では、よちよちと歌詞のアナリーゼ。つきあってね。

HoME持ってる人は本も見てみよう。

このシンダリン訳は、映画のエルフ語担当のDavid Salo氏が書いたそうで、彼はこの本の著者でもあり、エルフ語研究においては有名人。
シンダリンは、トールキンの残した用例が少なくて、研究者によって文法解釈が多少異なる。この詩も、他の人が訳したら、また違う感じになるだろうしね。人によって表現の仕方が違うのは、英文和訳と同じことだ。

グワがHoMEなど引っくり返しつつ、そこら中本だらけにして分解してみた結果は、これはそんなに変わった訳し方はしてないと思う。出来るだけトールキンの用例を踏襲しつつ、って感じ。
ring のところは、下の解釈が合ってるとすれば、ちょっと意見が分かれるかな。
他の研究者さんたちの中には、この訳は気に入らない、って人もいるだろうけど、これはこれで充分いいと思う。みんなで覚えよう!

ではスタート♪

Tinuviel the elven-fair,
Tinuviel ティヌビエル。そのまんま。ルシエンのこと。
tinってのは、キラキラ。お星さま。
dumはtwilight。
で、それがくっつくと、クゥエンヤではtindomeでstarry twilight。きれいだね。
それがtindumになって、シンダリンではtinnu。段々言いやすく変わる。(LR355、393)

終わりの iel は、クゥエンヤではselde で、daughter, girl, maid のこと。
で、それがずらずらとくっついて、Tinnuviel, Tinuviel となる。

星が輝きだした黄昏時の娘、これはナイチンゲールのことを言う。それがルシアンなのだ。トールキンは、奥さんのエディスのことをずっとルシアンだと思ってたんだって。エディスはdaughter of starry twilight だったんだねぇ。いいねぇ。ロマンチックだねぇ。
elvanui el はエルフ、ここはかんたん。
vanui って何だ?! 元が elven-fair なんだから、fair になりゃいいんだ・・・うーん・・・きれいっていうのは ban 関係で、LR351にある。じゃあbanui かな。b はすぐに v に変わっちゃう。でもLRには、banui って形は載ってない。クゥエンヤとか古い形のことは書いてあるけど。

終わりの ui は、形容詞にするときにくっつけるやつ。
例を挙げれば、エレド・リスイ Ered Lithui とか。ファヌイゾルFanuidhol とか。
エレドは山の複数で、lithは灰とか砂で、それにui がついて、灰の山脈、となる。
ファヌイゾルは、faun は雲、cloud で(LR387)、それにui がついてcloudy になり、dol は頭のことで(LR376)、d は軟音化すると dh になり、並べてFanuidhol で、めでたくcloudy head、雲乗山となる。

ってことで、ban+ui で、banui、美関係を表す形容詞になる。んだろう。
それがelとつながって、elvanui の出来上がり。たぶん。


Immortal maiden elven-wise,
Elleth これはいつものLRじゃなくてWJに載ってる。WJはエルフ語の説明が詳しいよ。el 関係で困ったときはWJ。
で、Elleth は elf-woman だって。
alfirin これは花の名前だから、聞いたことあるでしょ。指輪に出てくるよ。
書簡集248には花の名前が並び、そして402ではニフレディルやエラノールの説明もあり、そしてアルフィリンは、immortal と書かれている。immortelle なんだって。切ってもいつまでも綺麗なままの花。でもカラカラカサカサのドライ状態になってるわけじゃないって。
simply a beautiful bell-like flower, running through many colours, but soft and gentle なんだって。すてきだね〜 きれいなベルの形。
で、そのずっときれいなまま、いつまでも美しいアルフィリンをルシアンの詩に入れたわけだ。
アルフィリンは花の名でもあり、immortal という語でもある。
edhelhael edhel はエルフ、これはよく見かける。エゼルね。複数だと edhil 。

hael は、アラゴルンのご先祖さまの名前にもついている。ドゥネダイン2代目族長、アラハイル、Arahael。追補編に出てくるね。
このhael は、賢、ということだ。だからアラハイルは賢王、ということになる。
この hael はほんとは sael で、くっついて音が変わったものらしい。s は流れやすいように h になる。

sael は、HoMEを探すと、ちゃんと wise と書いてある。Saelind はWise-heart であり(MR305)、Saelon は、the Wise となる。(WJ233、234)
ってことで、edhelhael は、 elven-wise になるのでした。


About him cast her shadowy hair
O about, concerning のこと。LR379
hon 彼。LR385
ring うわ、指輪か?!でも英語じゃないし。
原詩はcast。 cast って意味のエルフ語は・・・・探しました。ありませんです。えーん
castねぇ。そのまんまだと、ぶん投げることになっちゃうしねぇ。ぶん投げたわけじゃないもんねぇ。髪がベレンに、さぁっとかかったわけで。
それっぽい意味で、ring に近いのは・・・うー、LR383にrig ってのがある。crown。これかもね。ルシアンの髪がベレンの周りにサラサラと。crownのように。抱きついちゃってるわけで。アツアツですので。はい。いいなぁ。

