とある倉庫の中。
倉庫の中で、三つの動く影がある。
よく見ると、小学生くらいの三人の男子がごそごそ動いている。
その中の一人が、他の二人のうち一人に話し掛ける
「なぁ・・・・・・ダイスケ、ホントにいいのか?こんなことして」
ダイスケと呼ばれた子供が平然と返す。
「あ?良いに決まってるだろ、どうせこんなもんガラクタだぜ、使う予定ないって、大丈夫、大丈夫」
「でも・・・・」
「なんだよ、ケン、びびってんのか?」
「そ、そうじゃないけどさ・・・・・」
「だったら黙ってなんか探せ、こういうところにはなんか掘り出し物があるもんだ」
と言うと、ダイスケは再びごそごそと探し始める。
「そういえば、ダイスケ」
「何だ?」
ケンがダイスケを呼ぶが、ダイスケはケンスケを見ずに素っ気無く答えた。
ケンがダイスケに尋ねる。
「コウはどこ行ったか知らない?」
「あぁ、あいつならあそこを探すって・・・・・・」
と、ダイスケが立ち上がって指し示した、その時、倉庫の中に大声が響く。
「あったぁ〜〜〜〜〜〜っ」
声と共に、そこらに詰まれてあった荷物の山がガラガラと音を立てて崩れた。
「なっ、どうしたコウ、何か良いものでもあったか!?」
突然大声を上げたコウの元に、ダイスケとケンが飛んでくる。
コウが自信満々に。
「ダイスケ、見ろよこれ、宝の地図だぜ!!!」
と言って、何か地図のようなものを広げる。
「なにっ!? マジかっ!?すげぇっ!」
宝の地図と言われダイスケが興奮する。
ケンも同じように興奮しながらコウに言った。
「コウ、ちょっと見せてくれ」
「おう、ケン、すげぇぜ、この街だぜ」
コウが興奮気味に言いながら、地図をケンに渡す。。
ケンが持っている地図を、わきからのぞき見たダイスケが言う。
「おっしっ、早速探してみようぜっ」
「おうっ」
「善は急げだっ」
気分はトレジャーハンター?
ちびっこトリオの3人は、近くの公園での〜んびりとしていた。
「は〜ぁ、なんか楽しいことでもないかぉ〜」
「ナナ退屈だよ〜〜〜」
「じゃ、じゃぁ、鬼ごっこでもしませんか・・・・・?」
「三人だけだと楽しくないぉ〜」
「じゃ、じゃぁ、缶けりとか・・・・・・・」
「空き缶が無いからできないよ〜」
といってナナは公園のゴミ箱を見る
清掃業者が片付けたのか、中は空っぽである
「じゃ、じゃぁ・・・え〜と・・・え〜と・・・・・・・」
「モモね〜たんあんまり考えなくてもいいぉ〜、こうして日向ぼっこしてるだけで・・・・・・て、ぉ?」
ふとルルは、公園の入り口を見た。
そこには、かの悪ガキ三人衆、
【ダイスケ】【ケン】【コウ】
が、歩いていた。
ナナもその三人に気付く。
「あやや?あの子達だ、どこ行くんだろ」
「な、なんだか大きな紙を持っていますね・・・」
と、その時、ケンがちびっこトリオに気付き、手を振る。
が、ダイスケがケンの頭をごんっ、と叩く。
その様子を見ていたちびっこトリオは不思議そうな顔をする。
ダイスケは、ケンの服を引っ張りながら、公園を通り過ぎる。
コウはその二人を追って、公園を後にする。
しばし沈黙。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんだか楽しそうだったね」
少しの沈黙のあと、ナナがポツリと呟く。
「そ、そうですね、いつも楽しそうにしてますよね」
ふたたび、しばし沈黙。
そして、またしてもナナが口を開く
「ダイスケ、何か手に持ってたね」
「・・・うん」
「気になるぉ」
「・・・・うん」
「後つけてみる?」
「うん・・・・って、えっ?」
「さんせ〜い、ダイスケを追跡さくせ〜ん」
「ちょ、ちょっとダメですよ、後をつけるなんて、そんな・・・・」
「でもモモね〜たん『うん』って言ったぉ」
「そ、それは・・・・・・・・・」
「けって〜い、ダイスケ追跡〜」
