ヨーレスのオババさまこと、かおるさんのサイト、旅はとらぶる・トラバーユの、サイト開設10周年記念プレゼント「旅とらクイズ」でいただいたカードと本です。




歴史のなかの女たち―名画に秘められたその生涯 」高階秀爾著

表紙のルクレツィアさんにカードを持っていただきました。(^^) 持ってるように見える?

内容は、絵に描かれている方々の生涯。
王族、貴族、その他有名人の美女たち。
波瀾万丈な人、悲しい人、燃えてる人、いろいろです。
大変だねぇ・・・鷲は平和だねぇ・・・ と思いつつ読みましたよ。
この表紙のルクレツィアさんなんて、ほんとに大変で。いやはや、です。

絵って、いいな。写真と全然違ってさ。写真のない当時、こんな風に描いてもらえる人はごくごく一部だったわけで、こうして姿が残っているというのは、それだけ特別なひとたちだったんだよね。
24人の彼女たちの人生、歴史背景、人間関係、絵の描かれた事情、などなどが読みやすい文で書かれてます。24人で1冊だから、1人ずつの分量はちょっと読むには丁度よく、詳しすぎず、簡単すぎずで、読みたい人からも読めるし、なかなかオススメな本だよ。
興味のある人はぜひどうぞ。図書館にもあるかな? 読んでみてね。

いただいたのはハードカバー!! 届いてびっくりした。今売ってる岩波のは、文庫みたいだね。表紙はアントワネットになってる。そりゃアントワネットの方が有名だから、売ることを考えると、こうなるんだろうな。ハードカバーは絶版なのかも。

貴重な1冊、かおるさん、どうもありがとう。大事大事にします。(^^)


でね、カードですよ、ポストカード。これがまた好きで。(^-^)v
ツボにはまりました。

絵ハガキもつきますよ、って企画で、どんなのが来るかな〜と思ってて、届いて、開けて、「!!」ってなって、嬉しかったです。ウッチェロさんのセント・ジョージとドラゴン♪ サイコー!



タイトルは、「Saint-Georges terrassant Le Dragon ドラゴンと戦う聖ジョルジュ」、
パオロ・ウッチェロさんの絵。パリのジャックマール・アンドレ美術館所蔵。
パオロさんの生きたのは、1397-1475だそうで、すごーく昔の方。

竜がねー、かわいいというか、変というか、あんたどーしたのというか・・・
前足ないんだよ。 普通の竜は足4本で、それとは別に翼がついてるけど、このドラゴンは、形は鳥みたい。かわいー☆ 翼のある獣みたいにも見えるけど。ナズグルさん乗せて飛べるかな?

ぐさっ!とされちゃってますが・・・いたそ。 きゅ、救急車呼ばなきゃ!
後ろに女の人もいますが・・・
そして騎士はイングランドの旗つけてますが・・・ あの赤の十字見ると、なんかサッカーの試合みたいで。
お姫さま、「あら、すてき」と静かに仰ってるように見えます。姿勢のよろしいこと・・・

で、これは、何がどういう事情でこういうことになってるのかというと、
聖ゲオルギウス伝説というのがある。有名な聖ゲオルギウスの竜退治の話。

聖ゲオルギウスって、セント・ジョージのこと。
セント・ジョージと言えば、ドラゴン! ドラゴンと言えば、セント・ジョージ!

日本で言えば、桃太郎と鬼みたいなもので、セント・ジョージと竜はセットなのだ。
桃太郎と聞いて連想するのは、まず、きびだんご♪ それから、どんぶらこ。川へ洗濯。山へ芝刈り。おじいさんおばあさん。犬、キジ、サル。そして鬼だ。
なぜきびだんごがトップかというと、世の中、食べ物が一番大事だからだ。うむ。

