BBC ホビットテーマソング 1♪

Upon the hearth


ではまず初めのところ。

前のページでも書きましたが、ほんとはこれはもっと後で出てくる。
本では、ここでは歌わない。星がきれいで、気持ちのいい夜だ。誰もいない部屋の窓は暗い。なんかさみしい。フロドはバッグエンドにさよならを言う。手を振る。そしてピピンと一緒に姿を消す。
それだけで、とても絵になる。読んでいると光景が目に浮かび、ひんやりとした夜の空気も感じられる。歌はここでは要らない。ない方がいい。

しかしラジオドラマでは、耳で聞くわけで、地の文はない。ナレーションでいちいち説明してるとドラマにならなくなるからナレーションは必要最小限で、セリフが続く。
フロドの出発シーンは重要だ。だけど星がきれいだとか窓が暗いとか、手をふりましたとかいちいち説明してられないし、かと言って「さよなら」だけだとドラマにならない。それじゃあ歌でも歌うか、ってことになったんだろう。たぶん。

ギルドールたちに会う前のホビットの歌はなかなかの大曲で、カットするには惜しい。
あれを歌って、そしたらナズグルがそれを聞きつけたのか寄って来て、そこへエルフの歌が流れてきてナズグルは逃げて行く。ドラマではギルドールは出てこないから、その流れが成立しない。
じゃあ出発の時にさっさと歌ってしまおう!ということかな。

原詩は3連ある。ドラマでは1連目の途中まで。下の色のついてるところが歌われる。

原詩 グワ暫定訳
Upon the hearth the fire is red,
Beneath the roof there is a bed;
But not yet weary are our feet,
Still around the corner we may meet
A sudden tree or standing stone
That none have seen but we alone.
Tree and flower and leaf and grass,
Let them pass! Let them pass!

Hill and water under sky,
Pass them by! Pass them by!
炉に火は赤く
屋根の下にはベッド
でもまだ足は疲れちゃいない
角を曲がれば
木や立石に出くわすのか
誰も見たことのないものに
木、花、葉っぱ、原っぱよ
すぎてゆく、すぎてゆくよ
丘と水は空の下さ
とおりすぎる、とおりすぎるよ
Still around the corner there may wait
A new road or a secret gate,
And though we pass them by today,
Tomorrow we may come this way
And take the hidden paths that run,
Towards the Moon or to the Sun.
Apple, thorn and nut and sloe
Let them go! Let them go!
Sand and stone and pool and dell,
Fare you well! Fare you well!
角を曲がれば待っているのか
新たな道や秘密の門が
今日は踏み込むことがなくても
明日は行くかもしれない この道を
そして隠れた小道を辿り
向かうはお日さま、お月さま
リンゴ、イバラ、ナッツにスロー
ゆきすぎる、ゆきすぎるよ
砂に石よ、池に谷よ
ごきげんよう ごきげんよう
Home is behind, the world ahead,
And there are many paths to tread
Through shadows to the edge of night,
Until the stars are all alight.
Then world behind and home ahead,
We'll wander back to home and bed.
Mist and twilight, cloud and shade,
Away shall fade! Away shall fade!
Fire and lamp, and meat and bread,
And then to bed! And then to bed!
家は後ろで、世界が前さ
歩む小道はたんとあり
影をぬければ夜の境へ
そして満天の星明かり
こんどは世界が後ろで 家が前さ
気ままに戻るよ 家とベッドへ
霧、薄明かりよ、雲と影よ
消えておくれ 消えておくれよ
火とランプだ、肉とパンだ
そしてベッドへ、そしてベッドへ!

うーん、ビルボは詩人だねぇ。いいねぇ。

さて、これをざざっと眺めると、何か気がつくでしょ。

そう! あれですよー、あれ! 映画に出てきたよね。

あれとは何かわからない人、もいちど上の表とにらめっこして考えましょう。

 ↓



 ↓



 ↓



 ↓



 ↓



 ↓



 ↓



 ↓

わかった? そーです、ピピンの歌です。

デネソールさまがミニトマトなどなどをお召し上がりになってる横で、ピピンが歌う。
歌えと言われたけど、ほんとはそんな気分じゃない。デネソールさま、僕にもトマトひとつ下さい、とか言える雰囲気でもない。馳夫さんが相手なら言いたい放題だけど。

ファラミアは望みのない戦いに出ていった。ピピンには何も出来ない。だから歌はとことんさみしくなる。

原作では出発2日目のホビットたちが歌うのを、映画では第3部に持ってきて、さみしい歌にした。あの曲、ピピンが作ったんだってね。ビリーがさ。彼、歌うまいよね。声がいい。

じゃ、比べてみよう。
原詩の3連目 映画
Home is behind, the world ahead,
And there are many paths to tread
Through shadows to the edge of night,
Until the stars are all alight.

Then world behind and home ahead,
We'll wander back to home and bed.
Mist and twilight, cloud and shade,
Away shall fade! Away shall fade!

