2004年、びわ子さんの旅行レポートです。まずはイギリス。


トールキンのお墓。
良い季節だったので、お墓に植えられたラベンダー(?)が咲い
ていました。


次、スウェーデン。

王宮の武器博物館エントランスにて。
アラゴルンもお出迎え。←何故、置いてあるのかは不明です。

次はストックホルム郊外のルーン文字が彫られた碑石。

ギムリが刻んだんです。(大ボラ)
この岩は、ストックホルムから北西40kmくらいにある、シグテューナ(Sigtuna)というところにあります。
メーラレン湖に面した、スウェーデンでも最古の街の一つだそうです。
この石碑は11世紀くらいのもののようです。

びわ子さんのレポートでした。どうもありがとう!(^o^)

石、補修した跡があるね。割れちゃってたんでしょう。残りの部分もあるといいのにな〜 でも全部ないのがいいのかもね。いろいろ想像が膨らんで。

ルーン文字が並んでる。ぐるぐるぐる・・・ う、読めない・・・でも読めないのもしゃくにさわるな。ゆるせん。
そこでグワはノートに字を書いてabcに直してノルド語の辞書とドタバタ取っ組み合いをして読んでみました。北ヨーロッパの古語はノルド語といいます。

ということで、ここからは上の石に何が書いてあるのか、って話です。  おー!(←気合いを入れないとまとまらない)

まず、見える部分はこうなってます↓

ルーンって、地域によって書き方違うのさ。で、これはデンマーク式で書いてある。aとかkとか書き方が他のと違うの。スウェーデンなのにデンマーク式?って思うけど、この何とか式って地名はアバウトで、スウェーデンでもデンマーク式で書くのは珍しくない。
ドワーフが使うキアスは、このルーン文字だけど、字もかなり違うし、同じ形のがあっても割り当てが違う。i は同じかな。棒一本ね。

ドワーフが使ってた文字が時代が下るに従って各地で分化して、地域によっては文字数が減っていった・・・ってことですな。そうですよ。ドワーフはほんとにいたんだから。

このデンマーク型は、字数が少ないからすぐ覚えられる。16字しかない。ここのページをよーく読んだ人はデンマーク式はだいぶわかるようになるよ。

ルーン文字は、単語をいちいち分けないでずら〜〜〜〜っとくっつけて書いたりもする。この碑文では×印で区切ってあるからわかりやすいです。他に、: で区切ることもあります。

下に見やすくおっきくしました。オレンジの矢印がある側が字の下側になります。ぐるぐるまわって逆さまになってるところもあるからグワが書いたのとよーく見比べてみよう。


さて、この普通のアルファベットに直したのを並べてみるとこうなる。



左側 下から上へ
sua・・・・・・・sa stain・・・・・・・faþur sin

右側 下から上へ
auk frau tis at ulf bana sin kuþ h ・・・・・ans

こういう碑文っていうのは、「誰それが何とかかんとかってことをして、それを記念して誰それが建てました。どーだ、すごいだろ」とか「誰それが死んじゃったので、その想い出に誰それが作りました、神よ、彼をよろしくね」っていうパターンが多い。どーだ、すごいだろ、の場合は、そのすごい人を讃えて他の人が作ったものもあるし、俺はすごいんだぜ、って自分で作っちゃったものもある。

そして、誰が作ったのか、誰が何をしたのか、誰のためになのか、誰が関わったのか、誰が書いたのか、などなど人名がたくさん含まれるのが普通。だから辞書に載ってなかったら、人名の可能性が高い。慣れてる人は見ただけでわかるんだろうけど。大体、文で人名がくるべき位置は決まってるしね。

で、これはウルヴさんという人がお亡くなりになったときのものらしい。たぶん。

誰かが亡くなったときの書き方は大体決まってる。
まず、建てた人の名前が初めにくる。
ファラミアが建てました!or 建てさせました! となる。

何を、ってことも一応言ったりする。
石を! となる。 この石をってことね。

そして、誰それのために、と続く。
ボロミアのために! となる。

そして、両者の関係が述べられる。
おのれの兄である、となる。

要するに、
ファラミアが、その兄であるボロミアのために、この石を建てました。 となる。

語順は、
ファラミア 建てさせました 石を ために ボロミア 兄 彼の(おのれの)

で、終わりに、神よ彼の魂をよろしくね、となる場合もある。
間にいろいろ入るけど、これが基本。

単語は、
ファラミア 建てさせました 石を ために ボロミア 彼の(おのれの)
まず人名。主語。 lit raisa stain at 人名 bruþur sin

こんな感じ。
sinっていうのは、「彼の、彼女の、彼らの、その」って意味で、主語と同一人物を示す。
だから、この場合はファラミアの、ってこと。
上のは兄にくっついてるから、sin。 これが母とか女性だと sina になる。
主語がファラミアだから「彼の」だけど、これが女性なら「彼女の」
要するに、おのれの、ってこと。

