はい、続き。
エルロンドの名前の意味の説明第2弾!

1972年11月30日、Mrs Meriel Thurston宛の手紙によりますと、エルロンドの名前の意味は、
「The vault of stars」
だそうです。ここでは、前の手紙のように詳しく語の分析はしていませんのでいちいち訳しません。
vault は、アーチ形の天井、丸天井、大広間、空。 とかいう意味。 
星の天井、だから星空ってことですな。

あれえ、違うじゃん。先生、洞窟はどうなったのさ。 
あ、そんな口きいちゃいけない。先生、洞窟という話はどうなったのでしょうか? 


では困ったところで、エルロンドの名前の意味の説明第3弾! ロンドについて。
トールキン先生のThe History of Middle Earthの11巻、The War of the Jewelsより。

シンダリンのrond、クウェンヤのrondoの元の形はrono「覆いかぶさる、屋根のように覆う」である。
これは、自然のもの、人工物のどちらにも当てはまる。ただし、その眺めは必ず下側、内側からのものとなる。

rondoが意味するのは、「丸天井、アーチ形の天井で、下側から見るもの(通常、外からは見えない)」もしくは「屋根で覆われた(広い)大広間、部屋」である。

この言葉はまた、見た感じの比喩により、天に当てはめることがよくある。エルフが星についてより深く知るようになってからのことである。

エルロンドの名「Star-dome 星空」も参考に。(エルロスは「Star-glitter 星のきらめき」を意味する)

・・・だそうです。

要するに、「丸天井」とか「大広間」とか「地下のアーチ形の空間」とかいうことで、そこから意味が派生して、大空、天空ということにもなる。
そうそう、下から見ると、同じ形状だもんね。

ここのポイントは、必ず下側、内側から見たところ、っていうこと。
外からは見えない。洞窟の天井、外からは見えないもんね。
空だって、地上から見るからドームに見えるわけで。 面白いなぁ。

下から見て、上にかぶさっているものは、洞穴の天井も大空も同じイメージで同じ語なわけだ。
洞窟は、大きく大きく、おーーーっきく引き伸ばすと天蓋になる。
そして、エルフと星は同じ語を使う。

Elf in the cavern を言い換えると The vault of stars となり、わかりやすく言えば Star dome となる。

「洞窟のエルフ」と「星空」は、すっごく違うように見えます。
でも語の成り立ち的には同じってことです。

エルロンドの名の意味は、「星の輝く天蓋」って感じでしょうか。
洞窟にいたエルロンドは、その小さな空間、小さな宇宙に光る星のように見えたのかもしれません。
「洞窟のエルフ」の意味を読み替えると、「星の輝く天蓋」となる。

まるでマジックだ! すばらしい!
種も仕掛けもございませ〜ん!


さて、グワはここのコーナーを書くにあたって、
1. エルロヒアの名前のロヒアがどーして人間なのさ?
2. エルロンドとエルロスが洞窟に置いてきぼりになったシーンは書かれていないの?
とトールキン協会に2つ質問をしました。その答えは前ページに書いてありますが、担当者さんは他にもいろいろ書いて返事をくれました。
担当者さんが仰るには、エルロンドが洞窟のエルフというのは、この洞窟云々より前に名前はついていたのだから、これは単なる伝承にすぎないと思う、だそうで。 ちょっと引用↓
I think the story is the "folk tale" version of how they were named.
Elrond's name clearly means "dome of stars" which is a completely different thing from star/elf-cave(found-in). Tolkien himself gives it as Vault of Stars somewhere. Elros was clearly named after his mother, as his name means the same thing. I wonder if he was teased about it at school?
つまり訳せば、

エルロンドの名前は星空であって、洞窟のエルフとはまるっきり違うし、トールキンはどっかでvault of starsだとも言ってる。

・・・だそうです。
お返事ありがとうございます〜、そうですよね〜 (と一応丁寧に)
でも、HMの11巻も読んでよ。単なる伝承にすぎなくはない、とグワは思うな。(と一応主張を)
と返事をしておきました。

次が面白い。エルロスの名前はママと同じだって。あぁ、ほんとだ!気がつかなかった。さすがはトールキン専門の担当者さん。
どっちも「星のしぶき」になるんだよね。Elwingのwingも、Elrosのrosも、水しぶきのことだから。
学校でいじめられやしなかっただろうかねぇ、というお返事でした。
やーい、やーい、ママとおんなじなまえじゃん!えるろすのまざこ〜ん!って言われたんだろうなぁ・・・(←言われてないって)

エルロンドとエルロスは洞窟置いてきぼり事件より前からエルロンドとエルロスだった、ってことは、その名前の通りのことが起こった、ということになるかな。
星空、星のしぶきという意味で、それを読み替えると洞窟のエルフ、水しぶきのエルフともとれる名前の子供たちが、その通りの状況で見つかった、という事件だったわけですな。
・・・ってことにしときましょう。


シルマリルの邦訳の索引では、エルロンドの項のStar domeを「星の館」と訳しています。確かにドームには壮麗な建物という使われ方もあります。でも上記のようにみてくると、館とするのは不適かと思います。日本語で館って聞くと普通の建物を連想するし、普通の建物は外から見ることが出来るからね。それに館というと、いろいろ部屋があって廊下があってバルコニーがついて・・・という連想にもなる。裂け谷の館みたいに。でもrondはそういうゴチャゴチャしてるところじゃなくて、丸いものに覆われたところ、という意味だから、やっぱり館じゃよくないな。

ロンドは外から見ることはできないのさ♪ 下から上を眺めるものなのさ♪
↑これが一番楽しい発見だった☆

ということで、素敵な名前をつけてもらったエルロンドくんは、いつも天を見上げて、うつむくことのない、いい子に育ったのでした。

おぉ、まとまった! よかった、よかった・・・


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