冒頭は、つなぎのシーンというか、復習シーンというかがなくて、いきなり始まったからびっくりした。
いつも何かワンクッションあるじゃん。それがいきなりエスガロス。

え? あ、そうだ、そうだった、大変なんだった。

気持ちの準備が出来てないまま、始まっちゃってて、待って〜


スマちゃん、行けっ! よし、そこだ!(←ちがう)

わー、すごい、すごい。

がんばれっっ!! そうだ、いいぞいいぞ!! もう一噴きだ〜!!(←だからちがうってば)


うっかり応援してしまうのは置いといて、さて、黒い矢ですよ。


黒い矢は、どうなるのか。

これがもう、楽しみで楽しみで・・・

いろいろ考えちゃうし。
あのドワーフの風切り弓のところまで行くのも大変だろう。
スマウグが飛び回る下であれに矢をつがえて、狙って、スマウグが翻ったところで胸の鱗がひとつないのが見える・・・!!
バルドよ、あれだ、昔、矢は当たっていたんだ! あれを狙うんだ!!

・・・とか思ってたんだけど。

だってさー、風切り弓から放たれた黒い矢でなきゃダメって言ってなかったっけ。
即席の弓というか、バインを使って弓にした仕掛けでもオッケーだったのか。そっか。
そりゃ、親子連携で、バインちゃんは可愛いし、感動的ではあったのですが。

それから、不満だったのは、今どきの特撮でないと無理な映像が見れなかったこと。
スマウグが墜ちて、街は大きく崩れ、そこへ周りから湖の水がなだれ込む。ドワ〜〜っっ!と。水流が巻き起こるのだ。
そりゃ、エスガロスには水路は元々あるんだけど、そういうんじゃなくて、竜の巨体で崩れたところへ波が押し寄せるのだ。
それがなかった。それとも津波を思い起こさせるから、日本やタイに気を遣ってやめたのかな。そういうのもあるのかもしれないけど。

でも、観てみたかった。アイゼンガルドのダム決壊とサルマンの工場の火が消えるときの水煙だけでもあれだけすごかったのだ。もっとすごい映像が展開できたはず。
エスガロスの原作のあの描写は素晴らしい。ちなみに瀬田訳ではこれが誤訳で違うことになっている。何が真実なのかは原書房版をどうぞ。

グワはほんとにこのエスガロスのシーンが一番好きなのだ。指輪もホビットもシルマリルも、全部合わせても、あのエスガロスのスマウグ襲来より凄いのはない。
そりゃ、ちっちゃな町だから、シルマリルの方がケタ違いに壮大なんだけど、でも、竜も、炎も、町も、湖も、つぐみも、バルドも、みんなの動きと心が、泣けて泣けてしようがない。
ゴォゴォと吹く風と、舞い上がる炎と、火の映る水と、火の粉の降る町と、その向こうにかかる月と、その音と色の織りなす光景が何て鮮やかな空間になることか。
映画は弓隊はなしだった。バルドだけだった。しかしあれだけ男どもがいて、誰も矢も射ようとしないのはいかがなものか。

そして、竜が墜ちる → 町が大々的に壊れる → 波が押し寄せる。 これがなしなのはもったいなかった。せっかくの映画なのに。
ちょっと不満。


それでまた、統領さんを下敷きにしたのはいいけど、落ちたあとの湖が、つまんなかった。

沈んだスマウグの描写もなかったし。 それともEEで入るかな?

グワが監督なら、空中で死んだ描写にしないで、火を噴きながら派手に落ちて、暴れるスマウグによって街は更に崩壊し、そこへ波が押し寄せ、その波をかぶってカメラが水上から水中へ移り、竜の中の火が消えてゆき、カメラが上へ戻って空を見上げると、そこには大きな水蒸気の柱が立ちのぼり、その向こうに月が・・・ っていうのがいいな。うん。
竜が体内に持つ火は普通の火とは違う。それが水に突っ込んだなら、ものすごい量の水蒸気が上がる。それもなしだったなぁ。
焼けてる石を水に放り込んだならどうなるか。あの巨体が火そのものなのに。

何にしても、バルドに射られるまでの間も、もう少しいろいろ見たかった。
時間も短かったしね。あと5分か10分、他のシーン削っても、エスガロスに時間かけてほしかった。