ではそれをふまえて、左側の文字列を辿ってみよう。

下の方は欠けててよくわからない。
まずsuaっていうのが読める。一番下ね。これだけだとわかんないけど、普通は主語が初めにくるから、suaなんとかさんは、ってことだろう。

欠けてセメント(?)で補填してあるところの次、左の横のところ。だんだん上が欠けていくからちょっとしか読めないけど、まず、〜sa っていうのがあって、次はsuainじゃないか?と、はじめグワは思った。uは右の方がうすくなってるけど、uだな。i は、下の方しか見えないし、上に何かついてて f か k の可能性もある。でもたぶん i だ。なぜなら、suainという単語があるから。単語っていうか、人名ね。
スペルはいろいろ変わるけど、スウェイン、スヴェイン、って系列があって、suain、svainって書く。スヴェイン・フォークベアド、っていうデンマークとイングランドの王さまは、sveynと綴る。1014年に亡くなっている。
このスウェインって名前は北ヨーロッパではよくあるらしい。ルーン文字の本でもスヴェインって出てくる。アイスランド語の本なんかを見てると(←グワの場合、読んでると、ではない)、svainnってたまに見かける。suainと同じこと。

でもここに人名が来るか? ちょっと早くないか? 

で、なんでこの位置にsuainが出てくるのか・・・・ と思ってよーくよーく写真を見てみると、u かと思ったのは、u ではないんじゃないか、ということに気がついた。字の右側が薄くなってるのかと思ったら、単なる石の影みたい。なーんだ・・・

上の方は欠けちゃってるけど、これはstainだろう。上の ^ のところがどっか行っちゃったんだね。aやnの斜め線は何とか残ってるから、この位置に書いてあってそれらしいのは、碑文のパターンから考えると、stainでいいと思います。
これは、ほんとは、steinn で、それを stain と書くのは、デンマーク型には e がないから、a と書く。nnみたいに続くのは、一個で済ませるの。

で、ここに「石を!」っていうのがくるということは、その前に「建てましたっ!」がないといけない。
欠けてるところの次に、saが見えるのは、raisa のsa だろう、という推測がつく。raisa は reisa 。なぜなら、デンマーク型にはeがないから。
「建てさせましたっ!」になると、lit がraisaの前につく。litは書くとで、そんなに場所はとらないから、ここはスペース的にどちらもありかな。これはlataの活用形で、litじゃなくてletなんだけど、eの字がないからiで間に合わせる。

よしよし。何となく見えてきた。
じゃあ、初めのsuaは途中にあったかと思ったsuainさんかもしれないな〜 
そういうことにしようか。(←いいかげん)

で、raisa stain の続きは棒の下のところがちょこちょこ見えるだけでわからない。

でもぐるっと廻った上の方は読める。おぉ、よくあるパターンそのまんま♪

faþursin  ここはくっつけて書いてあるけど、語的には途中で2つに分かれる。sinがついてるやつだ。主語と同一人を指すやつね。だからsuainさんのfaþur ってこと。

さぁ皆さん、考えましょう。faþurってなーんだ? 
なんとなく。ほれ、あれですよ。þって、thのことね。

考えよう

 ↓

考えよう

 ↓

考えよう

 ↓

考えよう

 ↓

考えよう

 ↓

考えよう

 ↓

考えよう



考えよう

 ↓

考えよう



考えよう

 ↓

考えよう



わかった? 

そーです、fatherです。これにsinがくっついて、その父、ってことになる。

ここまでをまとめると、

ファラミア 建てさせました 石を ために ボロミア 彼の(おのれの)
まず人名。主語。 lit raisa stain at 人名 bruþur sin

これに当てはめると、

主語 建てさせました 石を ために 人名 彼の(おのれの)
suainさん lit raisa stain at なんとかさん faþur sin

赤いところが、読めるところ。stainとfaþurの間は結構長いから、他にも何か書いてあったんでしょう。



次、右側。
auk frau tis at ulf bana sin kuþ h ・・・・・ans

一番下の auk は and のこと。なんで初めに and がくるかというと、左側の続きだから。

ちょっと飛ばして真ん中へん。
ulf bona sin 。 ほら、また出てきた♪
ulf が固有名詞で、人名だ。終わりが f だと「フ」じゃなくて「ヴ」と読む。だからウルヴさん。
困るのはbonaで、これは辞書にも出ていない。なんで出てないかというと一字抜けてるから。 
bondi は載ってる。bondi が活用されてbonda。 で、これはbondaなのでした。