と言って、ナナとルルは公園を出て、ダイスケが歩いて行った方向に走っていく。
「・・・・・・うぅ〜」
モモも、二人を追いかけて走り出す。
ダイスケとコウとケンの三人は、ダイスケが先頭に地図を見ながら歩いている。
コウが、
「お〜い、ダイスケ、前見ないと危ないよ〜」
「だいじょ〜ぶだって」
ケンも、
「前見ないと危ないよ〜」
「大丈夫だってば!」
と、ダイスケが後ろを振り向いてそう言った瞬間、
ゴヅンッ
電柱に思いっきり激突するダイスケ。
ケンとコウは二人そろって、
『だから言ったのに』
と、ため息を漏らした
「う、うるせぇっ、電柱あるなら、あるって言えっ」
ダイスケは顔を真っ赤にして怒って・・・・もとい、恥ずかしさで紅くなっている。
そのもう少し後ろの電柱の影でダイスケを監視・・・・観察していたナナとルルが笑う。
「ぷぷぷ、ダイスケまぬけ〜」
「電柱にぶつかるなんておまぬけらぉ〜」
「だ、ダメですよ、人の失敗を笑うなんて・・・・・」
『でもモモおねえちゃんさっき笑ってた(ぉ)』
語尾は違うがナナとルルが声をそろえて言った。
「うぅ・・・・・・」
「あっ、進みだした、追いかけようっ」
ちびっこトリオは再びダイスケ達を追いかけて走り出した。
「なぁダイスケ、ホントにここか?」
ケンが言う
「あぁ?そうだぜ、地図にはちゃんとここに×印が・・・・・」
地図を見ながらダイスケが言う。そして次にコウが、
「でもここって・・・・・・・・・」
「あぁ?ここがどうしたって・・・・・・・・・・学校?」
ダイスケたちは自分たちの通う小学校の前にやってきた。
ケンが言う。
「まさか夏休み中に学校に来ることになるなんて・・・・・」
「し、仕方ねぇだろ、地図には学校の裏に×印があるみたいなんだから」
と言って三人は校内に入って、校舎の裏側に入る・
ちびっこトリオは、
「ダメだよっ、勝手に入るなんてっ」
そうやって校内に入ろうとしないモモを、ルルとナナが引っ張る。
「モモね〜たん、急がないとダイスケ見失っちゃうよ〜」
「早く行こうよ〜」
「いやっ、行かない行かない」
モモは入ろうとしない。
必死に服を引っ張るナナとルルに耐えようとしている。
が、それもつかの間。
いくら年上とはいえ、いくら女の子同士とはいえ、1対2で勝てるわけが無かった。
あっさりと校内に引きずり込まれ、結局モモは一緒に付いていくことになった。
ダイスケ達3人は、校舎の裏で、祠のようなものを見つけた。
それを見て、即開けようとしたダイスケに、戸惑い気味のケンが言う。
「な、なぁ・・・・ホントに開けるのか?」
ダイスケが答える。
「当たり前だろ、せっかくここまで来たんだ、地図にもこの祠がかかれているみたいだし」
ダイスケは言うが、コウが心配そうに言う。
「で、でも、怒られないかなぁ・・・・」
「どうしたコウ?怖いのか?」
ダイスケがにんまりとわらってコウを見る。
「そ、そんなわけ無いじゃないか、僕だって男だ、怖いことがるもんか!」
「だったら良いじゃね〜か、っと。よし、開いたぞ」
祠のフタがボトっと地面に落ちる。
祠の中には、箱と、変な虫がいた。
変な虫が祠の中から飛んでいく。
『うわぁっ』
ブ〜〜〜〜ン・・・・・・
3人は思わず驚いて尻餅をつく。
「な、なんだよ、タダのゴキブリじゃねぇか、ビビらせやがって・・・・・・」
その光景を、近くの木の上から眺めるちびっこトリオ。
「ぷぷっ、ダイスケびびっちゃった〜」
「案外情けないみたいらぉ〜」
「そ、そんなこと・・・・・」
「モモね〜たんも笑ってたぉ〜」
「・・・・うぅ〜・・・・」
モモ哀れ。
と、そこへ、
ブ〜〜〜〜〜〜ン
先ほども聞いた妙な羽音が、ちびっこトリオが登っていた木の所に来る。
ペトッ
モモの顔に止まる。
「・・・・・・・・・・き・・・・・」
「キャァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」
モモが絶叫する。
その羽音の主は、ビックリして再びどこかに飛んでいく。
しかし、木の上にいた3人はバランスを崩して。
「わっ、うわっ、わぁ〜〜〜っ」
「お、落っこちるぉ〜」
ひゅ〜〜〜・・・・・・どす〜ん
それほどその木は高くないため、怪我も無く、すぐに3人は起き上がる。
「おい、お前等、何でこんなところにいる」
ダイスケに気付かれた。
「あ、あははは、ちょっと町内探険・・・」
ナナが苦しい言い逃れをする。
「かといって、俺たちの後つけてきたんじゃねぇのか?」
「ちが・・・・・・」
ルルが誤魔化そうと、否定しようとする。
しかし、後ろめたさも有ってか、モモが咄嗟に謝る。
「あ、あの、ごめんなさいっ、後つけたりなんかして」
そのモモの後ろをルルが恨めしそうな目で睨む。
『後少しで誤魔化せたのに』と言わんばかりの顔で。
しかし、モモの言葉を聞いても、ダイスケはさほど怒っているような表情は見せなかった。
「あぁ?別にい〜よ、どうせならお前等も一緒に宝探しするか?」
と、むしろ逆に、一緒に行かないか?との話しを持ちかけた。
「えっ・・・・?」
モモが戸惑いの表情を見せる。するとケンも頷いて言った。
「そうそう、どうせだったら皆で行ったほうが楽しいよ〜、なぁコウ?」
「そうそう、どうせなら皆で謎解きしようぜ、これもなんかのナゾナゾっぽいし」
と言って、コウは祠の中から見つけた箱の中から1枚の紙を取り出す
『この場を忠心に、黒、青、赤、白の順に回れ、さすればその終点に宝は眠る』
ダイスケが歓喜する。
「ウオォオォオォッ、宝だってよっ、一体なんだろうなっ!」
狂喜乱舞するダイスケの側で、胡散臭げな目をしてケンはその紙を睨む。
「ほんとにあるのかなぁ・・・でも、どちらにしろ、謎解かないと・・・・コウわかる?」
ケンがコウに言う、が首を振った。
「いや、まったく、大体この場を忠心に、黒、青、赤、白、って一体何だよ・・・・』
紙を地面に広げて、六人は考え込む。
と、その時、モモの頭の上に電球が光る。
「あっ、あの、この学校に、社会科教室って無いですか?」
「あ?あることにはあるけど・・・・・・なんか用事でもあるのか?」
ダイスケが不思議そうにモモを見ながらそう言うと。
「謎、わかったかもしれないんです」
「何っ、んじゃ早速行くぞっ」
六人は社会科教室に行った。
社会科教室には、先生がいた
「ちわ〜っす、センセ〜?いる〜〜?」
ダイスケが大声で先生を呼ぶ。
その声に反応し、中から若い先生がやってくる。
「どうした?夏休みに学校に来て、勉強でもしに来たのか?」
先生のその問いに対し、ケンが首を振る。
「まさか〜、先生、ダイスケがそんなことすると思う?」
「ふむ、それもそうだな、で、何の用だ?」
「おまえ・・・・・・」
ダイスケがケンをにらむ。
ケンはそのダイスケの視線を無視した。
「あ、あの、地図見せてもらえもらえませんか?」
ケンがモモを先生の眼前に連れてくると、モモがそう言った。
「あれ?君たちの誰かの彼女かい?」
モモを見て一言目がそれであった。
『違うわっ!』
3人は口をそろえて否定する。
モモはなぜか赤くなっている。
「そうか、まぁ、そんなことはどうでも良いとして、地図を何に使うのかな」
言うと先生はしゃがんで、モモと視線を同じにする。
モモは思わず顔を赤らめる。
「あ、あの・・・この街一帯の地図、ありませんか?」
「この街の地図?あぁ、あるよ、ちょっと待ってて」
先生は、社会教室の中から、一枚の地図を取り出す。
「これで、良いのかな?」
そして、その地図をモモに手渡す。
「は、はい、ありがとうございます」
モモはその地図をその場で広げる。
ダイスケ等も、その地図を覗き込む。