えーと、それで、あれだけ火炎放射器大活躍で、火事になりまくって、そして舟も足りなかっただろうに、ずいぶん大勢が助かっている。あ、橋から逃げたのかな? 橋、壊れた感じでもなかったし。渡れたかもね。

公開前から見てた画像、スマウグとバルドの絵、
このポジション↓でのシーンはなかった。


原作では、バルドは町の隅から射る。下にいる。スマウグの胸を狙うには、スマウグが上でバルドが下にいないとならない。
映画じゃ、こんな風に真っ正面から睨み合うのか? バルドは一人っきりで、竜の正面に立ちはだかるのか? そしてスマウグが舞い上がって、それを下から・・・!! でもあの大きな黒い矢は、この画像では持ってないし。あんな長いのは、やっぱり据え付けの大弓でないと射れないだろうし。
結局、ポジショニングはだいぶ違って、生きてる子供が弓になった。父さんを見ろ。吹き替えだと尚更泣ける。


スマウグの胸の穴は、2作目で、あれに入れるのはかなり難しいぞ・・・と心配していた。
だって、ウロコは重なり合ってて、1枚取れてるだけじゃ、斜め下から絶妙な角度で当てないと、奥まで入らない。
それでなくても、映画のスマちゃんはかなり巨大だし、黒い矢が原作設定より大きいとしても、ずずずっと奥まで入ってくれるとしても、急所に届くのだろうか。

1本しかないのに。
あー、どうしよう、どうしよう、緊張してきた。お前が緊張してどうするよ、と自分に言いつつ、どうしようどうしようをやってたら、あらら、当たっちゃいました〜

っていうか、穴がねぇ、DoSの時とは、向きというか、形というか、何か違ったんですけど。あれなら入るかな。


で、気になったのは、スマウグはDoSでは、黒い矢がどうのこうのと喋っている。カンカン当たったの、覚えてる。大体、1枚、ウロコが取れちゃったんだし、普通の矢と違うのはわかってるはずだ。
そして竜は目がいい。エスガロスのシーンでも、結構離れたとこからでもバインがいるのが見えている。子供だというのもわかる。しっかり見えている。なら、黒い矢をバルドが構えてるのだって見えてるはずなのに、胸に穴あいてるのも自分でわかってるだろうに、なんでまた無防備に寄って行ったんだろう。

原作では、スマウグはウハウハ絶好調で飛び回ってる最中にやられた。穴を狙われるなんて思ってもなかったわけだし、黒い矢なんて知らなかった。

映画としては、バインを台にして、っていうのが効果的ではあったのだけれど、空中のスマウグを射るのが見たかったな。でもバインが台だと、スマウグがあの高さにいなきゃならないから、飛んでるわけにはいかない。で、スマちゃんは、もー仕方ないなぁということで、じゃあ下に降りてやろうか、これなら撮れるかい?ということで、町の上を歩く。

矢が当たった後、空中に舞い上がったスマウグもよかった。でもあれは、演出に無理がある。下に降りて歩いている状態で、普通なら矢が急所に刺さってから、空へ飛び上がれるわけがない。まぁ、そこを飛び上がってしまうのが竜の体力のすごさってことで。
空中でバタバタして、いやぁ、何て上手なんだろ。
落ち方も素晴らしかった。統領さんをつぶさないとならないからキレイに水路に沿ってだった。さすがスマちゃん、上手!!!

でも何だかDoSの時より小さく感じた。外にいるからかな。

あの大きな統領の像をド派手にぶっ壊してほしかった。
そしたら、エスガロスの人たちは、思わず喝采しただろうに。
あ、あそこで喝采となったら話がおかしくなるから、壊さなかったのかも。


何だかんだ文句を言いつつも、スマウグのエスガロス襲来をスクリーンで観れたことは、ほんとにうれしかった。これが一番楽しみだったから。

炎上する町の中をもっとカメラが走ってくれると、もっとよかったけど。
竜が空にいて、町は燃えている、という絶望感がもっと描けたら、更に更に涙だったろうな。


竜は素晴らしかった。トールキンが竜が好きだったの、ほんとによくわかる。

スマウグがいるのといないのでは、ホビットのお話の魅力は全然変わってしまう。


スマちゃん、お疲れでした。カッコよかったよー