7月21日に続く桜井久直氏による演劇ワークショップの2回目です。
参加者は、29名でした。
まずは、ウォームアップを行ってから、
◆ 3人で組み、両サイドの者が中の一人の腕などをゆっくり回しながらその身体の力や堅さを抜いていき、
最後は(うまくいけば!)関節がはずれたような柔軟な状態を作る。
◆ 目をつむり両手を上にあげ、小ホールの西側から東側に向かってほぼ全速力で走り、 東側でその走者を受け止めるべく待ちかまえている数名の中に突っ込む。 女性は意外にビビらず、男性の方が恐怖と不安で最後スピードを弱めるようだ。
◆ ペアを組み、片方が"わかめ"で他方は"波"。 わかめは海底から海面に向かう気持ちで体を上にゆらゆら揺らす。 波はわかめの後から背中や腰を優しく押してその動きを促す。
◆ 床に仰向けに寝て膝を曲げる。
膝を片方ずつ蜘蛛の糸に引っ張られるかのようにゆっくりと胸の方へ持ち上げ、
その膝を両手で抱えるようにして腰をうかす。
次に床においた手を小人(と桜井さんは言ってました)に引っ張られるかのようにまず
肩の方へとゆっくり近づけ、つづいて上に向かってしっかりのばす。
その後、床に密着している身体の後側に意識を集中し、力を抜いて脈動に聞き耳を立てる。
上演前の緊張を解きほぐし、身体と気持ちのリラックスに効果があるとのこと。
◆ 円座を組み、一人がその中央で無言で例えば釣りをしている動作をする。 その動作を見て円座内の別の一人が"畑仕事をしているんですネ"と言いながら中央に出て、 今度二人は畑仕事をしている動作をくりかえす。 それを見て円座の別の者が"発掘しているんですネ"と言いながら中央に飛び出して3人で発掘の動作をくりかえす。 それを見て円座の別の者が…という具合に、ある動作から連想される別の動作が次々と連鎖し、つながっていく。 連想と飛躍のおもしろさ。
◆ ステータス。特に心のステータスを動作で表現する。
心のステータス(以下S)をその度合いに応じてS2からS10の9段階に分け、その段階に応じた動作を演技する。
例えば、四角い部屋の中央に椅子がある。S10は、この空間ですべてのことが出来る。
S6は、椅子には触れるが座ることが出来ない。S2は、部屋に入れるが壁から離れられない。
このように各ステータスが下がるにつれて、その制約が大きくなるという設定である。
S10ともなれば、何も気にしないでどかどかと椅子に向かい、横暴とも傍若無人ともいえる態度で椅子におろし、
新聞などを大きく広げているかもしれない。
さて、演技者は周囲に知られないように数字カードを選び、そのステータスにふさわしい演技する。
周囲の者はそれを見てそのステータスを当てる。これを数例やってみた。
最後にステータスの大きく離れた男女が登場し、女は椅子に近づけない、座れない。
男は椅子にふんぞり返るどころか今度は女を説得して椅子に座らせようとする。女は遠慮する。応じない。拒絶と説得。
桜井さんの言葉では"障害と目的"。
これが西洋演劇の場合、明確であり、演劇の根底にあってドラマ性を高めるものである。
次回はこれを意識したワークショップを行うとのこと。
◆ 6人(a〜f)のグループを作り、その全員にそれぞれ異なるステータスを割り振る(例えば 社長・部長・課長とか校長・教頭・教務主任とか)。ステータス順に一列に並び、 一番高いステータス者(a)と一番低いステータス者(f)からそれぞれ異なるメッセージが出され、 a からは f へ、f からは a へとそれが伝言されるはずなのだが、その際自分の隣のステータス者へのみ伝達可とする。 上から来るメッセージと下から来るメッセージとで c や d が混乱をきたす。 これも"障害と目的"の対立・混乱・緊張を表している。
《しのちゃん》
両腕ぐるぐる回し(回され)や"わかめ"では、身体が緩んで行くのを実感できました。 また、床に寝て緊張を解くやり方も、自分の意思で手足を動かすのではなく小人に手足を引いてもらうような感覚を持つことが出来ました。 これが、とても心地よいのです。実際、どこかから寝息が聞こえてきましたもの。《がんちゃん》