ま、そんな感じでね、セント・ジョージと言えば、とにかく竜なの。食べものは出てこないなぁ。戦うには、まず食べなきゃね。日本のお話の方が健康的かも。


で、そこから (食べ物じゃなくて、セント・ジョージと竜のセットから) 派生したものは、いろんなのがあるけど、例えば、これ、鷲の好きな本。話の前後の部分がきれいで味わい深い。でもその前後はカットされてるものが多い。
元々のオリジナルと、書き直しバージョンがあって、特に、Inga Mooreって名前が入ってるのは、書き直されて短くなってる。このカットしまくり版は感心しない。話の前後も丸ごとカットだし。そこのところがいいのにな。
訳書は、Inga Moore版はのんきなりゅう。オリジナルの訳のはものぐさドラゴン。しかしこれは訳が堅すぎて読みにくい。他に訳者が違う絶版バージョンもある。これは読みやすいけれど前置きのところは超簡単にまとめただけで、終わりの部分もカット。その絶版書の絵の担当はというと・・・詳しくはこちら。になる予定。
インガ・ムーア版には、あのローハンの旗のモデルとも言われるアフィントンの白馬の丘がセント・ジョージと竜が戦ったところだとか書いてありますが、それは違うだろう・・・な。
ものぐさドラゴンの本は、セント・ジョージと竜が出てくる別のお話も載ってます。

アーサー・ランサムのロシア昔話 にあるセント・ジョージの話も笑える。英雄をそんな風に書いていいのか?って感じ。まぁ、英雄も天使さまもあんまり立派すぎない方が気楽でよろしい。これには竜は出てこない。その男は、言われた通りにしただけで、ちっとも悪くないんだな。可笑しいよ。アーサー・ランサムはツバメ号シリーズで有名で、ヨーレスのオババさまはその方面の専門家でいらっしゃいます。こちら。このロシア昔話とツバメ号は相当違うけどね。

コルディコット賞受賞作品というSaint George and the Dragon は、個人的個鷲的にはあんまり好きじゃない。だいぶ話が違うし。話を変えるんなら、上のみたいにとことん変えないと。


で、その、世に知れ渡る勇者セント・ジョージさまとドラゴンの話、ほんとの大元はどうなってるかというと↓


リビアのシレナっていう町の近くの湖にドラゴンが棲んでてね。この町は、伝承によっては場所も名前も違ったりする。湖が池だったり泉だったり・・・訳し方もあるんだろうけど。池じゃねぇ。カエルや鯉じゃないんだからさ。やっぱり湖がいいな。

で、とにかく、そのドラゴンはワルなの。それをなだめるのに生け贄が要るわけだよ。それで羊を毎日差し出していた。そのうち羊の在庫は底をつく。当たり前だよな、とか思うけど。
で、次は人間を差し出すことになる。若者たちが生け贄になる。そのうち若者も少なくなってくる。当たり前だよねぇ。そして、王女さまがくじに当たって行かなきゃならなくなる。王女さまは都から連れて行かれて、岸に置き去りに。

そこへヒーロー登場!! どうして下々の者たちが生け贄になってるうちは登場しないのかが不満ですが・・・
それより、羊さんたちが差し出されてるうちに来てくれればよかったのに。
っていうか、竜が現れた時点で来てくれれば、羊さんたちも可哀相なことにならなかったのに。
いや、鷲も羊は食べるけどさ。ホビットの話にも出てくるでしょ。山のいい空気の中で焼き肉、素晴らしいねぇ。あれはビルボは不満だったみたいだけど。 羊はジンギスカンも、おいしいよ。あれって、ジンギスカン鍋で焼くより網でバーベキューにするのがいいんだよ。羊は食べても太りにくいんだってね。いいことだ。たれに漬け込んだやつは、お店によって味も肉も全然違うから、お気に入りのを見つけるのが・・・
・・・じゃなくって、高貴な美女じゃないと助けてもらえないのは世の中不公平なんじゃないのかという話だ。

とにかく、そこへ通りかかったゲオルギウスが、話を聞いて、生け贄など、そんなことは許さんということで、英雄は話の展開としては負けるわけがなくて、ドラゴンを退治して、王女さまは助かり、ゲオルギウスの教えに従って、住民はみんなキリスト教に改宗しましたとさ、めでたし、めでたし、という話。

要するに、邪教とキリスト教の入れ替わりの話なわけだ。ジンギスカンの話じゃないよ。
っていうか、問題を先送りにして、とりあえずその場限りのことしか考えてないと、住民は全滅しますよ、って話のような気もするけど。誰もいなくなったら、竜は引っ越すだけだ。

