さて、ミドルアースで迷子になった。 困った。夜だし。おなかはすくし。
あ、グワイヒアだ! おーい! あぁ、よかった、これで運んでもらえる。

「え、迷子? ここから真っ直ぐ北に行けば裂け谷だよ。すぐだから、歩いて。 ぐわたんはねー、いそがしいんだよ。じゃ、そういうことで」
バサバサバサ・・・・(←飛んでく音)

ち、ちょっと待てってば・・・あー、行っちゃった。
バカヤロー! すぐなら運んでくれてもいいじゃないか! 何がぐわたんだ! グワイヒアの奴、覚えてろ・・・

このまま真っ直ぐ北に進めば裂け谷ったって、どっちが北だか南だか・・・。
ん? おぉ、北極星を探せばいいんじゃん! あったまいぃ〜〜!

カシオペアか北斗七星を見つけて、あれとあれを結んで、延ばした先に・・・みっけ! あれだ!北はあっち!
迷子になったんですぅ、って言えば、エルフ達は優しいからご飯くらいご馳走してくれるだろう。目指せ、裂け谷! エルロンドの館目指してレッツゴー!!

ところが、行けども行けども着かない。おっかしいなぁ・・・

そうです、着くわけないのです。 この時代、21世紀の北極星は、北極星ではなかったのです。今の北極星を目指すと、少しずれちゃう。

地球の軸はコマの軸がフラフラ回るように、26000年くらい、もすこし正確には25800年くらいかけてぐるっと一回りします。
自転の方向とは逆に回ります。
軸が延びていった先が天の北極ですから、時代によって北極星は変わります。
こんな感じ↓

上の輪っかの目盛りは、大ざっぱに大体2000年です。
黄色の矢印のところが現在21世紀初頭。ちょっと輪と北極星は、ずれてるでしょ。バッチリ一致しているわけではないのです。

26000年というと、とんでもなく長く感じますが、キリストが生まれた2000年ほど前(割と最近)は、今の北極星はだいぶ離れていて、全然北極星ではなかったのです。

紀元前3000年、古代エジプトの初期王朝のころは、りゅう座のツーバンという星が北極星の役割をしています。ギザの3大ピラミッドはBC2500年代頃のことだから、目盛りの4分の1くらいずれる。

西暦8000年、つまり今から6000年くらい経つと、ケフェウス座のアルデラミンが北極星になります。

西暦10000年、つまり今から8000年くらい経つと、白鳥座のデネブが北極星となります。ちょっと離れてるけどさ。まぁ、大体。

西暦14000年、つまり今から12000年くらい経つと、こんどはこと座のヴェガが北極星となります。おぉ、織り姫さんが北極星ですよ。

で、ぐるっと回って26000年経つと、今の北極星がまた北極星になるわけ。

さて、ミドルアースで迷子になったアナタ、北極星をさがしましょう。
赤い矢印のとこですよ。約8500年前、紀元前6500年頃の天の北極はその辺り。
うーん、見つけづらいか? ヘラクレス座だねぇ。ヘラクレスさんの足の辺りになります。
やっぱ見つけやすいのは北斗七星だから、これを使って探そう!
ひしゃくの底と柄の付け根から2番目を結んで3倍ほど延ばすと、大体そこら辺に到達します。
ヘラクレスさんの膝のあたりに並んでる2つの星を見つけよう!
ほらほら、
こんな感じ。
赤いのは、21世紀の北極星。
向き変えると
こんな感じ。
この向きなら
こんな感じ。

ということで、夜、晴れてさえいれば方角はわかりますね〜
エルロンドの館に着いたら、エルフたちに21世紀の北極星の見つけ方を講義してあげよう。感心されて、ディナーが豪華になること請け合い!



星空の変遷は