うちの太陽系の惑星。

水金地火木土天海冥。すいきんちかもくどてんかいめい。

しかし近年、冥王星は降格になって水金地火木土天海になった。すいきんちかもくどてんかい。

どってんと読む人もいるらしい。冥王星降格ニュースでは、人によって言い方が違ったな。グワはずっと、世の中は100%どてんだと思ってたんだけど、違うんだねぇ。もしかしてどってんの方が多いのかな。どてんもいいよ。どてんだと、途中でリズムが変わって、それがまたいい感じ。
アナタはどてん派?どってん派?

どっち派かは置いといて、とにかく、水金地火木土天海冥、勝手に最後の「めい」をカットしちゃったわけだ。

しかし、数あるSFに登場する冥王星人さんたちの立場はどうなるのか? 太陽系第九惑星とか言ってチヤホヤしてたくせに、やっぱアンタは小さいからこの話はなかったことで、って、失礼極まりないではないか。きっと冥王星の天文学界では、第三惑星を惑星の定義から外す方向で議論が進んでいるに違いない。目には目を。惑星には惑星を。

そして、トールキン先生は、惑星の名前は海王星まで書いて、冥王星の名前は残していない。太陽系は8惑星となるという先見の明があったのだな!!さすがはトールキン先生!

っていうか、きっと先生はSFというジャンルは読まなかったんだろう。だから冥王星人の名誉と尊厳までは頭が回らなかったのだ。冥王星人の図書館では、トールキン排斥運動が起こっているかもしれない。困った。冥王星人さん、心を広くもってください!!お願いします。

が、しかし、冥王星は、惑星から降格で、矮惑星というものになった。英語では、dwarf planet だ。どわーふ!! ギムリの星?!
だからきっと、冥王星人さんたちはドワーフというものに興味をもって、トールキンを読んでくれているに違いない。あぁ、よかった。


んで、シルマリルの物語、第3章には星の名前が並んでいる。邦訳では98ページ、ヴァルダさまの呼び名の説明の後、カルニル、ルイニル、ネーナール、ルンバール、アルカリンクウェ、エレンミーレ、とある。これは皆、惑星なのだ。それより後に書いてあるのは恒星だ。

で、これは水星で、これは土星で、というのは、物語の中に書かれているわけじゃなく、カルニルは色からして火星だろうというのはわかるけど、他のは推測が出来ない。
しかしトールキンの書いたメモを元に、息子のクリストファさんがいろいろ解説をしてくれている。(MR434)
冥王星が見つかったのは1930年で、だからそのメモはそれ以前に書かれたものなのかもしれない。だけど、見つかってからも書き加えなかったんだから、やっぱり先生は冥王星無視だったのだ。あ、冥王星人さんたち、怒らないで!

トールキンは惑星の名前を並べて、それぞれの名前の上に水とか火とか木とか書いてたんだって。そりゃ漢字じゃないけどさ。SとかJupとかね。
しかしここで問題が発生する。
天、つまりUだけは書いてないそうだ。でも他のが決定すれば残りが天王星になるから、全部特定出来るのだ。出来るはずだった。しかし・・・
海王星になるところにはNの字がある。ところがそのNが消されているそうだ。むむむ・・・ミステリーですな。それで天王星と海王星、どっちがどっちかわからなくなる。
2つのエルフ語は、「水」という意味と、「青」という意味。天王星も海王星も青い。さぁどっち?これは「どてん」か「どってん」かの問題より困る。

8惑星のうち、そのメモにないのは地球と金星。なぜかと言うと、有名すぎてメモる必要がなかったからだな。
では、太陽から出発して、海王星まで、太陽系一周ツアーの始まり始まり♪
太陽

アナール
Anar
アノール
Anor
Q
nar  炎 (LR374)
Anar 太陽

SではAnor

太陽。
メルコールとウンゴリアントが二本の木を枯らした後、テルペリオンとラウレリンはヤヴァンナの歌によってわずかの間甦った。金色のラウレリンには最後に1つの実が生り、それを器に入れて空に置かれたのが太陽。

二本の木は枯れたけれど、テルペリオンの花とラウレリンの実は、今も生きている。
ヴァリノールの二本の木という太古の輝かしい命が、今もいつまでも世界を照らし続けるという物語は、トールキンの描くどこまでも高く美しい精神の世界の基本となるものだ。第二紀になっても第三紀になっても21世紀になっても、遥か昔の二本の木の光はいつも空にあるのだから。


