ズームインと3つの山と湖と
映画、フロドは何度か指輪をはめます。
ブリーの宿屋ではめてしまったときは、ナズグルたちが反応して村へなだれこみました。
風見が丘ではめたときは、ナズグルたちの姿がハッキリ見えました。
周りに暗いものがゴォゴォと立ちこめて、暗黒の側に入ってしまったような映像です。
第1部ラスト近くでボロミアに襲われて指輪をはめたとき、またゴォゴォとなります。

で、ボロミアから逃げて、山の上で何か石の遺跡みたいなのの上に出ると、遠くの景色がぐんぐん近づいて、モルドールの塔が眼前に迫ります。

どうして急にズームインしたのでしょう。
どうしてそれまでは遠くが見えたりしなかったのでしょう。

はい、わかる人、手ぇ上げて☆

は〜い、は〜い♪

はい、そこのちっこいホビットさん。
「ブリーでも風見が丘でも見通し悪かったから」 
うーん、それもありますか。小馬亭じゃ、家の中だし。でも風見が丘は一応外ですからね。

ではそこの、おリボンつけたナズグルちゃん。
「高いとこに登ったから」 
うーーん、それもありですね。

ニークブリーク、ブリークニーク、ニークブリーク・・・ 
うるさいよ、そこのコウベサセ虫!わかるのかい?!
「前よりもモルドールに近いとこまで来てたから」 
うーーーん、それも確かに。

でもですね、あの石に登る前にズームインしてもいいでしょ。
なんであそこで急に?

これは、本読んだ人なら覚えがあると思いますが、あの石の遺跡は「視る椅子」というのです。
あの山はアモン・ヘンという名前で、「視る山」という意味です。

で、その視る椅子のところでは、遠くにあるものが見えるのです。どんなに遠くても、見渡すことが出来ます。
ここは、ゴンドール隆盛の頃の見張り台。

湖の向こう側にはアモン・ラウ(聴く山)というのがあって、そこには「聴く椅子」があります。聴く椅子では、遠くの音でも何でも聴くことが出来ます。

アラゴルンは、これは大いなる王の時代に造られたと言ってます。ヌメノール人がまだ繁栄していた頃造られたもので、第2紀の末のものと思われます。第3紀に入ってもゴンドール王家はしばらく繁栄しますが、大いなる王、偉大な王、ということは、まだエレンディルやイシルドゥアが血気盛んだった頃、と考えられます。

当時は両方の山に番人がいて、ミドルアースを監視していたのです。フロドがここへやってきたのは、第3紀の終わり。ざっと3000年以上経っています。

ここは湖の南端で、地理的になかなか重要な場所なのです。周りはエミン・ムイルという高地ですが、霧ふり山脈や白の山脈からは離れていて、山脈に囲まれた中程にあります。北を見張るにも南を見張るにもいい場所です。

さて、原作では霧ふり山脈のずっと北の方まで、南は海まで見渡せました。
映画では、モルドールを垣間見ましたね。サウロンの目。こわ。 原作ではもっといろいろ見ています。

でも、何せ古いもので、不思議な力はあまり残っていないようです。
本では、あの後アラゴルンがフロドを探しに来て視る椅子に座りますが、何も視ることは出来ませんでした。闘いの騒ぎが聞こえてきて、すぐ行かなくちゃならなかったから、まだ見えてくる前だったのかもしれないけど、でも視ることは出来ませんでした。アラゴルンは指輪をはめてませんでしたからね。
ですから、指輪の力との相乗効果と考えるのが妥当でしょうか。

ということで、指輪をはめたからといって、いくら見晴らしがよくても、どこでもズームインするわけではありません。
あれは、視る椅子の上だったから見えたのでした。

視る山と聴く山の間には、湖が広がって、その真ん中にトル・ブランディアという島があります。これは鋭くそびえ立ち、思いっきり急な崖で、ほとんど塔が立ってるような感じですから、誰も登れません。

史上、誰も登った人間はいないという話です。ヘリで飛ぶか、気球に乗るか、モスラに乗せてもらうか、鷲に乗せてもらうかしないと頂上へ辿り着くのはまずムリです。
ソフトクリームのコーンを逆さにしたような感じで、切り立った崖です。 登れません。

グワイヒアはね〜、先っちょにとまったことあるよ。いいでしょ。ふふふ〜

トル・ブランディアとは、エルフ語講座にも書いてありますが、高い島、仰ぎ見る島、そそり立つ島、というような意味です。
ブランディアのブランドは、バラドと類語です。brand、barad、似てるでしょ。バラドって、塔のこと。

で、まぁその、ソフトクリームのコーンの思いっきり大きなのを逆さにしたのが、アモン・ヘンとアモン・ラウの間に立っています。

3つの山が並んでいるのです。 離れて、ですけど。

そして、そのすぐ下流にはラウロスの滝が轟々と鳴っています。
映画のトル・ブランディア、カッコよかったですね〜☆
滝のとこに高〜い島があったでしょ。あれですよ。

で、原作では、あの島の南側、下流を通って、フロドとサムは対岸に渡ります。流されないようにするのが大変だったそうで・・・ 流されちゃったら指輪もろとも滝つぼへ! 指輪はまた見つけてもらうまで何千年もかかるところでした。

映画ではそんな危ない渡り方じゃなかったですね。島が滝のところギリギリだったし。

平時なら、絶好の観光スポットですが・・・ あの時のフロドはそれどころじゃありませんでした。

はい、地図です。位置関係、確認しましょう。こんな感じです。
アラゴルンはロリアンからアンドゥイン(大河)の流れにのって南へ向かい、ネン・ヒソエルという湖に入って、西岸に舟を着けさせます。そこはパルス・ガレン(緑の芝)と呼ばれるきれいなところ。

そこでドタバタがあって、みんなはバラバラに。

フロドとサムは湖を渡って東へ向かいます。

さらわれたピピンとメリーを追って、アラゴルンたちは西へ。北西ですかね。
そっちへ行ってローハンの国を抜けると、サルマンの待つアイゼンガルドがあるのです。

そして、ボロミアの舟はラウロスへと流されたのでした。

さぁ、これであなたも、ネン・ヒソエルに行っても迷わずに済みますよ〜 東へ行っちゃいけません。おっかないモルドールですから。


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