勝手に作ってんじゃないのか、グワ!って声もありそうですが、ここは前後からしてbondaでいいはずです。誰かの誰かの関係を表す言葉がくるはずだから。

どうしてd が抜けてるのかというと、デンマーク式ルーンにはd がないから。で、tで代用したりするはずなんだけど、ここは飛ばしちゃったらしい。まぁ、書かなくてもわかるんだろう。でも丁度そのdが入るべきところで石が割れてて補修した跡があるから、もしかしたらそこにtがあったのかもしれない。

bondi っていうのは、「夫、主人」のこと。よくある普通の単語だね。ダンナのことだから後ろについてるsinが指してるのは女性のはず。(男性だったらちょっとヤバイ)
で、このulf bona sin の意味は、
ulf bona sin
ウルヴ 彼女の
「彼女の夫であるウルヴ」となる。

このbondi は、husbandのbandなんだよ。
hus はノルド語でhouseのことで、husbondi ってくっつくと、master of the house ってこと。家長ですな。
で、英語になるとhusband。

前に主語、つまりsinの本体がなきゃならない。frautisっていうのが奥さんの名前なんじゃないかな。これはたぶんfraudis。なぜならデンマーク型には t の字がなくて d で代用するから。
北欧のサイトに行くと、Frøydis って女性の名前が見つかる。何て読むのかわかんないけど。(^^;)
2つに分けて書いてあるのは語的にそこで分かれるんだろう。

勝手に作ってんじゃないのか、グワ!って言わないように。ははは・・・
ここに人名が来ないと変なんだよ。文が成り立たないもん。

次、at は、英語で言えば for とか to とか towards とか。

auk frautis at ulf bona sin
そして フラウディスさんは ために ウルヴ 彼女の
となる。

kuþ っていうのは、ほんとはguþ のこと。どーしてkで書いてあるかというと、デンマーク式ルーンにg がないから。ダンナの bonda の d は抜かせても、guþ の語頭にある g は抜かせないんで k で代用。これはGod のこと。神さま。さすがに神さまの初めの字は省略出来ない。

で、決まり文句として、「神よ、誰それの魂を救ってくださいな」っていうのがある。
ついてないものもあるけれど、ここではkuþ の字ははっきりしてるから、その決まり文句だと思われる。欠けてる部分にその「救い給え」が書いてあったはず。
欠けてるギリギリのところに h らしき字が見える。棒の真ん中に×の端っこがちょっと見えるから、たぶん h だと思う。
help, saveを意味する、救うという単語、hjalpa というのがあって、これがチラッと見えるんだろう。

そしてぐるっと廻ってきたところに ans の文字が残ってる。これはたぶん hans だろうと思う。hans っていうのは「彼の」ということ。これがhennarなら「彼女の」になる。
これの前にspirit, soulを表すandiがあったはずだ。
で、「神よ、彼の魂をよろしくね」っていうか「神よ、彼の魂を救い給え」となる。


勝手に作ってんじゃないのか、グワ! って言わない言わない。(^^;;)
書き方のパターンを考えるとたぶんそうなんだろう、ってこと。



こういう碑文によくあるパターンは上でも言ったけど、「誰それを記念して、誰それが建てました」っていうのが多い。その記念される誰かは、まだ生きてる場合もあるし、亡くなった人のときもある。
亡くなった人のために建てるのは、普通は親族だ。子供とか兄弟とか。

だからここは素直に考えると、このルーン石碑には、ウルヴさんがお亡くなりになって、その息子のスウェインくんと奥さんのフラウディスさんが、神さまよ、とーちゃんの魂をよろしくね、って祈っている、ということが書いてある・・・・・・のではないかと思われる・・・・のでした。 たぶん。
右側と左側の指す人物は別かもしれないけどね。左側はウルヴさんじゃないかもしれない。

でもまぁ、ここまでをつないでまとめると、この岩に彫ってあるのは、

「スウェインはその父であるウルヴのために、そして、フラウディスはその夫であるウルヴのためにこの石を建てた。神よ彼の魂を救い給え」

って感じ。とりあえず読めるところから推測するとそうなる。欠落部分が結構あるから、他にも何か書いてあったはず。

ずーーーっと昔の岩の文字も、辞書と参考書があれば鷲でもこうして何とか読める。なんか感動だよねぇ。いろいろ想像が膨らむわけだよ。ulfさんはどんなおっちゃんだったのかな・・・とか。彫ったのはどんな人だったのかな・・・とか。出来たとき、どんな人たちが周りを囲んでたんだろ・・・とかね。その日は晴れてたのかな。雨だったのかな。その後みんなで一杯飲んだんだろうか・・・だったらグワもお相伴に・・・←違う。

北ヨーロッパへ旅行することがあったら、ルーン文字の碑文や品物を見つけて感慨にひたってみてね。

そして、ストックホルムに行ったなら、ぜひこのシグテューナに寄って、この岩見つけて実物で読んでみてください。




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