指輪の旅より前のお話です。 それと、決定稿に入らなかった原稿の一部です。
これがわかってると、指輪物語を読むときにも全然違いますよ。
シルマリルは、神話です。一番ややこしいです。
ホビットの冒険は児童書です。でも大人が読んでもほんとに面白い! というか、大人が読んだ方が面白い!
終わらざりし物語は、書きかけの原稿の山です。
物語の進む年代的には、シルマリル→ホビットの冒険→指輪物語、となります。
難しさは、簡単な方から、ホビットの冒険→指輪物語→シルマリル、となります。
ホビットの訳本についてはこちら。
岩波か、原書房か、どっちで読むか、どっちも読むか、さぁどうする?
原書房版は新版になってずいぶん変わりました。読みやすくなってます。
訳の正確さからいうと、原書房版の方がオススメです。長年読まれてる岩波も貴重です。
ホビットの冒険
J.R.R.トールキン著 瀬田貞二 訳ビルボの大冒険! ガンダルフとドワーフ達にひっは引っぱり出され、向かうは竜の山! そしてあの指輪がビルボの手に・・・
これはハードカバー こちらは手軽な2分冊 ![]()
![]()
![]()
ホビットの冒険 改版
岩波書店ホビットの冒険〈上〉
岩波少年文庫ホビットの冒険〈下〉
岩波少年文庫![]()
![]()
ホビットの冒険
オリジナル版ホビットの冒険 (上)
物語コレクション版ホビットの冒険 (下)
物語コレクション版
評論社の指輪物語と同じ瀬田貞二さんの訳です。なかなかいい味わいの訳で、児童書としても優れています。昔風の雰囲気がよく出ていて、それでいてすんなりと頭と心に入ります。同じ訳者ということで、評論社の指輪と比べても違和感もありません。
しかし、誤訳はいろいろあります。かなりの量です。まだ原書で読めない小学生、中学生のみんなは、原書で読めるようになるのを楽しみにお勉強しよう。(^^)
グワイヒアの持ってるのは、左上の緑のやつ。絵は寺島竜一さん。
これは、初版の頃から装丁は変わっていない。ただゴラムの絵が昔のは今のとはかなり違った。笑えます。
その下のオリジナル版っていうのは、トールキンの絵を使ったものです。トールキンの挿絵、いいからねぇ♪ ただ、そのオリジナル版ってのは、本文が横組みで・・・横かいっ!岩波さーん、物語を読むのは縦の方が・・・
まー、事情はわからなくもない。縦書きにするとなると、表紙が問題だ。画像処理して反転させない限り、お日さまが後ろ側になってしまう。オリジナルのままだと夜で竜が飛んでる後ろ側が前になっちゃうし、やっぱり表は光の側の絵にした方がいいだろうし。
トールキンは、逆向きにめくる本のことは考えてなかったらしい。想定外ってやつかな。
下の右側のオレンジの表紙のは、大人向けってことで、挿絵はないそうです。
地図やオリジナル表紙に使われているルーン文字についてはこちら。
さて、次のも上と同じお話です。訳者が違います。岩波とはだいぶ雰囲気違います。 誤訳の心配はほぼありません。そういう点ではオススメです。 そして、資料としてもオススメです。各国のこの本の挿絵がたくさん紹介されています。お国柄が出ていて面白いよ。これは詳しい注釈本なのです。 新版が出て読みやすく、わかりやすくなりました。サーラバイは健在だけど、まぁよしとしよう。 間違いで話がおかしくなっていないホビット読みたい人はこちら。 |
|||
![]() 新版 ホビット: ゆきてかえりし物語 第四版・注釈版 |
|||
文庫
|
|||
下のは懐かしい旧版で、訳はナンタルチア版とも呼ばれてました。なかなか読みにくい。これを読破するのは相当な根性が要ります。 それからこの訳書は、下の原書が改版になる前のものだから、内容は今売ってる原書よりも少ないです。 |
|||
![]() |
|||
ホビット―ゆきてかえりし物語 原書房 山本史郎 訳 |
![]() |
![]() |
左がHoughton Mifflin、右がHarperCollins。 これは、注釈つきホビットとして有名で、トールキンが出版後にも何度かホビットを書き直した経過も載っていて、初版からの変遷を知ることが出来ます。 それから、原書は第2版になっていて、エレボールへの遠征も追加になってます。エレボールの遠征は、いくつか原稿があって、UTにも載ってるんだけど、その中の1つのバージョンがこのホビットに入ってます。そして、UTでカットになってた文もカットなしで載ってます。カットになってたとこってのは、UTの和訳本下巻95ページの「この後、メリアドクが質問をする」っていうところで、その後のやり取りが載ってます。 この注釈つき本は、何せ途中にいろいろ解説が載ってて、挿絵も各国さまざまなのが混在し、ひとつの物語として没頭して読むには、向かないのかもしれません。 でもホビットを深く知るには、必須本です。 原書は、本文の横に注釈があり、訳書は、注は最後にまとめてあります。どっちがいいかは・・・どっちもどっちかな。近くに書いてあればすぐ読めるけど、見た目がうるさいし。最後にあると、いちいち終わりの方を探さなきゃならないのは不便だけど、本文を読む際にはうるさくないしね。 |