「で、モモ、何かわかったか?」
「うん、わかった」
と、モモが言うと、ダイスケは驚く。
「なにっ!?本当か?で、どこに行けばいいんだ?」
嬉々として目を輝かす、ケンとコウも同じ状態になっている。
「あ、あの、さっきの紙ちょっと見せてください」
ダイスケは学校の裏で見つけた紙をモモに渡す。
「うん・・・うん・・・・やっぱり、予想通りです」
「なにが? 何が予想通りなんだ?」
「うん、さっきの紙の『黒、青、赤、白』って言うのは、『四聖獣』の事みたい」
『四聖獣?』
3人は思わず反復する。
「うん、四聖獣、四匹の動物の神様で、東西南北を守る聖獣、って、お姉ちゃんに聞いた」
モモの言う「お姉ちゃん」はランである
「ど、どう言うことなんだ?」
ダイスケがモモをせかす。
「うん、最初の『黒』って言うのは、北、多分・・・・ここが学校だから、この黒竹山、じゃないかなぁ?」
そう言って、桃は学校の北にある山を指差す。
「よし、じゃぁまずはその山に行ってみようぜっ」
「うんっ」
そして一行六人は北の山に行った。
北の山にて
6人は、洞窟を見つけた。
洞窟と言ってもそれほど深いわけではなく、洞窟の奥に箱を見つけた。
ホントに有った事に皆は大いに驚いた。
そして、代表してダイスケがその箱を開ける事になった。
「じゃ・・・・開けるぞ・・・・・」
ダイスケはそういって箱を開けた。
すると、再びその箱の中に紙が入っていた。
『お〜、よくここがわかったね、ここが一ヶ所目だよ、次は青だね、君たちにわかるかな?』
「・・・・・なんか馬鹿にしているような感じがしてるんだけど」
ダイスケがそう言うと、ナナとルルの両名がこっくりとうなずいた。
「で、モモ、次はどこだ?」
「う、うん、次は青、多分ここの、青林3号線だと思うけど・・・・・・」
と言って、学校の東側にある道路に指をさす。
「よし、んじゃ次行くぞっ」
男の探索魂に火がついたのか、ダイスケ達男子三名は意気揚揚としている。
東の道路にて。
道路わきに、祠を発見。
早速六人はそれを開ける。
再び箱があり、その箱の中に紙が入っていた。
『疲れてないかな?でもここはまだ二箇所目だよ、次は赤だよ、四聖獣に気付いたのは感心するけど、次はわかる?』
「ぜって〜バカにしてる・・・・一体誰だ?これ書いた野郎は」
ケン、コウ、ルル、ナナがこっくりとうなずく。
「ん〜と、次は赤ですね・・・・・・・これ・・・・でしょうか?」
赤井内海。
学校の南方に位置するのその海に、6人は行った。
南の海にて。
付近の住人の話を聞き、最近、ある漁師さんが海から変な箱を見つけた、との話を聞いた。
早速六人はその人の家に行く。
道中、ダイスケの口からこんな言葉が生まれた。
「海に沈めるなよ・・・潜らせるつもりなのか?」
誰に言うとでもなくつぶやいたその言葉は、他の五名の顔に冷や汗を浮かべさせた。
歩いて数分、その猟師の家に着いた。
早速話を聞いて見る、すると。
「あぁ、あの箱か、いや、意味がわからんのでな、燃やしてしまったよ」
『そんなぁ〜〜〜〜・・・・・・』
6人は意気消沈してしまった。
そこへ、救いの主が。
「あ、でも、箱の中に入っていた文はなぜか覚えているぞ」
「えっ?本当かっ、おじさん、いや、お兄さんっ、教えてくれっ」
「見事なお世辞だな、ボウズ、まぁ良い、確か・・・・・・・」
『れんぞくしてここ見つけた?それとも日を置いたのかな?まぁ良いや、これが三つ目、後残るは1個だよ、わかるかな?』
それを聞き、ダイスケは思わずつぶやく。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これ書いた奴、どっかで見てんじゃねぇのか?」
ダイスケの呟きに、コウが答えた。
「さぁ・・そればかりは僕にもわかんないよ、なんとなくそんな感じはするけど」
