過去形

過去形は、現在形よりはちょっとだけめんどくさい。特に☆動詞が。
言い方を変えると、現在形より面白いってことだ。
世の中前向きに♪ へりおーーーー!!!! 

エルフ語は英語の時制とピッタリ対応しないから、英語で言えば過去完了になるところでも過去で済ましちゃったりもする。過去分詞は、一人称単数過去とスペルは同じなんだけどね。
まぁその、過去っぽいやつはひっくるめて過去なのさ。 ってことにしとこう。日本語もそうだよね。
へりおーーー!!!

◇動詞
.
語幹+nne+人称語尾
人称語尾なしの三人称単数は、nt をつける。

三人称単数以外は人称語尾ありだから、nt に n とか m とかつけると言いづらいというか言えなくなっちゃうからnneなのだ。eって母音をつけて、主語が誰かを言いやすくする。

dartha (待つ〜ガマンして待つのニュアンス) の場合
dartha + nne + 誰それ、 となる。
darthannen ぼく、ガマンしていいこで待ちました。
darthannem わたしたち、ガマンしていいこで待ったのよ。
darthannech キミ、ガマンしていいこで待ったんだね。
darthant あいつ、ガマンしていいこで待ったんだよ。
darhtanner あの方々、ガマンしていいこで待ちましたわ。


gwesta (誓う) の場合
gwesta + nne + 誰それ、 となる。
gwestannen 私は誓った
gwestannem 私たちは誓った
gwestannech 君は誓った
gwestant 彼(彼女)は誓った
gwestanner 彼らは誓った


☆動詞
.
過去形は上の◇動詞を見ればわかるように、要するに語幹と人称語尾との間に「ん」が挟まるわけ。◇動詞の語幹はaで終わるから、「あん」っていうのは言いやすいし、そのまんまで全部オッケーなのだ。(^_^)v

ところが、☆動詞の語幹は子音で終わる。
その終わり方のパターンは大体決まってて、nとかgとかbとかlとかdとかrとかの音で終わる。数的には、r, d, b が多いかな。
で、何でもかんでも後ろに「ん」が続いて言いやすいかというと、そうはいかない。
rn とかなら言いやすい。アラゴルンの名前だってrnが入ってるし、この綴りはよくあるもんね。
gn っていうのはイマイチ言いづらい。でも、とにかく「ん」を入れなきゃならないんで、順番が逆転して ng になって、もっと言いやすく nc になる。

え゛〜〜っ、なにそれ〜〜・・・・!! って叫ばないように。(^^;;)
口の動きに自然なように変化するだけだから、丸暗記するんじゃなくて、口動かしながら覚えよう。

で、もひとつ、え゛〜〜っ、って言われそうなことを言うと、後ろに人称語尾がつくとき、子音続きになって言いづらいから、母音でつなぐんだけど、シンダリンは用例が少なくて、研究者さんによって解釈が違って、この人称語尾の前につく母音は、「 i 」か「 e 」かの2種類の考え方がある。らしい。
それで、i がつくと、語幹の母音も変わっちゃう。これは現在形のときと同じなわけさ。
語幹にaかoがあったら、eになる。これはうしろにつく i に引っ張られてeになるウムラウト。
eがつくときはウムラウトしない。語幹はそのまんま。

人称語尾の前につけるこの i か e ね、映画は、「 e 」の解釈でセリフが出来てるみたい。
エルフ語サイトの最高峰、アルダランビオンでは「 i 」の解釈になってる。
グワ的にはどっちもありかなーと思う。どっちでも通じるんじゃないかな。英語と米語みたいな感じかな。関東出身の人が「し」と「ひ」がごっちゃになるのと似てるかな。ちがうか。

現在形は映画でもウムラウトありだし、i がついて語幹のaoが変わった方が、強変化動詞じゃあ!!って感じがしていいかもですが。
e をつけて、語幹のaoは変わらないのは、◇動詞の過去形と同じパターンにしてるのかと思います。
まぁ、好みの問題かもしれません。

