烽火山
ゴンドールとローハンの間には烽火山が並んでます。つまり、てっぺんを烽火台にしてる山が並んでます。
白の山脈の北側で、ミナス・ティリスからローハンへ向けての救援要請用です。

全部で7カ所。
東に脅威を抱えていたゴンドール側からの信号として使われることが多い。
どっちから数えるかは本によって違います。UTではミナス・ティリス側から、HoMeではローハン側から何番目、という表現になってる。

ここでは東から、ミナス・ティリス側から並べます。

アモン・ディン Amon Din シンダール語で「沈黙の丘」 アモンは丘で、アモン・ヘンとかアモン・スールとかのと一緒。ディンは、静かってこと。
 
エイレナッハ Eilenach 7番目のエイレナイアと似た言葉で、シンダリンでもヌメノールの言葉でも共通語でもないとされる。意味も不明。
ドルアダンの森で一番高い場所。頂上が狭く、あまり大きな火は焚けなかった。
瀬田さんの旧訳ではエイレナッハ。新版でアイレナッハになった。終わらざりしではエイレナハ。
ナルドル Nardol シンダール語で「火の頂」 Fire-hilltop, Fiery head
人も薪も多く、大きな炎を上げることが出来た。晴れ渡った夜であれば、それはハリフィリエンからも見えたという。
じゃあ、間の3つは要らないじゃん!とか思いますが、でもいつも天気がいいわけじゃないし。昼だと火は見えにくいし。だから間のも要るの。
エレラス Erelas 意味不明。ヌメノール前の言葉と言われる。
エルフ語で「一枚の葉」って意味にもとれるけれど、木がないところだからエルフ語ではなかろう・・・とUTには書いてある。
ミン=リンモン Min-Rimmon リンモンは意味不明。古代の言葉と言われていて、ミンはエルフ語かも、って話。
minは、「ひとつの、突出した、飛び出た、ほかのとちょっと違う」とかって意味がある。つまり、あんたらとは違うんだぜ、っていう、1つだけ目立っているのをミンという。だからこれのお友だちのミナスは塔という意味になる。
ってことで、リンモン周辺で突出してるとこ、って感じ。リンモンの森というのが周りにはある。
カレンハド Calenhad シンダール語で「緑の地」
calenは緑(パルス・ガレンのgalenと同じ)
hadは場所を意味するsadの音変化
ハリフィリエン Halifirien 7つの中で一番高い烽火山。
もっと昔の名は、シンダール語でアモン・アンワル Amon Anwar 畏怖の丘。
その前はエイレナイア Eilenaer。これはヌメノール前の呼ばれ方でよくわかってない。
エイレナイアと昔から呼ばれてた山が、エレンディルを葬ってからアモン・アンワルになって、烽火山としてローハンとの国境になってからはロヒアリムが自分たちの言葉でハリフィリエンと呼ぶようになった。
・・・という歴史があります。
あのエレンディルのお墓があった山。フロドの時代にはもうお墓は移されて、ここにはありません。
指輪の旧訳ではハリフィリエン。新訳ではハリフィリアンになったけど、他のfirien関係の名前はフィリエンのままなので、これも「ア」にする必要はないと思う。母音って、あいまいだからねぇ・・・。統一した方がいいかな。終わらざりしでは、ハリフィリエン。

で、ハリフィリエンまで着くと、そこはローハン。
おぉ!ゴンドールから烽火が届いた! えらいこっちゃ、えらいこっちゃ、わたわたわた・・・・となるわけです。
どっかで当直の誰かが居眠りしてるとストップしちゃう。始末書だな。

この7つは、ゴンドール・ローハン間連絡ホットライン設置プロジェクトによって計画され、せーの!で一斉に工事をして設置されたものじゃありません。
元は、アモン・ディンとエイレナッハ、そしてミン=リンモンの3つだけで、ゴンドールが自分たちの連絡用に使っていたものです。それが増やされて役割が変わっていきました。

そして、この7つの名前の順番は、草稿の頃には違ってました。順番が同じ感じでも、全然違う名前のこともありました。決定稿の形になるまで、トールキン先生はいろいろ試行錯誤していたようです。
烽火山の周辺のこと、その名前、それぞれの歴史など、物語の表面に特別出てこないことも、トールキンの心の中にはたくさんの物語があったのですね・・・
それを考えると、あの山並みも違って見えます。

原作の「王の帰還」第1章ミナス・ティリスで、ガンダルフは飛蔭にピピンを乗せて東へ急ぎます。その途中で、ゴンドールの烽火が次々と西へ向かうのが見え、ガンダルフはその名前を順番に叫びます。見よ!って言うのは、ピピンや飛蔭に言ってるのと同時に、自分にも言いきかせてるのでしょう。

この第3紀末の危急の時に烽火が西へ渡るということがどういうことなのか、それが持ついろいろな意味を一番よくわかっていたのはガンダルフだから。

そしてガンダルフはミドルアースに来て何千年も各地を歩いてきたから、あの山々もくまなく知っているはず。あの名前を口にしながら、それぞれの山の頂上で火を焚いている者たちの姿とその周辺の風景や歴史も心の中を駆け巡ったに違いない。

自分の持つ指輪ナルヤと同じ火の意味を持つナルドルの炎は、ナルヤに通じてますますガンダルフの力になったのかもしれない。かつてキアダンが渡してくれたあの時の言葉の通りに。(何の話さ?って人は、追補編のBの第三紀のところにキアダンの言葉がありますから読みましょう)

そして何より、トールキンは、いろいろなバージョンを書いていろんなことを思い描いて最終的な形になった烽火山の名を、ここで並べたかったんだと思う。
あの原作のガンダルフのセリフは、あの何行かで広大な世界を持つのです。


映画ではたくさん烽火が上がって、エドラスの近くまで続きました。
ほんとは、ゴンドール領からローハンとの国境までの7つ。
他に伝令が馬で走ったりもする。

映画はわかりやすく、エドラスのそばまで行ったのでした。
ローハン側は、ほんとは烽火台なんてないので、映画撮影のために急遽、薪をあちこちの山のてっぺんまで運んで大変だったそうです。・・・とロヒアリムの皆さんから聞きました。(←うそ)

あの映画の烽火リレーは感動的でした。
原作の形では映画だと映えなかったんだと思います。だからあの形にして撮ったんでしょう。

でも、原作のあの夜に、走る飛蔭の背で風に吹かれながら、山脈に沿って炎が西へと渡っていくのを見つめたガンダルフがどんな思いだったのか・・・・・想像しただけで涙が出てくるあのシーンをスクリーンで観たかったな・・・とも思います。





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