バルログ
モリアでオークとかトロル相手にドタバタ。その程度の相手なら、レゴラスの弓もギムリの斧も活躍するし、アラゴルンもボロミアも見せ場だもーん、がんばれ! カッコいいぞぉ! 
しかし、とんでもない怪物が登場。原作ではレゴラスが矢を取り落とし、ギムリも斧を落として恐怖にかられます。
バルログだ・・・! 
A Balrog is come!

ガンダルフは皆を逃がします。
お前たちの誰もあれには敵わない。そう、アラゴルンでさえもバルログの敵ではないのです。
もう剣は役に立たぬ。剣が役に立たないってのは、原作ではもう少し前に出てくるセリフですけどね。まぁ、どっちにしてもバルログ相手に剣は役に立たない。

山脈を横断するためにモリアという地下に入って、何やらおっかなそうなのが出てきて、逃げろ!という、かる〜いノリではありません。もっとずっと深刻なシーンです。

レゴラスもギムリも知っている、ひきつって矢を落としてしまうような、そしてガンダルフ以外は誰も敵わない、ガンダルフだってどうかすると敵わない、このバルログとは一体何者でしょうか。

その昔、ヴァラールとマイアールという存在が生まれました。これは唯一神エルが生み出したもので、神というか精霊というか、とにかく聖なる存在です。ギリシャ神話の神々のようにそれぞれ得意分野があり、性格も違い、親戚関係もあったりします。
ヴァラールはより高位の存在で、マイアールはその下。でも人間なんかと比べるとマイアだってとんでもなく上の存在です。 あ、ヴァラールの単数はヴァラ、マイアールの単数はマイアといいます。

ガンダルフはマイアです。だから、ずーーーーーっと昔、何万年も前の上古の時代から彼は存在しています。ガンダルフと比べれば、アラゴルンだって赤んぼみたいなものなのです。

さて、ヴァラール、マイアール、素晴らしいのですが、ところがですね、世の中、聖なる存在とか言っても、全部がマトモではない。変なのもいる。ワルもいる。
ヴァラの中に、メルコールという悪いのがおりました。悪くて悪くて、みんなが散々苦しめられたのです。サウロンもマイアでメルコールの部下でした。メルコールはいろいろとおっかない部下を集め、要塞を造ります。その悪い配下の筆頭がバルログ。悪鬼として作りかえられたマイアールです。いや、竜の方が強いんだけど、でもほら、竜ってちょっと別格じゃん。だから人の形をしたものの中では最も恐ろしいのがバルログ。それもたくさんいるわけ。

バルログは火を吹き、黒い雲が取り巻き、火の鞭を持ち、炎の剣を使い、たくさんの善なるものを滅ぼしました。
神々もバルログには手を焼きます。そして長い戦いの後、メルコールが打ち倒されたとき、バルログたちもほとんどが滅びます。

ところが生き残ったバルログが山の地底深くに逃げ、隠れ、潜み・・・

その後永い年月が流れ、皆はバルログのことはもう伝説のことと思い、この世にはいないし安心、安心、と思っていたわけです。

第3紀、モリアではドワーフたちが地下宮殿を築き、ミスリルを掘っていました。ミスリルの鉱脈はどこにでもあるもんじゃありません。非常に貴重です。そこ掘れ、ここ掘れ、わんわんわん・・・ そのうちあんまり深く掘りすぎて、バルログが寝ていたところを起こしてしまいました。

笑い事ではございません。ドワーフたちは殺されるし大変だったのです。
バルログはオークやトロルを集め、ドワーフたちはモリアに住めなくなってしまいます。

このときのドワーフの王はドゥリン6世で、この王さまもバルログに殺されます。
それで、バルログはドゥリンの禍、Durin's Bane と呼ばれます。

ということで、ガンダルフとバルログはどちらもマイアです。光の側にいるか、暗黒の側にいるかの違いです。

モリアで出てきたバルログがガンダルフを見知っていたかはわかりません。
でも、ガンダルフは昔からバルログという種族を知っているのです。どれほど神々やエルフたちが苦しんだか、どれほど多くの者たちが殺されたか、よく知っています。
そして、人間やエルフやドワーフや、ましてホビットなどが太刀打ちできる相手ではないことは明白なのです。

存在としてのレベルが違うんだもん。なんといっても、バルログはマイアだから。

いくらアラゴルンが剣を使っても、レゴラスが弓を放っても、ホビットなんかが跳びかかっても、そんなものは、東京都庁のビルに止まった蚊のようなもので、スペースシャトルと競争してるトンボのようなもので、メルセデスベンツと並んだチョロQみたいなもので、オックスフォードに入ろうとしているのび太みたいなもので、 ←わかった、わかった!

だからバルログの相手をするのはガンダルフしかいなかったわけ。ガンダルフはマイアで、他のメンバーとは格が違うわけ。ガンダルフは何が何でも他の者を助けるつもりでバルログの前に立ちはだかります。昔、多くの大いなる者たちが倒された相手です。自分だって持ちこたえられるとは限りません。でもアラゴルンやフロドたちを殺させるわけにはいかない。ここで自分が負ければ、指輪もまた暗黒の側に渡るのです。そうなればこの世は闇に。

そして、その昔、皆が苦しめられたバルログの火の鞭がガンダルフを捕らえます。あの火の鞭は、遥か昔にエルフの王たちを殺したものなのです。

落ちるとき、はやくゆけ、ばかもん!とガンダルフは叫びます。
ばかもん! どあほ! こういう言葉って、ほんとに愛している相手にしか言えないんだよね。

ということで、ガンダルフは、何万年も昔からの宿敵、それも強大な敵に向かったのでした。





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