天体関係。結構たくさんあります。天文ガイドにもいろいろ書いてありますのでどうぞ。
アナール
Anar
アノール
Anor
Q
nar  炎 (LR374)
Anar 太陽 (LR348)

SではAnor

太陽。
メルコールとウンゴリアントが二本の木を枯らした後、テルペリオンとラウレリンはヤヴァンナの歌によってわずかの間甦った。金色のラウレリンには最後に1つの実が生り、それを器に入れて空に置かれたのが太陽。

二本の木は枯れたけれど、テルペリオンの花とラウレリンの実は、今も生きている。
ヴァリノールの二本の木という太古の輝かしい命が、今もいつまでも世界を照らし続けるという物語は、トールキンの描くどこまでも高く美しい精神の世界の基本となるものだ。第二紀になっても第三紀になっても21世紀になっても、遥か昔の二本の木の光はいつも空にあるのだから。


アナルリーマ
Anarríma
anar  太陽 (LR348)
ríma   ふち、端、境 (LR383)

星座の名前。

太陽の端?
うむむ・・・ 要は、キラキラが輪っかになってるということか?

輪っかになってる星座・・・うむむ。

実際に空で輪になってるので、それらしきものは、冠座。うん、そうかもしれない。
冠座は、Corona Borealis と言い、ボレアリスとはラテン語で北ということで、北の冠という意味だ。南の冠ってのもあるから、わざわざ北という言葉がついてるけれど、日本語では普通は冠座と言う。
で、要するに、Corona なわけですよ、コロナ!光の縁!
アナルリーマそのまんま!!

アナルリーマは冠座ですよ、とはどこにも書いてない。トールキンがどういうつもりだったのかはわからないけど、コロナをそのまんま訳したんじゃなかろうか。

冠座の冠は、クレタ島の王女アリアドネのもの。アリアドネは酒神ディオニソスと結婚したんだけど、アリアドネは人間だったから死んでしまう。ディオニソスは彼女の死後、その冠を空にかけたのだという。なんか、不死の者と不死じゃない者の結婚話で、ミドルアースのもろもろにつながるような気もする。トールキンは当然アリアドネの話も知っていただろう。

冠座って、ヴァラキアカ、つまり北斗七星の柄杓の柄の部分を伸ばしていくと見つかるよ。輪になってるからすぐわかる。きれいな冠だ。


もしかしたら、アナルリーマはあれかも、って、眺めてみてね。

それとも、大きな円弧を描くラインになってる天の川ということも考えられる。そうだとしたら、アナルリーマは実に雄大だ。


アルダ
Arda
Q
arda 王国 (LR360)

世界。地球。
マンウェの統べる国。
持つ、所有するという概念から、国や王という言葉に発展する。
この世界は我々より階層の高い者が所有するところである、という語。


イシル
Isil
Ithil
Q
sil 銀の輝き
Isil は the Sheen、輝くもの、という意味。
Sでは Ithil となる。

月。
太陽はラウレリンの実で、月はテルペリオンの花。
二本の木のうち銀の木のテルペリオンの最後の花が天を航行する。


ヴァラキアカ
Valacirca
Q
vala ヴァラ。力ある者。パワー!という語。(LR350)
kirka 鎌 (LR365)

ヴァラールの鎌。北斗七星のこと。
k は c で書くことが多いので、kirka が circa になっている。


ウィルワリン
Wilwarin
Q
wil 空中を飛ぶ、漂う。
wilwarin 蝶々。ひらひらちょうちょ♪ 複数はwilwarindi 。(LR398)

たぶんカシオペア座のことだろうと言われている。
形も蝶々っぽいし、Wではじまるし。
テングワールでWって書くわけじゃないけどね。


ソロヌーメ
Soronúmë

Q
soron   鷲♪ (LR392)
numen  西 (LR376)

西の鷲、かな。
ヴァルダさまが作った星座。

今も鷲座っての、あるけどね。でもいつも西に見えるわけじゃない。
これが作られた当時は、まだ地球は球体として自転してないっていう設定だったから、ソロヌーメはずっと西が定位置だったのかもしれない。
だけどオリオンはエルフが目覚めた時に strode up したとあるから、やっぱり星は動いていたはずだけど。
それとも、西というのは、西のヴァリノールを指していて、高貴な鷲ってことなのかもしれない。


テルメフタール
Telumehtar
テリメクタール
Telimektar
Q
tel, tele, telme 覆う、屋根、ということから、空、天蓋、天空、となる。(LT1-268、LR391)
mahtar 戦士、武人 (LR371)

で、warrior of the sky 、となる。(LR391)

オリオンのこと。指輪追補編 E にも出てくる。


テルメンディル
Telumendil
Q
tel, tele, telme 覆う、屋根、ということから、空、天蓋、天空、となる。(LT1-268、LR391)

dil  友。(LR378)

