指輪物語、第1部「旅の仲間」第3章、「三人寄れば」の終わりの方。
はい、皆さん、訳書でも原書でもいいですから引っぱり出して、このシーン探して前後を読みましょう。星が出てくるところ。
エルフたちと会う前あたりからよーくよーく読みましょう。

ホビット村を出てからマゴット爺さんの家までは、割と地味な描写が続くけど、よくよく読み込むとすごく気持ちのいい光景が続きます。ホビット庄はいいなぁ!
それで、このエルフと会うところがまたいい! エルフは素晴らしい! そして星空!
グワはこのあたり、好きなんだよ〜〜 


約束の日、ガンダルフは結局現れず、フロドは仕方なくホビットだけで出かけます。フロド、サム、ピピンの3人。
途中で黒の乗り手が嗅ぎ回っているのに気づき、みんな不安で心がいっぱい。どうしよう。黒の乗り手はフロドたちに気づきかけ、こっちにくる。ど、どうしよう・・・

そのとき、エルフたちの輝かしい歌声が聞こえ、黒いのは逃げていきます。

フロドたち3人はエルフたちに事情を話し、その夜はエルフたちと一緒にいることになる。
美しいエルフに囲まれて夢心地の食事をとる前、空の描写があります。

Away high in the East swung Remmirath, the Netted Stars, and slowly above the mists red Borgil rose, glowing like a jewel of fire. Then by some shift of airs all the mist was drawn away like a veil, and there leaned up, as he climbed over the rim of the world, the Swordsman of the Sky, Menelvagor with his shining belt.

はるか東の空高くに、網のような星々レムミラスがかかっていた。霧の上にゆっくりと赤いボルギルが昇り、焔の塊のように輝いている。そして大気が流れ、ベールをはぐように霧が消え去ると、そこには、世界の縁を乗り越えるように空の剣士が傾きながら昇っていた。輝くベルトを締めたメネルヴァゴールだ。

・・・ってことです。
今までなんとなーく読み流してた人が多いと思いますが、ここは大事だ! いろんな意味で大事なのです。なぜ大事かはまた後日。

この星たちは今も見ることが出来ます。
秋になれば、おぉ、レムミラスだ! あれがボルギルだ! いいかね、空の剣士というのはあれとあれを結んで・・・ と、お友だちに鼻高々と説明出来ますよ。

ここに出てくる名前は3つ。
レムミラス、ボルギル、メネルヴァゴール。
旧訳では、レミラス、ボルジル、メネルバゴール。グワは旧訳で育ったから、こっちの方が慣れてるんだけど。
さぁ、これはどれがどの星なんだろ?

手がかりは、

それで、この3つは同じ方向にあるはずです。レムミラスがあって、後ろを向いたらボルギルがあって、右を向いたらメネルヴァゴールが・・・ということではありません。そういう書き方はされていない。
網みたいのがあって、赤い星があって、ベルトがある・・・というのが近くに集まっている。 ・・・はずだ。

目立つやつですよ。 エルフに会ってほっとして、休む場所に着いて空を見て、あぁ、レムミラス!メネルヴァゴール!となるんだから。大して探さなくても目に入る星。

では皆さん、ホビットになった気分で探してください。↓
9月末の東の空です。
網と赤いのとベルトみたいの。 フレームだと狭くて見づらい人はこちら


はい、よく見て、よく見て・・・・























よーく見ました? 

では、答え。 下の現在の星座絵はギリシャ神話が元になったものだから、フロドの時代とは違うけど、一応わかりやすく。



網みたいなの、っていうのは、細かいのが集まってるやつ。
すばるよ〜〜♪ 昴です。おうし座の肩のあたりにあるプレアデス星団。
評論社の瀬田訳(旧版)では、レミラス座となってますが、なんとか座というのは離れた星をつないで星座とした場合に使うから、ここにはほんとは合わないです。でも瀬田さんの訳は素敵です。

オリオンが下げている剣となる小三ツ星と呼ばれるところも星雲があって網っぽく見えますが、星の昇る順番を考えると合わないし、the Netted Starsと書いてあるから複数の星が集まっているということで、やっぱりプレアデス。星雲も複数の星だけどさ。でもひとつずつなんて見えないし。だからやっぱりプレアデス。

で、次、ボルギルとばして、メネルヴァゴール。
何でとばすんだ? とお思いの皆さん、いいんです、とばしましょう。

はい、メネルヴァゴールです。 プレアデスが昇ったあとに昇るもので、ベルトがついてて、目立つもの。
超有名、誰でもすぐみつかる、オリオンです。オリオンの三ツ星、目立つよね。あれがベルトだよ。
光り輝くベルトを締めた空の剣士のメネルヴァゴール。ってことは、オリオンの絵とメネルヴァゴールの姿勢は似てるのでしょう。オリオンは棍棒を持ってるけど、メネルヴァゴールは剣を振りかざしているのかも。
メネルヴァゴールは最後の戦いを予告する者です。これを旅の始まりに見るというのはとても意味のあることなわけさ。

さて、とばしたボルギルちゃん、キミを無視したわけじゃないんだよ〜 

プレアデスはもう空に昇ってる。
そのあとボルギルが昇ってくる。
霧が晴れると、オリオン座が現れる。

北半球で南を向いていると、星が昇るときは東から右上に向かって昇ってくる。東を向いていれば、南寄りに斜めに上がる。
ってことは、プレアデスよりも左下にある赤い星を探せばよろしい。

あるよね。赤っぽいの。
ふたつあるでしょ。

アルデバランとベテルギウス。

さぁ、どっちがボルギルだ?

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