岸に置き去りにされて捧げものになってる姫を勇者が救うっていうのは、ギリシャ神話のペルセウスとアンドロメダみたいで、あの流れを汲んだ話なんだろうな。
牛や馬やガチョウじゃなくて羊なのは、キリスト教の話だからなんだろう。

カードの王女さまは、「あらすてき♪」って言ってるわけじゃなくて、祈りのポーズかな。同じ主題の絵では、他の人が描いたものもこのポーズが多い。


で、聖ゲオルギウスの名前の読み方は地域によって言語によって音が変わって、セント・ジョージ、サン・ジョルジョ、サン・ジョルディとかいろいろになります。

サン・ジョルディの日ってあるでしょ。本を贈りましょうっていうの。イマイチ普及してないけど。 4月23日なんて、覚えてる人、なかなかいないよね。
あの日は、もともとゲオルギウスさんの祝日になっている。誕生日だとか、命日だとかいう話もあって、でもそんな昔のこと、ハッキリしないのは当然で、しかし聖人の祝祭日は、殉教の日というのが普通らしいから、まぁとにかく4月23日はゲオルギウスさんと何か関係があるんだろう。

だけどサン・ジョルディの日は、どうもバレンタインみたいには盛り上がらない。時期も悪いよね。ゴールデンウィーク直前なんて、読書どころじゃないもん。みんな、遊ばなきゃ!!ってことで頭いっぱいだし。
それにやっぱ、食べ物じゃないとダメなんだよ。だって、本とチョコとどっちを取る? グワなら断然、チョコですよ!! チョコより本の方がいいなんて、アナタ、そんなマジメなこと言ってちゃいけません。ジンギスカンにビール、バターにハチミツにホットケーキ、そしてチョコケーキに濃いコーヒー・・・あぁ。あぁ。人生は楽しく♪ 鷲生も楽しく♪

ええと・・・・・・ そうそう、聖ゲオルギウス、聖ジョージ、聖ジョルディ、聖ジョルジュ、聖ゲオルクは、全部一緒、って話です。よろしいですね? サンとかセイントとかってのは、聖のことで同じ。

イングランドの旗つけてるのは、ゲオルギウスはイングランドの守護聖人で、ゲオルギウスの旗をイングランドが採用してるから。
つまりセント・ジョージさんがイングランドの旗をつけてるわけじゃなく、イングランドがセント・ジョージのシンボルとなってるマークを旗としただけで、それでサッカーの試合になると、そこら中、赤十字だらけになるのだ。
英国の旗、ユニオンジャックは、イングランドとスコットランドとアイルランドの守護聖人のマークを組み合わせて線だらけになっている。

ゲオルギウスさんは、今のトルコのカッパドキアのご出身だそうだ。当時はその辺はローマ帝国だった。
ほんとにいた人で、なんで聖人かというと、殉教しちゃったんだって。
ローマの軍人で、キリスト教徒になった。皇帝側からはキリスト教をやめろと言われる。しかし頑としてやめないと宣言し、さんざん拷問を受け、それでも屈せず、殺されちゃった。そして聖人となる。

これは4世紀初め頃の話らしい。

時代は下り、十字軍の戦いの頃に聖ジョージ熱は再燃する。敵は竜みたいなもので、そして殉教したゲオルギウスのように戦うのだ!ってことで。
戦いの中、ゲオルギウスが白馬に乗って現れ、キリスト教軍を勝利に導いたという (ことになってる)。いや、そうなんですよ、きっと。ほんとに。 白馬ですもん。アスファロス!!飛蔭は映画では真っ白だったけど、原作ではシャドウだから、白いのはアスファロス♪
ゲオルギウスが戦場に現れたという話は複数あって、それが伝播し、ゲオルギウス信仰が強くなる。

セント・ジョージは戦いの守護神となり、どこの国でも戦いの際にはセント・ジョージの加護を祈り、自らもセント・ジョージの如く戦う、というのが広まった。もう、どういうシチュエーションでも敵は竜なわけ。