水星

エレンミーレ
Elemmírë
Q
elen  星 (LR355)
míre  jewel, treasure 宝石 (LR373)

キランキランですねぇ。


金星

エアレンディル
Eärendil
ear  海 (LR349、L385〜387)
dil  愛する、捧げる(L385〜387)

この海は、ミドルアースとアマンの間の大海を指す。

言わずと知れた、航海者エアレンディルさん。金星の明るい光はシルマリル。

他の惑星とはちょっと別格。


地球

アルダ
Arda
Q
arda 王国 (LR360)

世界。地球。
マンウェの統べる国。
持つ、所有するという概念から、国や王という言葉に発展する。
この世界は、我々よりレベルの高い存在が上に立っててくれている、ってことかな。


火星

カルニル
Carnil
Q
karne 赤。(LR362)

草稿集では Karnil で、K になっている。

赤い星、火星!

地球は青い。隣の火星は赤い。なんてロマンチック♪ 太陽系は素晴らしい。


木星

アルカリンクウェ
Alcarinquë
Q
alka   ray of light 光線
alkarinqa  radiant, glorious 輝く、燦然とした (LR348)

パーッッ!と光ってますっ!という名前。
木星は大きいからね。もう少し大きかったら第二の太陽になっていただろうと言われるくらい。でもまぁ、恒星にはなり損なって、発光体ではないから、凄まじく輝かしく見えるわけではない。でも大きいから割とよく見える。

どうして光り輝く名前なのか。これは、木星はJupiterで、ジュピターとはユピテルで、ギリシャではゼウスと言い、ローマ・ギリシャ神話の主神なわけだ。神々の頂点に君臨するジュピターは輝かしい。
この第5惑星がジュピターなのは、やはりその大きさだ。太陽系の惑星中、一番大きなのが最高神なのは当然。


土星

ルンバール
Lumbar
Q
lumbe  gloom, shadow 薄暗い、影 (LR370)

土星さん、立派な輪っかがついてフラフープみたいで楽しそうなのに、なんでまた後ろ向きな名前なのか?

土星はSaturnで、サターンとはサトゥルヌスで、ジュピターの前の時代に天地を支配したという神さま。
サトゥルヌスは、自分の子どもに地位を奪われると予言され、生まれてくる子供を次々と丸飲みにする。(おいおい・・・^^;;)
これをテーマにした絵画はいろいろあって、子供にかじりついてるおじさんが描かれているけど、ほんとは食いちぎってるわけじゃなく、丸飲みなのです。でも丸飲みだと絵にならないらしい。

で、ユピテルはサトゥルヌスの末っ子なんだけど、ママが頭が良くて、子供の代わりに石を飲ませて、ユピテルは助かった。そしてパパより強くなり、戦いとなり、サトゥルヌスは退陣、政権交代で、ジュピターの時代がやってくる。飲み込まれていた子供たちは、クジラのお腹に入ったピノキオと似たようなもんらしくて、生きていて、パパ敗戦退陣後、生還して活躍することになる。
ってことで、サターンとは、輝かしいイメージの神さまではない。はい、アナタは引退ね、さよーなら、って人。

どうして引退する爺ちゃんが土星なのか。昔から知られていた惑星はこの土星までで、天王星から向こうのが発見されたのは18世紀以降だ。その大昔から観察されていた水、金、火、木、土の中で一番公転周期が長い、つまり一番遅い、ゆっくり、のろのろ、まったりして見えるのが土星で、それで爺ちゃんの割り当てになったらしい。
まぁ、土星は色も渋くてジジくさいのは確か。

そしてミドルアースでも土星はgloomy な名前になっている。



そして、ミステリーな2惑星。どっちがルイニルか?どっちがネーナールか?
青と水。 天王と海王。 天も海も青いけど、水が当てはまるのは海王だ。だから素直に天が青で、海が水でいいんじゃないだろうか。
天王星

