Hwaet!

映画、オープニングのナレーションは、これで始まる。

ちゃんと字も出る。昔風のアルファベットが並ぶ。

Hwaet とは、こういう語り物の冒頭の決まり文句だ。
原詩のベーオウルフも、Hwaet で始まる。

だから、もともとのファンは、映画の初めでこの文字が見えると、きゃ〜〜〜☆、となるわけ。

hwaet は、what の古語だ。しかし冒頭で「何?」と訊いてるわけではない。
ではどういうことか、見てみよう。

解説の抜粋 訳文
忍足版 叙事詩の吟誦を始めようとする伶人が聴衆の注意を惹き、静粛を求めるための決まり文句。「何」の意の疑問代名詞を間投詞的に用いたもの。口誦時代に起こった形式で、古英語の他の叙事詩にも現れる。 いざ聴き給え、そのかみの槍の誉れ高きデネ人の勲、民の王たる人々の武名は、貴人らが天晴れ勇武の振舞をなせし次第は、語り継がれてわれらが耳に及ぶところとなった。
山口版 感嘆詞的要素。Ah, la, what ! などの意。 ああ、我らは去りし日々に槍のデーンの王者の栄え業を伝え聞いた、如何に勇将達がその勇気を振るったか。
苅部・
小山版
Old English, Old High German などの叙事詩の朗唱を始める際の formula の1例。
疑問詞の感嘆詞的用法で、Lo, Indeed, Hear に相当する。
朗唱を始める吟唱詩人が聴衆の注意を引き謹聴を促すためのもの。
これから物語ろうとする詩の主題を述べるためのもの。
いかにも我らは、「槍の」デネの過去における国王たちの栄光を伝え聞いた、貴人らが武勇の業をなした次第を。

訳の下線つけた部分が、Hwaet に相当する部分。いろいろな訳し方がある。

映画の文、冒頭は、原詩の初めにもある「槍のデネ」という言葉を入れて似た感じにしてある。
続く「残った話もあれば、なくなっちゃった話もあって、でもちゃんと本当のことなんですよ」の部分は映画のオリジナルだ。

ってことですので、映画の初めに Hwaet が見えたら、きゃ〜〜〜!!と喜んでください。



彼の名前は研ぐ者