英国の王さまも、ジョージっていう人、何人もいる。
イングランドの守護聖人がセント・ジョージなのは、国が危なくなったらセント・ジョージのように戦い、国民を守るということで、元々のゲオルギウスさんがずっと東のトルコの方の人とかいうのは関係ない。

イングランドの旗が十字になったのは、政治的な理由その他もあったらしいけど、十字軍遠征で身につけた十字とセント・ジョージが結びつき、十字軍後もお守りみたいにして騎士たちはあの十字をつけた・・・んだそうだ。そしてジョージさまのシンボルのもと、一丸となって戦う。

そしてセント・ジョージは竜退治の話がやたら有名になって、ゲオルギウスといえばドラゴンとの戦い、ってイメージが定着し、どこでもここでも、絵でも彫刻でも版画でも勲章でも旗でも絵本でも、槍持ってドラゴンを相手にしている。ガーター勲章にもジョージさまがついている。


ええと、それで、カードのドラゴンは前足がないって話。

聖ジョルジュさまがやっつけた竜は前足のない種類だったのかというと、そうでもなくて、いろんな絵があって、もうこうなったらとことん!ということで、どどどど・・・!と並べました。
それぞれ、行った先でサムネイルをクリックすると大きくなって、200%とかにも出来るようになってるから、よーくよーくご鑑賞ください。


ティントレットさんのはここの下から2番目。

姫っ! ご自分だけ逃げないでくださいっっ!(爆)

実際はこうなるんだろうけど。(^^;;)

遠くに見えるお城、立派だね。

なんか、この攻撃の勢いは、ゲオルギウスさんがというより、お馬さんが、って感じ。ゲオルギウスさんは槍持ってればいいだけで。

これの構図は面白い。メインのはずの竜をぐさりとやってるのはよく見えず、逃げる姫がアップになっている。向こうがお城で、姫は逃げれば逃げるほど、自分の城から遠ざかる。生け贄ってことで見捨てられた城から。


カルパッチョさんのはここの下の3枚、全体と部分拡大。

槍がね、右手で持ってるのに馬の首よりこっち側なのさ。
槍が全部ちゃんと見えるように、ゲオルギウスさんはカメラ映りを気にしてるのですよ。
イケメンとしては、観客の目を常に意識するわけです。はい。

白馬じゃないね。
姫はちょっとオバさんぽくて(失礼)、 落ち着いていらっしゃいます。




これも同じくカルパッチョさんので、ここの下から6番目。
上のより後の絵らしい。
上のよりいろいろ立派になってる感じ。木の陰にいるのが姫なのかな。
ルーベンスさんのはここの上から8番目。それの練習らしいのがここの下から4番目。

槍、折れちゃってるし。 ドラゴンさん、前足でつかんでる。痛そ。この竜はちょっとかわいいな。
姫は落ち着き払って、ムフフな感じ。
生け贄役の羊も一緒にいる。

ゲオルギウスさんもすごい。何だか三国志の関羽のような・・・
がっしり系で、二枚目系じゃないゲオルギウスさんも珍しい。男は草食系のキレイ系より、こういう方が強いに決まっている。

ゲオルギウスも姫も、お馬さんも、みんなしてお肉と筋肉もりもり。
さすがはルーベンス。

凄すぎ。やりすぎ。カメラアングル、撮り方が特撮映画的。




ラファエロさんのはここの上から7番目。

お馬さんがカメラ目線です。余裕!!

ゲオルギウスさんは、聖人なので頭に輪っかがついてる。
大変そうなのは竜だけで、あとの皆さんの興奮度はあまりなく、ラファエロらしい。
これもラファエロさん、同じくここで上から9番目。
間に挟まってる8番目のは聖ミカエルのドラゴン退治。ミカエルさんは天使だから翼がある。
ジョージさんには翼はない。

この絵は槍じゃなくて剣になってる。槍、折れて転がってるね。ドラゴンさんには槍が刺さってるけど、それにもめげずに聖ジョージに立ち向かっております。
お馬さん、太りすぎ。中性脂肪が溜まりすぎ。食べたら適度な運動を。ということでドラゴン退治に参加しております。