ルイニル
Luinil
Q
luin  青。(RGEO 66) 複数だと luini。


Luinil は「青っ!」っていう名前で、海王星も天王星と同じく青く、どっちかっていうと海王星の方が青く、だからLuinil は海王星なのではないか・・・という説も成立する。
でもトールキンのメモからするとやっぱり、青ちゃんのLuinil は、天王星でいいんだろう。だってネーナールの上にN、ネプチューンと書いてあったんだしさ。いくら消してあったにしても。


海王星

ネーナール
Nénar
Q
nen  水 (LR376)

ar は、シルマリルの補遺によれば、おなじみのarで、高貴な、とか、王の、という意味になる。

となれば、水の王。割と普通。

nar とすると、炎だ。(LR374)

とすれば、水の炎。ちょっとカッコいいかも。

どっちかな。わかんない。水の王にしとく?

海王星、Neptune はローマ神話の海の神。ギリシャ神話での名前はポセイドン。

水で、海で、そのまんま。

先生は、ネプチューンをちゃんと水って意味にしたんだろうから、海王星はルイニルじゃなくてネーナールでいいと思うな。

海王星の「青ぉっっっ!!」は、NASAが飛ばしたボイジャーが、そばまで行って撮って送ってきた写真で「おぉぉぉ!」となった。あの青はなかなか素晴らしかった。あーこんなに綺麗なんだなー、ってカンゲキしたものだ。地球の青とはまた違う美しさがあるな。




さて、こうして見てくると、なぜギリシャ神話が絡むのか?というか、絡んだように見えるのか?という疑問が生じる。トールキンは、この名前はギリシャ神話関連です、とは書いてないから何とも言えないんだけど。

トールキンの世界と繋がりがあるのは、ギリシャ・ローマ神話よりも、どっちかっていうと北欧神話で、どっちかって言わなくても北欧神話だ。
なのにトールキンの惑星の名にはギリシャ・ローマの神々がチラチラと見え隠れする。・・・ように見える。
海王星なんて、nenで、ガラさまが持ってる指輪のネンヤと類語で、水の王の星で、ネプチューンそのまんまではないか。

トールキンが描いた時代は、太古も太古、むちゃくちゃ超太古で、それと比べればローマ神話なんて、つい最近みたいなものだ。で、どーしてそれと関係あったりするんだろ?

大体、ジュピターはゼウスと同じとされ、ゼウスは浮気しまくりのスケベオヤジで、それも上手に浮気すればいいものを要領が悪いから浮気の度に奥さんにバレて大騒ぎになり、そこら中に子供が増え、家系図は入り組んでわけが分からなくなり、しかしあくまでもシラを切り通し、自分が悪かったとは絶対に認めない。そんなのが最高神でいいのか?お話というものは、あまりにマジメすぎても嘘くさいけど、あまりにワイドショー度が高すぎても却って嘘くさいではないか。
トールキンの神話の世界、アルダではマンウェが頂点で、もしマンウェさまがそこら中のエルフやドワーフや人間やホビットのカワイ子ちゃんに手を出し、その度にヴァルダさまは怒り狂い、マンウェさまの子供はあちこちの王家や執政家や庶民の家系に増え、とかいうことになったら、ミドルアースは一体どういうことに・・・・・ え、楽しそう?

いや、これは、ルンバールとかルイニルとか、元々そういう名前だということが天文学界でも密かに知られていて、外惑星が発見される度にそれと同じ感じの名前にしていったのに違いない。ちょっとくるしいか?・・・いや、くるしくない。
ギリシャ・ローマ神話のムチャクチャ度はこの場合、関係ないのだ。天文学関係者が、エルフ語の意味と似た感じのをその中から拾ってきただけだ。
で、だから、21世紀一般の呼び名と全く違ったり、近い意味だったり、そのまんまだったり、いろいろなのだ。

全部同じでないところがまた、信憑性がある。時代を超えて、変わってしまった名前もあり、引き継がれた名前もあり。

という仕掛けがしてあるんだな。いや、仕掛けではない。本当だ。
第一紀に水王という名だった星は、現在では海を司る神ネプチューンと呼ばれ、日本では海王星と訳された。太古から未来まで、引き継がれていくものがあるのだ。

ちょっとだけ、同じ系列のネーミングにする。
トールキンの感覚って、好きだな。


で、惑星は位置関係によって地球からは見えたり見えなかったりする。

そして惑星は、黄道の近くに見える。

ではまず黄道の話をちょっと。