金星の動きでは、8年で五芒星、☆形も出来る。これがまたすごい。惑星というのは、好き勝手に動いてるわけじゃないのだ。すごいなぁ。世界ってほんとにすごい。そういうとこで生きてんだから、人間も鷲もすごいのだ。

ダ・ヴィンチ・コードにもこの五芒星の話が出てくる。
映画にはガンダルフが出ていた。ガン爺、喋る喋る。マッケランの力量発揮。(^_^)v 途中でよぼよぼし出すところは、エドラスに着いたときと同じ。映画観てない人は、ガン爺にぜひ会ってあげてください。でもあれは映画だけ観てもよくわかんないかも。本、読んでないとね。

で、ダ・ヴィンチ・コードに出てくる説明がわかると、ロリアンのシーンの貴重さがまたわかるから、ちょっとそっちを見てみよう。

the planet Venus traced a perfect pentacle across the ecliptic sky every eight years.
金星は、黄道の引かれた天を渡りつつ、八年毎に完璧な五芒星を描く。
マッケランは、映画に出る際、原作本にも当然目を通してるだろう。ここのくだりを読んで、おぉエアレンディルさんはすごいな、と思ったかな。

邦訳本では、「金星が八年周期で黄道上に五芒星を描く」とある。(ダ・ヴィンチ・コード、文庫上の71ページ)
グワ訳がややこしくなってるのは、五芒星が出来るのは、厳密に言えば黄道上ぴったんこではないからだ。原文もぴったんことは書いてない。

黄道は円だ。おっきな円が天に張りついている。ここで言ってるacrossするというのは、輪っかの向こう側へ渡るということだ。黄道面を横断するわけだ。

映画ではいろいろ説明してる時間がないから、
This is a symbol for Venus. ってセリフがちょっと出たくらいで、8年だの何だのはパス。まぁ原作でも主人公は口に出して説明するのはめんどくさいから言いませんでした、ってことになってる。

ダ・ヴィンチ・コードは、いろいろな蘊蓄に満ちていて、しかしその全部が本当ではないらしく、批判もされてるけれど、この金星が黄道に沿って五芒星のラインを辿るというのは、ほんとのことだ。で、昔の人もそれを知っていたから、☆の形は素晴らしいものとして扱われた。それが今でもいろんな方面に残っている。五芒星、五角形というのは、元は金星と結びついた図形として捉えられていた。

むかーしは、太陽系の構造はわかってなくて、天動説だったんだし、金星の通り道で五芒星になるなんてわかりそうもないけど、これがちゃんとわかるのだ。昔の人をバカにしてはいけない。

星空ソフトでシュミレーションしてみると、いや、じゃなくて、カラズラスのてっぺんで8年観察してみると、ちゃんと☆になる。すごい。金星さん、えらい!

つまり、地球と金星の会合周期が8年で5回あるのだ。
会合周期とは、地球とぴしっとまっすぐ並ぶところにくる周期。
365×8=2920、そして会合周期は584日で、584×5=2920。すごい。
まぁ365も584も大体だけどさ。でもそれでピッタシ計算が合ってしまうのはすごい。今でも「おぉぉ!」と思うんだから、昔の人はさぞ「おぉぉぉぉ!!!」だったことだろう。

普通に太陽系を上から見ると、ちゃんと五芒星になる。
わかりやすく、動かしてみよう。
赤が太陽、黄色が金星、青が地球。
音は鳴りませんので、職場でも安心して遊べます。(^_^)v

1、2、3、4、5の旗が出るのは、わかりやすく内合のときにしたけれど、何も内合だけではない。一直線じゃなくても、ある一定の角度になるのは8年のうち必ず5回なのだな。途中で止めながら数えてみて。どの角度の時も、つなぐとちゃんと☆になる。

しかし昔の人はこういう形で廻ってることは知らなかったわけで、じゃあ地球を固定したらどう見えるかをやってみると、またまたちゃんと五芒星になる。

実際は宇宙船に乗って遠くから見るわけじゃないから、普通に地球から見ると、下のフラッシュのように見えるわけです。軌道の上から見てるわけじゃないけど、真ん中の地球にいて、ぐるっと見回してる感じになるわけです。そういうつもりで見てください。

では使い方。
初めに、金星が地球から見てどういう角度のときにするかを黄色の枠の中のボタンで決めます。
いじらずそのままだと内合時になります。
朝見えるところ、夕方見えるところ、好きなところにしよう。

この辺♪って決めて止めたら、下の水色の枠の中のでスタート!
は進む
は一時停止
はリセット
はちょっと戻る 何回も押すと、ちょっとちょっとちょっと戻る
はちょっと進む 何回も押すと、ちょっとちょっとちょっと進む

地球から見て、初めに設定したのと同じ角度にくると、金星の軌道に向かって☆のラインが出ます。内合の位置なら、ちゃんと金星から線が出ます。
一瞬で行っちゃうから、ゆっくり確かめたいときは、←→ボタンでコマ送りする。
で、8年すると、地球からは黄道上に☆が出来たように見える。
☆完成!!!盛大に拍手をする。(授業中、勤務中は、拍手してはいけません)