天の友。

ヴァルダさまの作った星座。
どの星々を指すのかはわからない。
わかんないけど、上のテルメフタールとteluが同じ。じゃあオリオンのご近所か?と考えるのは短絡的かな。
トールキンの星座は、21世紀欧米先進国一般の、ギリシャ神話に拠る星座のつなげ方を踏襲している。・・・じゃなくて、向こうがこっちを踏襲してるのだ。
じゃあ、天の友に合致するような星座は、ヒューマノイド形かな。双子とかヘラクレスとかペルセウスとかアンドロメダとか。そりゃ、サソリやヘビやコップや六分儀や海蛇が友というのもあり得るけどさ。
ま、とにかく、わかんない。

ニエルルイン
Nielluin
Q
nier 蜜蜂
luin 青

the Bee of Azure、青き蜂。(LT1-262)
シリウスのこと。


ヘルルイン
Helluin
Q
helle 氷、凍、霜、寒・・・ぶるぶる (LR364)
luin 青。(LR370、RGEO66) 複数はluini で、これはナマリエの歌に出てくる。

シリウスのこと。

評論社のシルマリルの物語の語句の解説のところにはシンダリンとなっている。(515ページ)
でもこれってクウェンヤのはずだけど。
[ク]とか[シ]とか書いてあるのは評論社独自のもので、原書にはない。
まーこの場合はどっちでもよさそうだけどね。氷はシンダリンだとhell だしさ。luin はシンダリンでも luin で同じだから。

でもヘルルインはクウェンヤだ。評論社さん、校正の時に見落としたらしい。

試しにあちこち見てみたら、シンダリンとしてる人が多いみたい。でもマトモなところはみんなクウェンヤにしている。エルフ語サイトの最高峰アルダランビオンでもクウェンヤになってるし、シンダリンの単語を網羅しているDavid Saloのシンダリン本は、トールキンの書いたもので世に出てるテキストにある単語なら、あり得ない程とことん載っているけれど、ヘルルインは載ってない。

そりゃそうだ。だって、あの時、ヘルルインが登場した時は、まだシンダリンはなかったんだからね。
いや、そりゃ、クウェンヤもなかったわけだけどさ。
どっちもこれから発達するというところで、それにエルフ語というのは全部が全部、絶対この2つのうちどっちに所属!って決められるものでもない。シンダリンは元々はノルドリンって言葉で、草稿でノルドリンって書いてあるのはシンダリン。他にもいろいろあってややこしい。

ただ、どっちかに分けるとすれば、シンダリンは後の時代にメジャーになるもので、シルマリル本でヘルルインが登場する辺りに並んでるのは、問答無用でクウェンヤなの。
エルフが目覚めてからは、ヴァラのオロメが彼らと共にいた。ヴァラールの言葉がエルフに伝わり、エルフたちがヴァリノールに渡ってからもそれは変化しつつも使われ続け、長い時間のうちに熟し、クゥエンヤと呼ばれるようになる。
星はヴァルダさまがお作りになった。ヴァルダさまとオロメは同族だ。ヴァラールの言葉とクウェンヤが全く同じわけではないにしろ、星が出来たところに出てくる名前は、どちらかに分けるとすれば、やはりクウェンヤだ。
指輪本に出てくる星の名はシンダリンもあるけどね。


ボルギル
Borgil
S
born 熱い、赤い。hot, red (L426-7)
gil 星

オリオン座のベテルギウス。
レッドでホットなお星さま。あっちっち。

gil は、しょっちゅう出てくるからお馴染みだよね。
ギルガラドとかさ。ギルソニエルとか。ソロンギルとかね。世の中、星だらけです。

メネルマカール
Menelmacar

メネルヴァゴール
Menelvagor


Q
men 場所
el  星
それがくっついて、menel、天となる。

Menelmakil (WJ411)という形もある。オリオンであるメネルマキルの古い呼称はテルメフタールです、と書いてある。
makil とは、sword 剣のこと。(LR371)
天剣。

makは、cut, hew with a sharp edge で、ヒュッッと斬っちゃいますよ、という語。
makil はsword 剣、makarはswordsman 剣士。(VT39-11)

もっと詳しい説明では、makil はa forged sword blade 鍛えた刃で、makar はforger 鍛鉄工であり、後に戦士を指すようになった。とある。(VT41-10)
kとcは同じ扱いになって、Menelmacar の出来上がり☆

S
menel はQのまんまで、天。
magor 剣 (LR371, WJ235)
くっつくと、m が v になる。メネルヴァゴールの出来上がり☆


天の剣士。
オリオン座のこと。


レムミラス
Remmirath
S
rem 網
mir 宝石 (LR373)
ath 複数。アルゴナス、オスギリアスにもついてるやつ。

プレアデス星団。

VT42に拠れば、レムミラスは、group of gems in a net で(p.12)、group of jewels caught in a net だそうだ。(p.29)
つまり、星団自体が光の網に見えるということではなくて、星々が網の中に集められている、ということ。
rem関係の語群は、包む、捕まえる、絡ませる、というイメージで、それから罠という使い方にもなる。
ヴァルダさまは、星を集めて、よそに散らばらないようにネットの中に入れて、空に置いたのだ。それがプレアデス。きれいだね。