映画は、大体はeだけど、アラゴルンが i の発音ぽくしてるところもある。
TTTのアルウェンとの会話で、pennich って言ってる。pedの二人称過去。
pennich も pennech も 大して変わらないんだけどさ。
もともとの語幹がeなら i がつくのかもしれない。あー、そうかもしれないな。
☆動詞は、e → i っていう音の流れになることが多いわけだから。
でもアルウェンが裂け谷で言ってるのはpennen っぽい。 eがついてる。
うーん・・・

まー、何となくどっちでも言えるようにしよう!
もごもご言えば大して変わらないし。(←てきとー)

そういうことですので、一応両方並べてみます。

まず一番最後に何もつかない三人称単数を見て、それからその他の主格ではどうなるかを見ていこう。


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●語幹の終わりが n, r, l のバヤイ


[三人称単数]
そのままnがつく。 

n → nn
r → rn
l → ln

となる。

☆nor (走る) なら、norn って感じ。きゃあ、かんたん♪


[その他]
三人称単数の形+i+人称語尾
または
三人称単数の形+e+人称語尾
となる。


まとめると、nor の場合、
nernin nornen おらは走っただよ
nernim nornem わたくしたち、走りましたの
nernich nornech 君は走ったな
norn norn あいつ、走ったぜ
nernir norner 彼らは走ったのだ

となる。


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●語幹の終わりが b, d, g のバヤイ

[三人称単数]
後ろにnをつけると言いづらい。で、逆転して、かつ、b は p、 d は t、g は c になる。
要するに、nは1つ前につけて、終わりは濁音でないようにする。濁音とは言わないけどさ。日本語的に言うとそういうこと。
ここで注意するのは、b は p に変わって、前に n がつくわけだけど、p の前で n は言えない。ぷ、って音は、言う前に一度唇を閉じるでしょ。閉じると m になるんだよね。だから、np は mp となる。

b → mp
d → nt
g → nc

となる。


[その他]
三人称単数からまた変化する。これは、語幹から直接考えるより、三人称単数から変わると思った方がわかりやすい。
上にある矢印の続きを書いてみると、

b → mp → mm+i (またはe)+人称語尾
d → nt → nn+i (またはe)+人称語尾
g → nc → ng+i (またはe)+人称語尾

一番後ろに人称語尾の子音がつくために言いやすく変化する。

そして、人称語尾の前に i がつく場合は語幹のaとoは、eになる。

ってことで、まとめると、

blab (羽ばたく、パタパタする) の場合
blemmin blammen ぼく、羽パタパタしましたよん
blemmim blammem ぼくら、羽パタパタいたしました
blemmich blammech キミ、羽パタパタしましたね
blamp blamp 彼、羽パタパタしたよ
blemmir blammer あいつら、羽パタパタしたんでぃ

had (発射する、投げつける) の場合
hennin hannen 私はビューンと投げつけた
hennim hannem 我らはビューンと投げつけたぞ
hennich hannech あなたはビューンと投げつけた
hant hant ヤツはビューンと投げつけたのだ
hennir hanner 彼らはビューンと投げつけた

ped (話す、言う) の場合 これは元々語幹がeだから後ろがどうなってもeのまま。
pennin pennen わたくしが言いました
pennim pennem 我らは言ったのだ
pennich pennech あなたが言いました
pent pent 彼女が言ったのよ
pennir penner 奴らが言ったのさ

nag (噛みつく) の場合
nengin nangen あたし、噛みついたの
nengim nangem わしら、噛みついたのよ
nengich nangech あんた、噛みついたな
nanc nanc あいつは、噛みついたんじゃ
nengir nanger 彼らは、噛みつきよった


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●語幹の終わりが v のバヤイ

これはあんまりない。
vはbと同じようなもんで、mv とか mb みたいなもんで、「んむ〜」って感じで、結局 m だけになる。

三人称単数は
v → m

その他は、mm になる。なぜかと言うと、次に i をつけて人称語尾とつなぐから、mを重ねた方が言いやすい。i がつくと語幹の母音aとoがeになるのは他のと同じ。

lav (舐める) の場合
lemmin lammen おら、舐めましただよ
lemmim lammem わしら、舐めたのよ
lemmich lammech お前さん、舐めたね
lam lam 彼女、舐めたのよん
lemmir lammer あいつら、舐めたぜ



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では用例。

映画第1部、裂け谷、アラゴルンとアルウェンの会話でのアラゴルンのセリフ、ひんしゅくキスシーンの前。橋から落っこちるぞっっ!!

