映画のエンディング、エンヤの歌が流れました。
May It Be、ケルト調の独特の美しさの曲ですね。

英語の歌詞ですが、途中でちょこっとエルフ語が入ります。ちょこっと、ちょびっと、なのですが、サビのとこで入るから、目立つ!

も〜〜るにえ〜〜、う〜とぅ〜〜り〜え〜〜
Believe and you will find your way
も〜〜るにえ〜〜、あ〜らぁ〜んてぃ〜え〜〜
A promise lives within you now

・・・となります。
すいません、ひらがなで書くと雰囲気ぶちこわしですねぇ。

サントラCD持ってる人は、歌詞カードに書いてあるからわかりますが、

Mornie utulie は、darkness has come のことで、
Mornie alantie は、darkness has fallen のことです。

闇がやってきた。闇が降りた。・・・ってことですね。
意味的には、闇がcomeするのもfallするのも、要するにどっちも、闇が訪れる、ということですよね。言葉を変えて同じこと言ってるのですよ。

闇が降りるというのは、何もサウロン関係の出来事だけじゃなくて、上古のさまざまな歴史にもからむ話です。暗くなったなー、っていう軽いノリじゃなくて、ふかーい、いろいろな想いが交錯することなのです。あぁ、しみじみ・・・
だから、このフレーズをエルフ語にしたっていうのは、すごく意味のあることだと思うな。それもシンダリンじゃなくてクゥエンヤに。クゥエンヤは古語だからね。

はい、では解説です。
なんでエルフ語の方は2語ずつなのに、英語にすると3語になるのか? 許せませんねー。でも許してやってください。そういうもんなのです。

えーと、これは、クゥエンヤ語です。

クゥエンヤで mornie は、暗闇を意味します。それから、終わりのeには、ほんとは上に ¨ がついてます。
ちなみに、モルドール、モルゴス、モルグル、モリアなどの闇系の言葉の mor はシンダール語です。
まぁ、関連はあるのですが、ここで出てくるmornieはクゥエンヤです。

mornie = darkness、ですね。


次。

エルフ語では、時制の表し方が英語とは結構違います。
英語には、未来形、完了形はありません。

あるじゃん!! って、みんな叫びそうですが。 ありません。

あるじゃんっっ! 散々テストでやったじゃん!!!  まぁ、まぁ、そう言わずに。

未来とか完了の概念はどこの民族でもあるのが当たり前ですから、英語でも出てきます。

ほら、あるじゃん! と言いかけたあなた、もすこし聞いてください。
英語の動詞には未来も完了もないのです。

英語では、未来を表すのにwill とか shall に手伝ってもらってるでしょ。
完了のときは、have に手伝ってもらってるでしょ。

エルフ語では、そういう他の語に手伝ってもらわないのです。

語幹となる部分に何かがついて、現在とか未来とか完了とかを表します。

で、この歌ででてくるのは完了形。
現在、過去、未来、などには後ろにaとかeとかがつくだけですが、完了形は前にもつきます。語幹の前後に音が増えるのです。

はい、完了形の作り方☆

前には、語幹の母音と同じものをつける。
語幹の母音の上には ´ がつく。
(伸ばして発音する)
後ろには、ie をつける。おわりのeには、上に ¨ がつく。

何、そんなに一遍にいろいろ出来るかって? だいじょぶ、カンタンだよ。
カンタンだと思えばカンタンなんだよ。

では例を。上に点がつくから画像にしちゃいます。
まずmat。

mat は食べるということです。だから、amatie にすると、食べちゃったよーん、ということになります。

もひとつ。

tir は、見る、ということです。ミナス・ティリスはこれが入ってるのです。見守る塔です。ミナス・ティリスはシンダール語ですが、tirはクゥエンヤもシンダリンも同じです。
ということで、itirie にすると、見ちゃったもんね〜、ということになります。

わかってきた?
では、いよいよエンヤの歌の単語です。

tul は、come を表す語幹です。やってくる、訪れる、ですね。


次、もうひとつ。
lant は、fall を表す語幹です。降りてくる、ですね。

あぁ、同じ、同じ、と思ってちゃんと見なかった人、よく見ましょう。語幹の母音には点つけないのですよ。
えー、なんでぇ? つけるって言ったじゃない! 
これはですね、次にくる子音が重なっているからです。nt って2つあるでしょ。そういうときには点いらないの。点いらないってことは、音を伸ばさないの。
子音が後ろにかたまってるときは、語幹の母音はそのまんま。そういうもんなの。
歌うときは、メロディにのって伸ばすけどね。


ということで、
Mornie utulie は、darkness has come
Mornie alantie は、darkness has fallen
・・・ってなるのがわかったでしょ? 簡単だよね。

ちなみに、指輪物語第3部、王の帰還の後半第5章「執政と王」のところで、アラゴルンがエルフ語で何やら言います。
本、持ってる人は見てみましょう。訳書でもカタカナで書いてあるから見つかるよ。

Et Earello Endorenna utulien.

ほら、ほら! utulien だよー☆ 今やったばっかりのだよー☆

ん、でもさ、なんか違うでしょ。よく見て。

n がついてるよね。終わりに。

これはね、I のこと。代名詞はこうやってくっつけちゃうの。
それから、うしろに何かがついたら、ieのeの上の¨は要りません。終わりのeに¨をつけるので、終わりの字でないときは、¨はつけないのです。
でも tul の上の点は要ります。

ということで、utulien だけで、「I have come」ということになります。

et は out
earello は ear が海で ello が from
endorenna は、ミドルアースのこと。

Et Earello Endorenna utulien. は、私は海から中つ国へやってきたのだ、という意味になります。
とっさにクゥエンヤでセリフが言えるというのがアラゴルンのすごいとこですよ。古語のクゥエンヤを使いこなしちゃうんだから、さぁすがアラゴルン☆ 文武両道の男ってのは、カッコいいねぇ。やっぱ世の中、こうでなくちゃ。文だけだと頼りないし、武だけだとパッパラパァに見えるからねぇ。

いやぁ、エンヤの歌だけでこんなにお勉強ができるってのは楽しいですね〜♪

さ、みんなで歌おう! どういう変化の単語なのかわかって歌うのとわかってないのじゃ、えらい違いでしょ。
も〜〜るにえ〜〜、う〜とぅ〜〜り〜え〜〜♪

そしてミドルアースの歴史に思いを馳せるのですよ。そんなのわかんない、という人は本読みましょう☆




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