Fire and lamp, and meat and bread,
And then to bed! And then to bed!
Home is behind. The world ahead.
And there are many paths to tread.
Through shadow to the edge of night.
Until the stars are all alight.


Mist and shadow, cloud and shade.
All shall fade. All shall fade.

のところはそのまんま。shadowsのsがないだけ。
のところは少し変えてある。

黒いところはカットで、なぜカットかというと、「うちに帰って、ごはん食べて寝るぞ!」という歌詞だから、あのシーンで歌うと変なのだ。でも思い切って歌ってみたら、デネソールさまはどんな顔をしただろう。ほっぽり出されるかな。
で、とにかく、「食べて寝るぞ〜♪」のところをカットすると、さみしくなってしまうのだ。

ゴンドールの騎兵の突撃とオークの矢、それにピピンの歌が重なり、そして終わりには独り身じろぎもせずに座っているガンダルフが映る。すごく効果的だった。
ビルボの散歩の歌がこういう展開になるとは、トールキンもびっくりだろう。

曲調がさみしいと同じ歌詞でもニュアンスが変わって、涙涙になってしまう。
BBCドラマのメロディなら、映画の字幕も吹き替えも、ああいう訳にはならなかっただろうね。
日本語だと、助詞やら何やらで細かいニュアンスがある程度決まってしまうから、同じ歌詞を元気な曲に当てたり寂しくしたりすることは、そうそう出来るものではない。
英語だとこういう技が出来るんだねぇ。


では映画の話は置いといて、楽しく歌えるドラマ版の方、ホビットたちの声が聞こえなくなった後も歌は続いていただろうということで、ぜーんぶ歌ってみよう。

スクロールしなくていいように上の表をもう一度コピペすると↓、赤いところの下の2行、 Hill and water under sky, Pass them by! Pass them by! が曲には入っていない。
聞こえていないだけなのか? だけど曲の出来方としては、Let them passで終わるのが一番収まりがいい。Cのリベンデルの歌もその形になっている。
でもHill and water 〜 がカットになったら可哀相だから、入れてあげよう。最後のメロディを繰り返せばいい。 で、同じパターンで3番までいきます。

原詩 グワ暫定訳
Upon the hearth the fire is red,
Beneath the roof there is a bed;
But not yet weary are our feet,
Still around the corner we may meet
A sudden tree or standing stone
That none have seen but we alone.
Tree and flower and leaf and grass,
Let them pass! Let them pass!

Hill and water under sky,
Pass them by! Pass them by!
炉に火は赤く
屋根の下にはベッド
でもまだ足は疲れちゃいない
角を曲がれば
木や立石に出くわすのか
誰も見たことのないものに
木、花、葉っぱ、原っぱよ
すぎてゆく、すぎてゆくよ
丘と水は空の下さ
とおりすぎる、とおりすぎるよ
Still around the corner there may wait
A new road or a secret gate,
And though we pass them by today,
Tomorrow we may come this way
And take the hidden paths that run,
Towards the Moon or to the Sun.
Apple, thorn and nut and sloe
Let them go! Let them go!
Sand and stone and pool and dell,
Fare you well! Fare you well!
角を曲がれば待っているのか
新たな道や秘密の門が
今日は踏み込むことがなくても
明日は行くかもしれない この道を
そして隠れた小道を辿り
向かうはお日さま、お月さま
リンゴ、イバラ、ナッツにスロー
ゆきすぎる、ゆきすぎるよ
砂に石よ、池に谷よ
ごきげんよう ごきげんよう
Home is behind, the world ahead,
And there are many paths to tread
Through shadows to the edge of night,
Until the stars are all alight.
Then world behind and home ahead,
We'll wander back to home and bed.
Mist and twilight, cloud and shade,
Away shall fade! Away shall fade!
Fire and lamp, and meat and bread,
And then to bed! And then to bed!
家は後ろで、世界が前さ
歩む小道はたんとあり
影をぬければ夜の境へ
そして満天の星明かり
こんどは世界が後ろで 家が前さ
気ままに戻るよ 家とベッドへ
霧、薄明かりよ、雲と影よ
消えておくれ 消えておくれよ
火とランプだ、肉とパンだ
そしてベッドへ、そしてベッドへ!

はい、楽譜。
ドラマで聞こえる部分。




歌詞を全部並べると↓

Let them passのところは、ドラマではOでつないでリズムの流れをよくしている。
んで、Pass them by のところも、Oでつないでみました。
それから3番では詩の音の数が違ってて、 を入れないで、歌の前半と同じままで収まるようになっている。だからちっちゃく書いてあるラの音は3番だけ。

一番下の段は、ピピンが最後に付け足したところを原作に従って付け足してみました。高い声でとあるので、最後の音を上げてみた。ここはみんな好きなように歌ってください。

印刷用はこちら

音に合わせて練習しよう→ 


セキュリティ関係?でプレーヤが表示されない人はこちら


次、さよならするよ