さて、2種類の訳書、一体、どう違うのか? じゃ、ちょっと比べてみましょう。 | |||
。 | 瀬田貞二さん訳 | 山本史郎さん訳 旧版 | 山本史郎さん訳 新版 |
ドワーフたちからビルボへの伝言 | トーリンとその仲間が、つつしんで忍びの者ビルボどのに申し上げます。あなたのおもてなしに心からのお礼をのべるとともに、その腕前を役立てようというあなたの申し込みをよろこんでおうけいたします。よって、とりきめは-- 全利益金(いかほどであろうとも)の十四分の一を、耳をそろえて現金にておはらいする。 |
ソーリンの仲間より、押入ビルボ殿へ。貴殿の歓待には衷心よりの感謝を申し上げます。また、プロとしての技能提供のお申し出、ありがたくお受けいたします。条件は以下のごとくです。 報酬=(黒字のばあい)利益総額の十四分の一を限度としてそれを越えぬ額を、現金払いにて。 |
トリンと仲間より、押入のビルボ殿へ。貴殿の歓待にこころよりの感謝とお礼を申し上げます。またプロフェッショナルとしての技能提供のお申し出、ありがたくお受けいたします。条件は以下のごとくです。 報酬-(黒字のばあい)利益総額の十四分の一を限度とし、それを超えぬ額を代金引換払いにて。 |
迷子になったビルボのセリフ | わたしはビルボ・バギンズです。ドワーフたちにはぐれてしまいました。魔法使いにもはぐれてしまいました。ここはどこなんでしょう? いや、それよりも、どうしたら、ここから出られるでしょうか? | 私はビルボ・バギンズだ。矮人たちにはぐれ、魔法使いにもはぐれ、いま自分がどこにいるのかも分からない。ここから出られさえするなら、ここがどこなのか、知りたくもない。 | わたしはビルボ・バギンズと申す者だ。ドワーフたちとはぐれ、魔法使いともはぐれ、いま自分がどこにいるのかさえ分からない。だが、ここから出られりゃそれでいい。ここがどこかなんて、知りたくもない。 |
ま、こんな感じです・・・ どれが読みやすい日本語か? 読むなら岩波、資料としては原書房、というのが一般的傾向です。 原書房のは嫌われる傾向にありますが、岩波のは一見良く見えて実は間違いがいろいろあるということで、どっちが上とは言い切れません。 押入ねぇ・・・ ふとんをしまうんじゃないんだからさ。押し入る、ってことを言いたいのはわかるけど。それなら、押し込みってことで、押込にした方がよかったと思うな。それでもよくわかんないけど。 瀬田訳の忍びの者は上手い。でも、忍びだと、後で訳が困るところが出てくるんだよねぇ。 「これで本当に忍びの者になってしまった!」ってのがさ。意味不明になるから瀬田さんは仕方なく、そこだけどろぼうにしてるけどね。でもそこだけ変えては、せっかくのセリフが生きない。 これは訳すの難しい・・・ 押入と忍びの者、これはどちらが優れている、ってわけでもないようです。 原書房のは、新訳は、だいぶ日本語がこなれた方向に向かってる感じ。さんざん叩かれたからねぇ。 この2種類の訳本について、詳しくはこちら。どっちもどっち。要するに、両方読んでみるのがいいと思います。 それから、岩波と原書房のは、元としている原書のEditionが違います。だから元々の文が違う個所もあるので、当然その部分の訳は異なります。 やっぱファンとしては、両方要るかなぁ。 原書もいいよ。っていうか、原書がいいよ。 この本は面白いんです。指輪より面白い。すっごく楽しく書いてある。 ただ、訳本では、その面白さはなかなか伝わっていない。 瀬田訳ではそういう面が足りない。違うテイストになってしまっている。 山本訳では、面白さを伝えようとしているんだけど、なんかちょっと奇妙なテイストになっていて、読者になかなか伝わらない。ときどき不思議な日本語が入ってて、ひんしゅくとなる。 原書は、訳本読んで話の流れがわかってれば、途中でわけわかんなくなる心配もないしね。じゃあ読んでみよう、って人は、原書はこちら |
|
|
|