金星はエアレンディルさん。

話の中にエアレンディルさんの名前はよく出てくるし、何となく雰囲気的にエアレンディルさんはいつも空にいるように思える。でもいつもいつも見えるわけじゃなく、見えないことの方が多い。

大体、夜中には見えないし、明け方か、もしくは夕方にちょっと見えるくらいで、そのちょっとも見えない日もある。

エアレンディルさんを見よう!と思ったその時に見えたら、相当ラッキーなのだ。

明け方に見える頃には、夕方には見えない。夕方に見える日には、明け方には見えない。明け方だろうが夕方だろうが、見えない日には断固として見えない。夜中に見えることは何が何でもあり得ない。

太陽さんとエアレンディルさんと地球さんのいる場所によって、見えたり見えなかったりする。

そしてエアレンディルさんは満ち欠けをする。空にあるシルマリルは満シルマリルになったり、半シルマリルになったりするのだ。面白い。

金星の動き方なんて知ってるよ!って人は、以下斜め読みで結構です。
わかってない人は、読み進めるにつれて、エアレンディルさんのシーンの「おぉぉ!!」度がアップすると思います。(たぶん) 最後まで読んで、あのシーンがいかに稀なことであったか、ガッテンしてください。


さて、朝見えるシルマリルさんはどっち向きに欠けるのか、夕方見えるシルマリルさんはどっち向きに欠けるのかは、位置を考えればすぐわかる。
下の太陽さんは、地平線より下にいて見えていない。というつもりで見ましょう。

朝。東の空。
昇ってきます。
夕方。西の空。
沈みます。

この欠け方は太陽側が照らされるわけだから当たり前だし、月の欠け方とももちろん同じなのだけど、月は太陽と反対側にいることもあるから夜中でも見える。
金星は内惑星で、どの位置にいても地球から見れば太陽側だから、空を見れば太陽の近くにいることになる。太陽が出ていれば普通は太陽の光で見えない。太陽さんが地平線の下にいてくれていれば見える。一番明るくなる頃は、空が明るくても見えるけど、そういう時期は短い。大体、目が悪い人や鷲は光っててくれないとよく見えないし。

朝は金星さんが出てきてから太陽さんが出てくるまでが勝負、夜は太陽さんが沈んでから金星さんが沈むまでが勝負。

で、自分とエアレンディルさんがどーゆー位置関係にいるかわかってるとちょっと楽しい。


これ↑は、2008年1月の位置関係。地球から見ると、金星の右側が欠けて左側が見えるのがわかる。
矢印は進む方向。北から見ると、惑星は全部反時計回りに動いている。内側の惑星の方が速く進む。外へ行くほど遅くなる。


これ↑は、2008年12月。金星の1年は、地球の225日。なかなか速い。ぐるるんと地球がほぼ一回りしてくる間に、金星はびゅーんと一周半くらい動いて、今度は金星の左側が欠けて右側が見える。

で、地球さんは上から、つまり北から見ると、
回転方向はこうなる↓ 反時計回り。自転というのは普通、こうなのだ。
それなのに、金星さんは何を勘違いしたのか、自転は逆回り。まぁ、地球から金星がどう見えるかを考えるときには、向こうの自転は別に関係ないからいいんだけど。
とにかく、地球はこう回る。


っつーことはですよ、つまり、

このバヤイに金星が見えるのは朝で、 北半球ではこう見える。

そして、このバヤイは夕方に見えて、 北半球ではこうなる。


これ↓は、2008年6月初め。金星は地球側が照らされてるから、地球から見ると、真ん丸。満シルマリル。


しかし、実際は、こういうことになるから見えない。

太陽さんの向こうに金星。手前に水星。これでは眩しくてどっちも見えない。
ほんとは上の絵みたいに金星は大きくないけどね。わかりやすく大きくしてあるだけ。
重なったとき、もろに太陽とかぶるかというと、大抵は上か下にずれる。金星の軌道面と地球の軌道面はまったく同じ面じゃなくて傾いているから。 上か下にずれても太陽のすぐそばではやっぱり肉眼で見るのは無理。


金星さんに増えて並んでもらって、どう見えるのかを披露してもらった。真ん中でニコニコしてるのが太陽さん。ちょっと大きさの比率が変だけど、金星さんがビッグになったってことにしといて。

向こう側に行くと太って、手前にくると細くなる。太ったときは地球から遠いから小さく見える。細くなったときは近いから大きい。でも細い。

この図だと、真ん丸の頃が一番明るそうだけど、遠いからちっちゃくなって見づらいのだ。近くにきて細くなったときは明るく見える。

そんな風にスリムだったりデブ気味だったりするエアレンディルさんは、朝か夕方か、そのデブ具合を見れば、見ている自分との位置関係がわかる。

もう一度地平線をかぶせて見てみる。上の方の絵よりわかりやすいかな。
茶色は地平線。太陽さんは地平線より下で、そこより上に金星がいると見える。
朝。東の空。 夕方。西の空。
スリムになって見えるときは、太陽より手前にいる。太ってるときは、太陽より向こうにいる。距離は相当違う。空を見るとき、3D的に奥行きを持って軌道を感じると、ちょっと楽しい。

明け方に東に見える時期は、何ヶ月もかけてだんだん離れていくわけで、だんだん暗くなる。
そしてしばらく行方不明になって、捜索願いを出すかどうか揉めてるうちに「こっちですよ〜〜ん♪」って、全然反対の西に現れて、時間も全く違う夕暮れに見えるようになる。西ではだんだんこっちにくるから、だんだん明るくなる。
そしてまたしばらく行方がわからなくなり・・・の繰り返し。

上のおはよ〜とおやすみなさーいの図は、わかりやすいように軌道面の斜め上から見てるようになってるけど、地球のいる場所によって斜め下からのこともあります。
それに、地球も動いているから、上の図のように単純な弧を描いて移動しないし。


こんな風に、気ままにウロウロとしたラインになったりする。こっちも向こうも動いていると、いろんな向きで見えるから。


エアレンディルさんは空ではダントツに光り輝く。何故かというと、金星は太陽に近いから、地球と比べて太陽の光を思いっきり浴びている。それに加えて反射率というのが高いんだそうだ。雲が多いかららしい。要するに、ビカーーー!!!と当たった光が、ビカーーー!!!と跳ね返って、光り輝くエアレンディルさんになるのだな。
で、地球に近い星だから、ますます明るく見える。

フロドが貰ったphial 、びんにはエアレンディルの光が集められている。太陽さんから出た光が金星さんに当たって、雲に反射されてビカー!となって、それが地球に届き、ガラドリエルさまの泉に射して、それを集めて入れてある。すごい。すごすぎる。

それを映画のシーロブちゃんは蹴っ飛ばしたのだ。何ということだろう。
シーロブちゃんを正座させて、説教して、ついでに太陽系の構造も教え込まねばなるまい。しかし、ひじをついて鼻でもほじりながら「意味わかんね〜〜」とか言われるかもしれない。しかし、そのくらいふてぶてしくないと、映画の役は取れないのかもしれない。世の中、おとなしくしていてはいけないのだ。
その点、原作のシーロブちゃんはおとなしいというか、映画のよりちゃんとしていたな。エアレンディルさんの光を蹴っ飛ばすほど躾が悪くはなかった。

そしてエアレンディルさんはちょくちょく話に出てくる。エルロンドさまのパパだし、重要人物だ。VIPってやつですよ。

しかし意外と、星としてのエアレンディルさんは、あんまり出てこない。

では次は、華々しいエアレンディルさんの登場シーン!! あぁ、やっと本題。