは、これまたブランディワイン橋と改名してしまいました。 これは、ちっこい橋ではございません。大橋です。 バランドゥインは大河で、どこでもひょいひょいとは渡れません。 安心して渡れるのはブランディワイン橋か、ずっと南の方、100マイルほど下流にあるサルンの浅瀬というところくらいです。 ホビット庄はこの川より西側の地域ですが、バック郷だけは川の東側です。そしてバック郷のところには、いちいち橋まで行くのは遠いので、渡し場があって舟がいつも用意されています。ここはバックル村の渡し、旧訳では締金の渡し(Bucklebury Ferry)といいます。向こう岸にバックル村、旧訳では締金村(Bucklebury)というのがあるからです。 ブリー方面へ向かう街道が東西に延びています。東街道といいます。左(西)へ行くと灰色港、右(東)へ行くとブリーに着いて、そのままずんずん行くと裂け谷に着きます。 東海道ではありません。それは弥次さん喜多さんです。こっちはフロドさんサムさんです。ひがしかいどう、です。 川、というのは、ブランディワイン川に合流するもので、ホビットたちは名前をつけずに、単に「Water」と呼んでいます。だから、「川」なのです。「水」といったほうがいいのかもしれないけど。 ホビット村は、この川の両岸にまたがっていて、フロドの屋敷は北側にあります。 街道は目立つのでピンクの線のような感じで東に向かい、舟で渡ったのは、ピンクの★のところ。 もすこし範囲を広げてみると、下の地図↓ ブランディワイン橋は、大体ホビット村からブリー村の中間地点。 ホビット村から橋まで街道を使って約50マイル、橋からブリーまで約50マイル。 50マイルというのは、約80キロメートル。 ブリーはまだまだ遠い・・・ 原作では、街道は使えないから、古森を通って迷子になって色々あって、やっとこさブリーに着きますね。 映画ではすぐ着いちゃうけど。 まぁ、仕方ない。 渡し場で、舟に乗った側から撮った映像で、ナズグルたちは右へ走っていくでしょ。 ちゃんと橋の方向へ行ってるのですよ。おりこうさんですねー。 石弓橋は、アルノールの頃に出来た橋だから、ナズグルも知ってるのでしょう。ここら辺りに来たのは初めてかと思いきや、実はそうでもなかったりするようで・・・ 全員ではないでしょうけど、土地勘あるのです。 もっと詳しくいうと、エレンディルが建国した北方王朝であるアルノールは、その後、ゴタゴタして、アルセダイン、カルドラン、ルダウアの3つに分かれました。第三紀の861年のことです。 その中で一番勢力があったのは、北西にあったアルセダイン。上の地図は、アルセダインとカルドランの国境が接していた辺りになります。 そして、石弓橋は、アルノールの人々が造り、その後アルセダインが管理していた大きな橋です。 1601年に、この橋を渡ってホビットが移住してきたとの記録があって、橋はそのずっとずっと昔に造られたもの。 カルドランとルダウアでは王家の血統は早くに絶え、最後まで持ちこたえたアルセダインも、はるか北のアングマールの度重なる攻撃を受けて衰退の一途を辿り、滅亡。1974年のこと。 その悪いアングマールって国を統治していたのが、ナズグルたちの首領だったのでした。 だから、「たしかあっちに橋があったぞ!」と、ナズグルさんたちは思い出して走ったのでしょう。 ちなみに、フロドたちが旅に出たのは、第三紀の3018年。なかなかよい記憶力ですな・・・ ナズグルたちは西から来たって本に書いてあるから、ホビット庄に入るとき橋は渡ってないはずだし。 それより、そんなに永く使える橋を造ったのもすごいですねぇ。日本国の建築、そんなに保ちます? 21世紀に建てた橋、1000年以上使えます? え、バカにするな? だって・・・ まぁ、ホビットたちが補修をしているのですがね。 ええと、関連ページ、字幕と吹き替えのところにあります。こちら 原作と映画の比較のところにもあります。こちら。 |
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