赤が太陽、黄色が金星、青が地球。オレンジの大きな円が黄道。緑の円は金星の軌道。

北極側、地球公転面、つまり黄道面の真上から見たところです。
しかし黄道付近の星座の形は真上ではなく、横から見た形です。つまりモニタ画面に垂直に立ってるはずのをバタっと平たく倒した形です。見てる向きが違うから、単に模様として見てください。

8年だから、太陽が地球の周りを8回まわるように見える。金星は太陽の周りをぐるぐるする。地球から見ると、金星は太陽の近くでウロウロしてるように見える。
地球のところにいるつもりで見てみよう。金星が太陽に近づいたり、離れたり、重なったりして見えるのがわかる。で、同じ感じで見えるところが5回ある。
真ん中の地球の数字は、何年目、ってことです。




地球から見て同じ感じで見えるところをつなぐと、黄道付近に☆が出来るように見えるのだ。昔々、空を何年もかけて調べた人たちは、感動の嵐だったことだろう。自分を囲む、大きな大きな☆の形が空にあるなんて、すごい。

ぐるぐるするときは、太陽が動く向き(ほんとは地球が動いてるんだけど)と、金星の動く向きによって、金星のスピードが速くなったり遅くなったりするように見える。両方一緒の向きなら速くなる。逆向きだと止まって見える。だから実際空を見ると、金星は黄道の近くで何日かのうちに急に場所を変えたり、何日経ってもあんまり動かなかったりするのだ。

そして、金星がぐるぐるする跡をずーーっと線で描くと、五弁の薔薇の形になる。すごすぎる。あれは地球から見たときの金星の動き方なのだ。
五弁の薔薇は、ダ・ヴィンチ・コードにしつこく出てくる。原作にも映画にも出てきた。あの箱の模様がそうだよ。そして五芒星と薔薇が関係があるということも出てくる。元々、どっちも金星なんですねぇ。

この五弁の形のことは、星たちのダンス って本にも詳しく載っている。これねー、面白いよ。金星だけじゃなくて、他の惑星もみんなすごいの。表紙の絵がその金星の描くライン。五弁の薔薇。すごい。

上のフラッシュでは、金星の軌跡を辿るラインは出ませんが(正確に言うと、出るように出来なかったのですが ^^;)、金星を追っかけて指で辿ってみると、ちゃんとこの形になる。

さて、金星の軌道は黄道面とは傾いているから、真上から見れば黄道にほぼぴったんこでも、横から眺めると、

ほんとはちょっと傾いている。
黄色い円が黄道。白いとこが黄道面。
傾いてるとこがまたいい。ぴったり重なった☆じゃなくて、ちょっと斜め。細かく観察してこれを発見した人は、すごいよね。それも大昔にさ。

ということで、
the planet Venus traced a perfect pentacle across the ecliptic sky every eight years.
金星は、黄道の引かれた天を渡りつつ、八年毎に完璧な五芒星を描く。
これは、正に正にその通りなのでした。

以上、長くなりましたが、ダ・ヴィンチ・コードにある五芒星うんぬんは、そういうことを言ってたのでした。


で、ロリアンに戻って、何が言いたいかというと、☆のつんつん尖ったところでは、金星の見え方は同じになる。でもその5回は、地球では全部季節が違う。秋になったり夏になったりする。
同じ季節に同じ角度で見たければ、のところなら、またのとこにくるまで、ならまたになるまで8年待たなきゃならない。

ロリアンでのあのシーンは、もしあの時期を逃したとして、どうしてもこの季節じゃなきゃイヤよ!とガラさまがだだをこねたなら、前のページで説明したように1年半では済まない。同じ2月の夕暮れに金星を西の空に見たいなら、8年待たなきゃならない。

で、「あらいやだ、すてきなシーンにならないじゃない?すてきな演出にならないと、わたくしイヤだわ。ねぇフロド、8年待ちましょ。それまでゆっくりしてらっしゃいな」ってことになって、指輪の仲間はロリアンにずーーーーーーーっと延々と足止めになり、指輪戦争は一体どういう展開に・・・・
何千年も、どうかすると1万年以上も生きてるひとには、8年くらい、別に何でもないのだろうな。明日みたいなもんだろう。

ってことで、ガラさまの水鏡のあのシーンは、8年に一度の貴重なエアレンディルさんなのでした。

映画じゃガラさまはスクリーン上でそれはそれは恐ろしく変身した。映画館で初めて観たときは、何事かと思ったもん。なんかいきなり別の映画になったみたいで。こわ。
で、ガラさま変身は原作の数百倍の凄まじさだったのに、エアレンディルさんはカットだった。
きっと撮影のとき、その8年に一度の時期じゃなくて、撮れなかったんだろう。でもお日さまはあっちに行ったりこっちに来たりして、都合良く動いてくれてるのにな。PJはエアレンディルさんにはあんまりワガママ言えなかったのかもしれない。

っていうか、映画では夕暮れじゃなくて、思いっきり夜だった。もうみんなが寝てる時間。あれでエアレンディルさんが出てくるのは無理がある。もしかしたらエアレンディルさんは映画に出たかったのに出して貰えなくて、ぶーたれてたのかもしれない。

下の方ばっか映って、一度も空は映らない。あそこでネンヤにエアレンディルの光が当たって輝くというシーンがあれば、フロドの貰う瓶とつながって、相乗効果で素晴らしくなったのにな。

じゃあ、ロリアンに見に行ってみよう。