さすがに怪しく感じていたのか、否定も肯定もしなかった。
「で、でも、何で『連続』が平仮名なんでしょうか」
「わかったぉ〜、多分ルルたん漢字読めないから親切らぉ〜」
ダイスケは思わず思った。
(んな訳あるかよ)
「次は白・・・でしたね、今度は、この白川ですね」
と言って、学校の西方の川を指差す。
西の川にて。
「あ〜、ここに小さい頃よく遊びにきたなぁ・・・・」
ダイスケがいきなり思い出話をする。
「うんうん、裸になって泳いだり、ザリガニ取りとかしたよなぁ〜」
「は、裸・・・ですか・・・・・(赤面)」
ダイスケとケンの会話を聞いてモモが赤面する。
「ザリガニ〜〜〜〜〜?」
ルルが言うと、ダイスケが肯定する。
「おう、今でも多分居ると思うぜ、探してみれば?」
「ダイスケ、ここには宝探しだろょ、ザリガニ探しじゃないだろ」
「おっと、そうだったな、んじゃ、川の中捜すか・・・・・」
「あったぉ〜」
いち早く川の中に飛び込んでザリガニを探していたルルが言った。
「ルルちゃん、あったじゃなくて、いた、で・・・・」
言葉の間違いを指摘しようと、モモがルルの方を見ると、固まった。
ルルは箱を掲げていた。
ルルの手によってあっさりと見つかった箱、その中にも1枚の紙が入っていた。
どういう構造になっていたのかはわからないが、箱の中にはまったく水が入り込んでいなく、紙もパリパリに乾燥していた。
そして、その紙には、こう書かれていた。
『様になって来たんじゃないかな?宝捜しが、とりあえずここで終了、もう一度中心に戻ってごらん・・・・・・・・・林水貢樹』
「林水貢樹・・・・・・?誰?」
モモが呟くと、ケンがはっ、としたような感じで。
「ダイスケ、あれだよ、地図の、社会の『林水貢樹』先生だよ!」
「えっ!?あの人の名前が何でこんなところに?』
コウとケンが顔を見合わせる。
ダイスケが指をぽきぽきと鳴らして言った。
「・・・・・・・・・・・・・・・よ〜く話し聞かせてもらおうじゃないか、先生によぉ・・・・」
「だ、ダイスケ君なんか怖いです・・・・」
6人は、学校に戻った。
学校、社会科教室に、6人はついた。
「先生〜〜〜?いる〜?」
ケンが大声で先生を呼ぶ。
「ん〜〜〜?どうしたんだ?」
中から先生が出てくる。
コウが話そうとする。
「実は・・・・・・」
「俺たちが探していたはずの手がかりに先生の名前が出てきたんだけど、どういうことだ?」
と、ケンより先にダイスケが言うと、先生は感心したような風で。
「ほぉ〜、全部見つけたのかぁ、と言うか今の今まで見つかってないって言うのが驚いたけどなぁ・・・・・」
と うんうんと頷きながら悠長に語る。
「は?どういうことだ?センセ」
ダイスケがそう言うと。
「いや、それ、先生が昔・・・ちょうど今の君ぐらいのときに考えた宝探しゲームなんだよ」
「な・・・・・・なんだってぇ〜〜〜?」
ダイスケが叫ぶ、しかし貢樹は飄々として言う。
「ははは、手がかりの紙、あるかい?」
「は、はい・・・ここに」
モモは、スカートのポケットから紙を四枚取り出す。
「ん〜?なんか妙に新しい紙が一枚あるね、どうしたのかな?」
「あ、あの・・・・人から聞いて、それで書き写したんです」
それを聞いて、先生は感心した風に。
「へぇ〜、書き写しか、そりゃまたすごい」
そこでダイスケがはっとした風に。
「先生っ、そういえばそれ、『連続』くらい漢字で書けよなっ」
ダイスケが言うが、貢樹は首を横に振った。
「いや、連続は『れんぞく』でよかったんだよ」
『え?』
目を丸くする6人の顔を見ながら、彼は、そのそれぞれの紙の最初の一文字にペンで丸をつけていく。
『【お】〜、よくここがわかったね、ここが一ヶ所目だよ、次は蒼だね、君たちにわかるかな?』
『【疲】れてないかな?でもここはまだ二箇所目だよ、次は赤だよ、四聖獣に気付いたのは感心するけど、次はわかる?』
