Hannon le ありがとう♪

映画、二つの塔で、アラゴルンは崖下に落ち、アルウェンから貰ったペンダントはオークの手に残される。あーっ、汚れるじゃないか・・・
で、それをレゴラスが見つける。
その後、アラゴルンはヨタヨタとブレゴに運ばれて、なんとかヘルム峡谷へ。
着いたころにはなんとかシャッキリしてる。よかった。

そのアラゴルンを迎えるレゴラス。男の友情ってのはいいねぇ。特にこの2人は余計なことは一切言わないから余計カッコいい。

レゴラスは、なくしたと思っていたペンダントを取っておいてくれた。
受け取ったアラゴルンはレゴラスに
Hannon le.
と言う。

でも字幕は出ない。
ありがとう、と言ってるのは状況からも表情からも分かるけどさ。
でも字幕は出ない。英語の字幕も出ないから日本語の字幕も出ない。

これはもちろん「ありがとう」です。シンダリンです。
こういういいとこはやっぱエルフ語にかぎる。英語で言うより味わい深い。うーん、いいねぇ・・・

Hannon le.を英語に直訳すると、I thank you です。

はい、では文法を少し。
動詞の語幹にonがつくと、「私は」ってことです。一人称単数現在のときは、onがつく。
onが後ろについてたら、I 〜・・・ってこと。

で、そのonがついてるhannは何か。
これはクゥエンヤだと、hanyaとかhandeとかいう形です。いろいろ変わります。シンダリンでもhenioとかhannasとかあります。
understand, know about, comprehend, knowledge, intelligentとかいうことです。
知っている、理解している、ってこと。

leはyouのこと。

だから直訳すると
Hannon le.は、私はあなたを分かってる、ってこと。
「ありがとう」なんだけど、語の成り立ち的にはそういうこと。

でもさ、understandはともかく、intelligentが出てくるのはなんか変な気もする。
それがどーして「ありがとう」になるのか。ならないような気もする。すごくする。ねぇ?

ちょっと古英語の辞書をひっくり返してみよう。thank youはどうなってるのか。
古英語の場合、thankはthancで、派生語はいろいろあって、元々は「思う、考える」とかいう意味で、「意味を取る、理解する」という意味にもなり、だから「賢い」という意味にもつながる。これが後に「謝意」を含むようになる。理解したものが、「喜び、満足、感謝」というようないい感情につながっていく語。

だからthank「感謝する」というのは、もともとは相手のことを考え理解し気持ちを受け取り、そのことについちゃあバッチリ知ってるよ、うれしいな、ということからきてるらしい。
バッチリわかれば、心底ありがとうという気持ちになる。

トールキンはこういう言葉の成り立ちの大家だったから、エルフ語も同じようなことになっていると思っていい。
だから、understand, know about, intelligentでいいんだ。

アラゴルンが川に流されて死んでしまったと呆然としていたレゴラスが、ヘルム峡谷のあの場所でアラゴルンの姿を目にしたときの気持ちは、はしゃいでアラゴルンにしがみついていたギムリと同じ。
アラゴルンはフラフラしつつも何とか角笛城に着いて、「遅いぞ。なんだその格好は」と言いつつペンダントを渡してくれたレゴラスの気持ちをバッチリunderstandしcomprehendして、それについてはintelligentになったわけなんだ。

だから、Hannon le.なんだよ。

日本語でもこういう表現することはある。これはイコールありがとう、ではないと思うけど。
「お気持ち、受け取りました」
上品なオバさんとかが言ったりする。グワは上品なオバさんにはイマイチ縁がないから、実際はあんまり聞くことはない。

日本語の普通の「ありがとう」は、有り難い、有るのが難しい、めったにあることじゃないことをしてくれて感謝するという意味だ。
エルフ語のHannon leはそれとはちょっと意味的に違うんだね。

Hannon le
 ↓
僕は君の気持ちがわかった、君の気持ちを全部受け取った
 ↓
ありがとう

・・・ということになるわけでした。

英語のthank youも元々はそうなんだねぇ。今はそう思って喋ってる人はいないんだろうけど。日本語のありがとうを言うときだってそうだけどさ。いちいち、めったにないなぁ、とは思わない。(爆)

古語を探るといろいろわかって面白い。言葉というのは奥が深いです。

ということで、あのシーンを見たら、Hannon le.を深ーく味わっておくれね。

で、覚えてバシバシ使いましょう。
発音は、吹き替えでは思いっきし「はんのんれ」でした。
吹き替えではなく、アラゴルンが、というかヴィゴが、というかアラゴルンが言ってるのをマネして、オシャレに言えるように練習しましょう。



トップに戻る