マルトレルさんのはここの3番目。
ドラゴンの翼に○のマークが並んでるのは、ウッチェロさんの竜と同じ。
ドラゴンの顔、「あちゃー!!」って感じで人間くさい。
ゲオルギウスさんはちゃんと赤の十字をつけてる。
お城にはギャラリーが。
羊さんと王女さまは冷静。
なかなか立派。ゲオルギウスの輪後光も立派。
ベッリーニさんのはここの上から5番目。
竜がちゃちい・・・(^^;;)
翼もついてるのかどうかわからないくらいだし。これは絶対飛べないな。
このくらいの竜なら、お姫さま、自分で逃げれそうだったりしますが。聖ジョルジュの助けがなくても、都の皆さんで何とか退治出来るのではないかと・・・

槍、折れちゃってる。模様がキャンディみたい。赤の十字の色だ。
これはお城にギャラリーはいない。せっかくの名シーンなのに! 皆さん、見物しなくていいんですか?




ソドマさんのはここの上から7番目。

赤の十字がいくつも見える。
馬はあんまり美形じゃないな。
遠くには人がちらちら見える。船からも見物してるらしい。
ゲオルギウスは腕も足も出してて、それは戦闘時には危ないんじゃないかと思いますが、アニメの指輪(バクシ版)のアラゴルンの格好もこんなんだった。




ヴィッターレさんのはここの上から2番目。

うーん・・・ あんまり美形ではない。(失礼!)
ま、実際はゲオルギウスも、馬も、姫も、こんなもんでしょう。(失礼!)

竜のおめめがかわいいかも。
足は前も後ろもついてるし、翼もあり。


コロンベさんの彫刻はここの上から3番目。

笑っちゃいけません。
でも竜がねー、短足で。翼はちっちゃいし。お顔も怪獣映画の着ぐるみちっく。
この体であの翼じゃ、空中には絶対上がれないよな、と思うけど。

これも上の方のカルパッチョさんのと同じで、槍は右で構えてるのに、馬の首の左側になってて、ちゃんと見えるようになっている。


これもサイコー☆ クリックすると大きくなります。

またまた笑っちゃいけません。(^o^)
ジョージさんのおめめが何とも・・・ そして姫がかなり年上のようで・・・
14世紀の木版画だそうで、守護聖者(中公新書)に載ってます。
あまりにも可愛いからご紹介。


で、こうしてみると、竜が「ちゃちい」のが多い。少しは立派なのもいるけど。
絵的には、竜が大々的に大きくて凄まじい方が「おおおおぉぉぉぉ!!!」ってなって良さそうなのに、どうしてこういう感じで描くのか?
こういうのって、セント・ジョージ関係でなくても、よくある。敵がやたら「ちゃちい」の。(^^)

なぜそう描くのかというと、英雄側、神側から見れば、いくら凄まじい相手でも、大したことないんですよ〜〜、っていうのを表したいから。

だから、そういう描き方をすれば、スマウグも犬くらいになるし、ナズグルさんもホビットくらいになるし、サウロンさんの目なんて、ビー玉くらい、かな。 かわいー♪ 鬼太郎のパパみたい。
そして、正義の側は普通の大きさで描かれて、アラゴルンがいてくれれば、もう、ぜんっっぜん、こわくありませんよー、という絵になる。


でさ、ウッチェロさんの、上のいろんなのと比べると、変わってるでしょ。もう笑っちゃう。かわいー
上の方々の竜は、憎々しいのが多いけど、ウッチェロさんの竜は、憎めなかったりする。
そんなに巨大ではないけど、描き方は立派。凝ってるよね。高級感あるな。
そしてやっぱり前足がないのが気になる。

で、綺想迷画大全 に拠ると、この竜の大元は、コウモリなんだそうです! そっか。それで前足がないのもアリになるのかな。面白いねぇ。
中国では蝙蝠と書いて蝠が福の字と右側同じだし発音も一緒で、コウモリとはありがたいもので、仏さまの弟子として描かれたりして、それが西に行くと、福につながるものではなくなり、翼の形だけが妙に印象に残ってこういう絵になる・・・んだそうです。

たしかにドラゴンの翼は大抵コウモリの形だ。羽毛はついてなくて、コウモリ系の作りになっている。
トールキンのジャイルズの話にも、コウモリのように、like a great bat 、ってくだりがある。
トールキンのドラゴンは前足あるけどね。