で、そのrig は、PM347に拠れば、ガラドリエルのriel とお友だちというか、同じだそうだ。twine, wreathe, garland で、ガラさまのgalad は光輝くということだから、それがtwine, wreathe, garland しているのがガラドリエルなのだ。なんとすごい。まぶしくて見れないくらい。

彼女の髪がベレンに twine, wreathe, garland する。cast her shadowy hair の意訳としてはなかなか素晴らしい。

これが仮に rig から来ているとすれば、ここが「ルシアンの髪がベレンに絡まりました」って動詞過去形とすると、ring になる。かな。
☆型動詞で g で終わるものは、過去形では nc とか ng になるから。☆型動詞とは何かは、エルフ語のところ見に行ってね。

以上の解釈は違うかもしれなけど、他の単語はcast以外のところにハマるから、ring はやっぱり cast に対応する。ってことで、まぁ、castだな、とアバウトに思っててください。
finnil 髪、ですな。finnelの複数。この関係の語群は、編んだ髪を指す。(LR387)
それが複数だから、ルシアンの髪はひとつに編まれてるんじゃなくて複数に分けて編まれているってことになる。編み込みかな。凝ってるんだろうな。でもcastできるんだから、髪を全部編んじゃってるわけじゃないよね。ムースかジェルかスプレーでバッチリガチガチに固めてたらcastできないもん。
ま、これは、トールキンが書いたエルフ語じゃないんで、ここではfinnilになってます、ってことです。

単数 finnel は findel でもあり、グロールフィンデルの名前に入ってる。グロールフィンデルさまは、ひとつにまとめて編んでたってことかな。
fuinui fuin って、夜、闇、影、ってこと。fuinはdeep shadow、night、ってこと。(LR382)

Taur-nu-Fuin、タウア=ヌ=フインってとこがある。これはトールキンが絵を描いている。有名な絵だから知ってる人も多いだろう。知らない人はここに行くと見れるよ。
トールキンは、シルマリルに出てくるタウア=ヌ=フインを描いたんだけど、後になってカレンダーに使う話が出て、その絵をファンゴルンってことにしてしまった。タウア=ヌ=フインなのに。ま、いっか、ってことで、使い回し。
つまり、東京の写真撮って、それをカレンダーに使うときに、これはニューヨークの夜景です、ってことにしてしまった、って感じ。
木だけならまだいいけど、小さく人物も描かれてるから、指輪でのファンゴルンとするにはちょっと無理があるんだけどねぇ。

トールキンって、いろいろ凝って、さんざん細かいことにこだわるくせに、こういう素敵にアバウトなところもあって、そこがまた好きだったりもする。
ちなみにこの本には、その辺の説明が詳しく載ってるけど、原書房の訳本ではタウア=ヌ=フインがトール・ナ・フインになっている。読み方、間違ってるからね。

で、話を戻すと、taurは森(LR391)、nuはunder、fuinは上で言ったように夜。Forest under Nightとなる。

そのfuin に、elvanui のところで説明した ui がついて形容詞化して、夜の、影の、暗い、ってことになる。fuinui って形は見つからなかった。どっかにあるのかもしれないけど。でもこれもui をくっつけて作ったのかもしれない。形容詞化するには便利な ui だ。

で、finnil fuinui で、shadowy hair になるわけだ。パチパチパチ!!!はい、拍手、拍手。
直訳すれば、shadowy braids になるけどね。英語→エルフ語→英語、って訳すと意味が微妙に変わってくるのがおもしろい。


And arms like silver glimmering.
A and のこと。英詩に対応。
これはモリアの入り口に書いてある。pedo mellon a minno、つまり、say friend and enter。
renc 腕、ranc の複数。
LR382に腕の説明がある。単数は、rhanc。複数は、rhenc。LRに載ってるのはノルドリンで、これがシンダリンになると、rh は r になる。で、renc、ってこと。
gelebrin 銀といえば、celeb! celebren が複数になるとcelebrin。前とのつながりで g に変わる。
celebren は、銀の、ってこと。銀関係は、LR366、367。
thiliol 輝く、◇thilia の分詞形。語尾が ol になる。◇の意味がわかんない人は、うちのサイトのエルフ語の動詞のところを見に行こう。っていうか、ol がつくやつはまだやってないんだけど。(^^;;) ◇か☆かを言えば、これは◇の方。
トールキンの説明では元の形の表示が語によって一貫してなくて、LR392にはthilio になってる。どっちにしても分詞で ol がつくのは同じ。

この語は、月のイシルのお友だち。thil、入ってるでしょ。それから thil は sil で、だからシルマリルのお友だちでもある。
語のお友だちを眺めると、どんな雰囲気の輝きなのかがイメージできる。


ほとんど、英詩そのまんま。元の単語に合うやつ探せばいいから何とかわかるけど、これで英文がないと読むのはちょっと大変だな。


はい、これで意味は細かいとこまで、よっく、わかりましたね? 意味がわかると、歌うときもすぐ覚えられるよね。
んじゃ、歌ってみよう!

うた♪