アルウェン Renich i lu i erui govannem?
アラゴルン Nauthannen i ned ôl reniannen.

☆govad (会う) の一人称複数過去。わたしたちが会った。
d で終わるから、nn になって、e でつないで、一人称複数の m がつく。
これは、i でつなぐと考えると、govad の o も a も e に変わって、gevennim になる。

renich は、☆ren の二人称単数現在。ren は、recall、 have in mind 思い出す、覚えている。(PM372)
i でつないでchをつけて、renich。あなたは覚えている。

i lui は、the time。この i は冠詞。

次の i は、関係代名詞。
i は、いろいろな働きがあって、the だったりもするんだけど、ここは次につなげる関係代名詞みたいなもの。こういう使い方は、Dor Firn i Guinar にも見られる。ベレンとルシアンが住んだところ。知らない人はシルマリル読みましょう。dorは土地、firn は死んでること(LR381)、i が関係代名詞で、guinar は cuinar の音変化で、生きてる、ってこと。(LR366) だからこのDor Firn i Guinarは、死者の土地なんだけど、その死んでる人は生きてるんですよ、ってこと。Land of the Dead that Live、邦訳では、生ける死者の国。
はぁ?って人はシルマリル読みましょう。

で、話を戻すと、「あなたは覚えている?」で、何を覚えているかということを次に言っててそれをつなげる役目になっている。

erui はfirst。
このエルイは、ゴンドールのレベンニンの五つの川の一本目の名前にもなっている。地図持ってる人は探してみよう。首都側、つまり東側から数えて1番目の川。

だから、つなげると、
renich i lui i erui govannem
あなたは憶えている the time that first わたしたちが会った

「あなたは覚えている? わたしたちがはじめて会ったときのことを」
となる。

はい、次、それに答えるアラゴルン。

◇nautha (conceive 思う、感じる) の一人称単数過去
 nautha + nne + n = nauthannen

◇renia (stray, wander 迷い込む、さまよう 元はrheniaの形だった) の一人称単数過去
 renia + nne + n = reniannen

i は関係詞。i の前が「私は思った」で、何を思ったのかとつなげている。
ned は、in のこと。これはサム宛のエレスサール王の手紙に出てくる。(SD131 ←持ってる人はどれがnedか探してみよう)
ôl は夢。複数はelei。(LR370, 379) クゥエンヤではolor、ロリアンの関連語でもある。

で、つなげると、
nauthannen i ned ôl reniannnen
わたしは思った that in dream わたしは迷い込んだ

「私は思った、夢の中へ迷い込んだと」 
ってこと。

ふーん・・・・・そーかい、そーかい、ま、橋から落ちない程度にしなさいね〜


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じゃあ、ちょっと ☆ped 関係のを並べてみよう。say とか speak とか tell のこと。

上の方で言った、つなぎが i になってるセリフ。
映画第2部、アラゴルンとアルウェンの会話、これは夢だ、夢ですわ、のとこの後。

Minlû pennich nin.

☆ped (言う LR366) の二人称過去形。
dで終わるから、nnになって、i か e の母音でつないで、人称語尾のch。

pennech より pennich の方がきれいかな。
つなぎがeのパターンでも、語幹が元々 e なら つなぎは i なのかも。
でもな〜、cennich はcennech っぽく聞こえるしなぁ。
いいや、イもエも大して変わりゃしないのさ。ふんいき、ふんいき。(←てきとー)

minlû は、one time。
min はone (LR373)
lûはtime (LR370)
nin は、me。

minlû pennich nin
one time あなたは言いました me

「昔、あなたは言いました、わたしに」 となる。
英語字幕は、You told me once.