で、ウッチェロさんの聖ジョルジュのドラゴン退治の絵はもう一枚ある↓


上の本の著者、中野美代子先生は、この絵が大好きなんだそうで。 へぇ・・・

ドラゴンさん、かわいそ〜〜 いくら悪いドラゴンでもさ。 これは痛いよねぇぇぇ
スマウグみたいに胸を射られるのとは、ちょっと違うな。
こちらはロンドンのナショナル・ギャラリーにあるそうです。行くことがあったら、これ探して、あー、かわいそうだねぇぇと言ってあげてください。

翼の目玉、3つずつ。 絵ハガキの絵では8つ。
この絵では、翼の上から見ると白目で、裏から見ると、赤い。血走ってますよ! サウロンさんかな?サウロンさんが6人もついてる!! それなのに、ぐさっ!とされちゃって、サウロンさんの御利益なかったみたいです。

洞窟のデザインは似てる。お姫さまのドレスは違う。着替えたのかな。カードの絵のドレスの方が豪華だし、お姫さまも品格が高いような。
どっちの王女さまも、落ち着き払ってる。高貴な方というのは、興奮したり騒いだりしないのですねぇ。

カードの絵の方が後に描かれたらしいです。中野先生の本によれば、上のが1456年頃、カードのが1460頃。
うーん、そうか〜、着替えたわけじゃないんだな。4年経つとみんな変わるよね。洞窟は入り口のところがなめらかになっている。尖ったところに引っかかったら危ないから、ガタガタしてるとこを削ったんだろう。
お姫さまのドレスもセンス上がるし。竜の翼の目も増えるし。みんな大人になるんだよ、きっと。 目を刺されないように気をつけるようにもなるわけで。(ちがう)


そんな感じで、いただいたカードでここまで盛り上がって楽しませていただきました。

鷲的には、上で紹介したのを全部ひっくるめて、カードの絵が一番好き。かわい〜よ〜〜
ほらね↓


姫もこれが一番かわいくて素敵。上のいろんなのと比べると、全部が整ってるのがよくわかる。
ゲオルギウスも、馬も、姫も、竜もね。
槍の角度も、みんなの視線の方向も、きちんと出来てる。
竜の左足と馬の前脚が向きあって、角度がきれい。
竜の右足と馬の後ろ脚が向きあって、角度がきれい。
それにゲオルギウスのまっすぐな脚と、お城への道の向きが加わって、またまたきれい。
竜の●と馬具の○の並びの対比がきれい。
馬具の色と、お城の前の人の服の色が同じできれい。
赤が置いてある場所がもう一ヶ所、姫のドレスが他の赤より濃いから映えてきれい。
ゲオルギウスの甲冑と姫の袖のラインの色が似てて、それが向きあった角度で絵の両側にあって、きれい。
どれも形、ポーズ、配置が、きれい。
洞窟の中、整理整頓されている。ドラゴンさん、きれい好きらしい。いいことだ。形は、映画のローハンのテントみたい。
畑には何植えてあるのかな。畑が見えるのは、ジョージさんの名は、英和辞典に拠れば、「ギリシア語で“farmer”の意」とあるから、そういうのも関係してるのかもしれない。

ウッチェロさんの、大きくしてよーく見たい人はこちら。下から3番目と4番目。


ということで、サン・ジョルディの日は本を贈るということになってて、そのサン・ジョルディの日近くの時期に、サン・ジョルディの絵と、絵と歴史に関する本をセットでいただきました。
これって、すごくない? 最高の組み合わせ。

そしてセント・ジョージはトールキンの国の守護聖人。ドラゴンがいてくれないとミドルアースの話は成り立たない。すばらしすぎ。

かおるさん、どうもありがとう。(^o^)


以上、話があちこち飛んで、相当わかりにくかったかと思いますが (^^;;)、とにかく、鷲はうれしかったのでした。(^-^)v って話でした。


セント・ジョージごっこをして遊んでいるガン爺と木の鬚とアルウェン。
うーん、ドレス、絵の姫に負けてるかも。


たのし〜〜♪ (^o^)






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