『【れ】んぞくしてここ見つけた?それとも日を置いたのかな?まぁ良いや、これが三つ目、後残るは1個だよ、わかるかな?』
『【様】になって来たんじゃないかな?宝捜しが、とりあえずここで終了、もう一度中心に戻ってごらん・・・・・・・・・林水貢樹』
それを一人一人が順番に読み上げる。。
「お・・・」
「疲・・・・・・・・・」
「れ・・・・・・・」
「様・・・・・・・?」
そしてモモがまとめて読む。
「お疲れ様・・・・・・・?」
すると、いきなりダイスケが叫ぶ
『ふざけんなぁっ!!!!!』
しかし先生はけらけらと笑う。
「あはははは、まぁ、お疲れ様、ってことで」
「ふざけんなぁっ、俺たちの苦労は一体何だって言うんだ〜〜〜〜っ」
「だから、お疲れ様、だってば」
「納得できるかぁ〜〜〜〜っ」
態度を変えない貢樹と 地団駄をふむダイスケとでバトルが繰り広げられる。
それを見ていたルルとナナが溜め息を漏らす。
「ダイスケ往生際が悪いぉ・・・・・」
「大体宝物なんてそう簡単にあるわけ無いじゃ〜ん」
ルルとナナの言葉に、ケンとコウも賛成する。
「そうそう、まぁこんなもんだと諦めようよ、ダイスケ」
ケンがダイスケに言うと。
「ちくしょ〜〜〜、俺たちの苦労は一体・・・・・・・・・」
肩を下ろして落胆するダイスケの方をぽんと叩いて光樹が言った。
「でも結構楽しかったんじゃない?宝探し」
「は、はい、なんだかワクワクしたです」
「ん〜、そういってくれると嬉しいね〜・・・そうだ、君たちに良い物をあげるよ」
と言って先生は再び部屋の中に入り、一つの箱を持ってきた。
「よいっ、こんなものでよければ・・・・・・」
と言って先生は箱を開ける。
その中には、六つの腕輪が入っていた。
「友情の証、って言うブレスレット。まぁ、こんなものでよければ君たちにあげるよ」
先生がそう言うと。
「おぉ〜〜〜、結構綺麗じゃね〜か、先生、本当に貰って良いのか?」
ダイスケが聞くと。
「あぁ、手に入れたはいいけど、埃かぶってるだけだからね、貰ってっても良いよ」
それを聞いて、6人は、ブレスレットを取って、手にはめてみる。
「綺麗だぉ〜」
「ほんとだ〜、なんだか優しい色・・・・・・」
「あ、ありがとうございます」
モモが先生にぺこりとお辞儀をする。
「いやいや、良いって。と、もうこんな時間か・・・そろそろ皆も帰ったほうが良いんじゃないのか?」
先生が時計を見ると、時計の針は五時半を指していた。
「お〜し、皆帰るか〜」
先ほどまで怒っていたダイスケだが、機嫌を直して嬉々としてそう言う。
『お〜〜〜♪』
他のメンバーも喜色満面そう言った。
「あ、あの・・・・ダイスケ君」
「ん?なんだ?」
「きょ、今日は楽しかったです・・・・また、一緒に遊んでも・・・いいですか?」
モモがおどおどしながらダイスケに訊く、すると。
「お、おう、また機会があったら皆で遊ぼうぜ、なっ?」
と、ダイスケはそっぽを向きながら言う、顔が赤いような気がしたのは気のせいだろう。
「さんせ〜い」
「さんせ〜い」
ルルとナナは嬉しそうに飛び跳ねながらそう言う。
「そうだね〜、今度遊ぶときは何をしようか・・・・・」
「缶けりなんか良いんじゃない?」
などと、そう言うことをしゃべりながら6人は家に帰っていった。
後日
6人は、テレビのニュースに、貰ったブレスレットとそっくりなものが映っているのを見た。
『今回遺跡から発掘された腕輪は、翡翠で作られており、およそ1200年前の物だと推定されます』
『なお、その腕輪は、時価にして1つ10億円を下らないと言われています・・・・・・』
『・・・・・・・まさか・・・・・ね』
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