ここは、世の中どこもかしこも pedich って書いてある。pedich って現在形。
でも訳はみんな過去形がついている。
わけも判らずどこかのサイトのコピペをしてるらしいところが大半。でも、pedichは現在形だからおかしいんじゃないか、って気がついてるサイトもあるし、ここは直訳すれば現在形である、としているサイトもある。

公式に映画製作側から発表になったのがどうなってるのかわからないけど、吹き替えは思いっきりpedichって言ってるから、吹き替え用原稿はpedichなのかなぁ。間違えたのかな。

ヴィゴが言ってるのは、グワの耳にはpedichとは聞こえない。ペディヒもペニヒもあんまり口動かさないで言うと似てるからねぇ。でも d には聞こえないな。過去形に聞こえる。みんなはどうかな?
元の原稿はちゃんとなってるんだと思うな。


☆ped の現在形、pedin, pedich が出てくるセリフもある。
映画第2部のDVDのSEEで追加された、裂け谷を出る前のアラゴルンとアルウェンのやり取りの回想シーン。
アラゴルン Ú-bedin o gurth ne dagor.
アルウェン O man pedich? 

☆ped の一人称現在、i でつないで、n。 pedin になる。
☆ped の二人称現在、i でつないで、ch。 pedich になる。
ú は、否定。
o は、〜の
gurth は 死
ne は、in
dagor は、戦い。ダゴルラドのダゴルね。そう言えば、ヘンネス・アンヌーンでファラミアが見てた地図、ダゴルランドになってるよ。ディズニーランドみたい。(爆)
man は、疑問詞のwhat

ú と pedin がつながると、p は b に変わっちゃう。その方が流れるから。で、bedin になる。

ú bedin o gurth ne dagor
not わたしは言う of death in battle
「言っているのではない、戦いでの死のことを」
英語字幕は、It is not of death in battle that I speak. うーん、長い・・・シンダリンはシンプルでいいな。

へ?と思ったアルウェン。
o man pedich
of what あなたは言う

「何のことを言っているの?」 
となる。
英語字幕は、What do you speak of?

ここは、アラゴルンもアルウェンもちゃんと d の音を言ってる。

夢ですわの後と、お持ちになっての前、☆pedの活用形、聞き比べてみよう。


もひとつ、☆pedの活用、映画第1部裂け谷のアルウェンのセリフ、橋の上でのエルフ語のやりとりの最後のところ。
Renich i beth i pennen?
この文は上の方で出てきたのと同じ言い回し。憶えている?ってまた言うの。上のを手抜きでコピペすると、
renich は、☆ren の二人称単数現在。ren は、recall、 have in mind 思い出す、覚えている。(PM372)
i でつないでchをつけて、renich。あなたは覚えている。

で、i は冠詞、
beth はpethの音変化で、言葉のこと
次の i は関係詞
そしてpennen。☆pedの一人称単数過去。

renich i beth i pennen
あなたは憶えている the 言葉 that わたしが言った


よーく聞くと、ペンネンにも聞こえるし、ペンニンにも聞こえる。
もごもご言えば、人称語尾をつなぐとき、i でも e でもそんなに変わらないのだ。よし。


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もひとつ、用例。

Im Narvi hain echant、って知ってるよね。本でも映画でも絶対目にしてる、モリアの扉に書いてあるやつさ。

☆echad (shape, form, fashon 作る) の三人称単数過去形。(LR363)
語幹の終わりがdだから、ntになるわけ。
im は「私」のこと。I のこと。えー、動詞につくんじゃん!って思うけど、こういう独立したIもある。
Narvi っていうのは人の名前。じゃないや、ドワーフの名前。
Im と Narvi がイコールになる。
hain は them のこと。
で、つなげると、
「わたくし、ナルヴィがこれらを作りました」
ってこと。
わたくしなのに、なんで三人称かな〜と思うけど、これはナルヴィが主語ってことなんでしょう。


Celebrimbor o Eregion teithant i thiw hin.

☆echant と同じく nt で終わるけど、こっちは◇動詞。

◇teitha (write or draw signs of letters マークを描く、字を書く) の三人称単数過去。(LR391)
◇動詞の三人称単数過去は、nt をつけるだけ。

o は、「の、から」
i は、冠詞。the のこと。
thiw はsign で、hin はthese。

で、つなげると、
「エレギオンのケレブリンボールがこれらの図を描きました」
ってこと。
英訳も和訳もホリンになってるけど、エレギオンとホリンって同じこと。人間の言葉でいうと、ホリンになる。




過去形は、要するに、「〜ん〜」ってなるの。途中でちょっと「ん」ってなったら過去形なわけ。
かんたーん♪

え、かんたんじゃない? カンタンなフリしよう! そうしよう!!



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