やっぱり、折角テニプリの世界と繋がったんだったらこれはやっとかないと。
…ていうか、見ておかないと、かな?



その後〜不動峰編〜



「だからね、テニスを教えて欲しいの…。」
現在伊武さん宅、伊武の部屋。
ばっちり回線を繋げたままにしてあるパソコンのディスプレイは私の部屋を映し出している。
「俺は大歓迎だぜ!深司は?」
私の先ほどの言葉に顔を輝かせて承諾した神尾は伊武に視線を向ける。
「ふーん、テニスしたいんだ…。いい選択かもね。」
軽く微笑んでいるような気がするのは、私の気のせいじゃないだろう。
「やった!ありがとう、二人とも!じゃあ、私ジャージとか用意してくる!」
そう言ってディスプレイをくぐった。




「じゃあ、今日は宜しくお願いします!」
テニスコートで頭を下げた。
「ああ。こちらこそ宜しく頼む。」
答えたのは橘さん。
伊武と神尾で話し合った結果、シューズやラケットを杏ちゃんから借りようという話になり、それなら橘さんも、という事になったらしい。
シューズのサイズが丁度あってよかった。
テニスでのシューズの役割は、コートを荒らさないために履く等、結構重要らしい。
「上手く教えられるかわからないけど、宜しくね、さん!」
にっこり微笑む杏ちゃん。
女子が一人居るってだけで、やっぱり居心地かわってくるなぁ。
「じゃあ早速やろうぜ!打ち方とか…わかるか?」
「ん〜…基本的にそこから…。」
あはは、と苦笑すると、伊武が隣にたった。
は力なさそうだから、両手で持つといいよ。無理して片手で持って手首壊したら元も子もないしね…。」
ほら、と両手でラケットを見せてくれた通りにラケットを持ってみる。

おお、なんか格好いいー!

「それで、基本姿勢だが…。」
「両手で持った時の打ち方はね…」
「相手を良く見る事も大切だぜ。テニスじゃ回転がいくつかあってな…。」


そんなこんなで、色々な知識を入れてもらった。
中々上手くいってるみたい。
たまに褒められるとすっごい嬉しい。


「そろそろ休憩にしたらどうだ?」
橘さんの一言で皆の動きが止まる。
「そうですね。少し疲れたし…。」
「あ、ドリンクちゃんともってきたよ!どうぞ、さん。」
バックから水筒を取り出し、紙コップへと注いで渡してくれた。
「ありがとう。」
受け取った紙コップは、持っただけでもひんやりしていて、ほてった体に心地よい。
中身を体へ流し込むと、冷たさが体にしみこむような感覚がした。
「ふ〜…。なんかスッキリ〜♪」
ベンチに腰掛けニコニコしている私を見て、神尾が笑う。
「ハハッ、この瞬間がなんかいいよな。」
「うん、なんかわかる!」
私の隣に座っている伊武がぼそりと呟く。
「…だからって、風呂上りのおやじみたいに飲んだ後にプハーって声出すのはどうかと思うよ、アキラ…。」
その一言に神尾が赤面する。
「なっ、俺はんな事言わねぇっつーの!」
「へえ、本当にそうだって言い切れるの?…人ってさ、自分が無意識にやってる事って気づかないんだよね。あーあ、アキラかわいそう…。まあ、自分が知らないだけ恥ずかしさがないのからいいのかな?でもなぁ…」
スゴイ、生ボヤキ…。
隣でどんどん流れてくるボヤきに少し驚きつつ感激しつつ。
私がどういう顔をしたのか知らないが、橘さんが一言言った。
「深司…。」
「すんまそん…。」
あはは、おかしい。
クスリと笑ったのが聞こえたのか、伊武がこちらに顔を向ける。
「何…?人の顔見て笑ってるの?失礼だなぁ…。」
「ううん、やりとりが面白くて。」
速攻で否定した私を驚いたように見て…そして「ああ、そう…」とだけ呟いた。
「杏ちゃん。」
「はい?」
私は杏ちゃんに向かってたっぷりと意味を込めて言った。
「不動峰って面白いね。」
「いろんな意味でね。」
意味を取ってくれたのか、苦笑気味に答えた。
「な…それってどういう意味だよ、杏ちゃんちゃん!」
私と杏ちゃんを交互に見る神尾にニーッコリと二人で微笑んだ。
「乙女の秘密だよね〜杏ちゃん♪」
「そうですよね〜さん♪」
橘さんは意味がわかったのか少々苦笑していたが。
「あ…」
「どうした?」
いきなりあげた声に橘さんが不思議そうにこちらをむいた。
「あのですね…少し…お願いがあるんですけど。」
思い出した。
私の第二の目的。
皆が不思議そうな顔でこちらを見ている。
意を決して力を込めて言い放った。
「皆さんの必殺技が見たいんですけど!」
「必殺技!?」
一番最初に声をあげたのが神尾だった。
「はい。神尾なら、音速弾とか、クイックサーブとか…。」
「へえ…。」
伊武が少し驚いたような顔をして視線を向ける。
「そんな事まで知ってるんだ?スゴイな…。」
「まあ一応は。」
少し得意げに答えてみた。
「で…どうでしょう?」
「俺はかまわないぞ。」
橘さんが言う。
「少し打ち合いながらだったら出来るんじゃないか?」
神尾を伊武を交互に見ながらいうと、二人が反応する。
「そうだな…。よーし、リズムに乗るぜ!」
「まあ…いいけど。俺の必殺技か…。」
やった!
見せてくれるみたい。
「ありがとう、皆!」
心がわくわくする。
あのスゴイものを間近で見られるなんて!
「じゃあ、最初に俺と深司からいくか。いくぜ深司!」
「はいはい…。」
それぞれ自分のラケットを持ちコートへと入っていく。
「それじゃあ、サーブ俺からいくよ…。」
ラケットでボールをトスしながら呟く。
すごい、見事なボールさばきっていうのか、ラケットさばきっていうか…。
そのままボールをキャッチし、ポンポンと軽く地面へと叩きつける。
上へとあげ…打つ!
綺麗に弧を描き神尾側のコートでバウンドしたボールは、そのまま神尾の方へと跳ね上がる。
…キックサーブ…。
「ちっ!」
どうにか姿勢を直し打ち返した。
そこから綺麗にラリーが続く。
いきなり神尾が声をあげた。
「いくぜ深司!…音速弾っ!」
…気づいたら、ボールは伊武側の後ろの壁に当たっていた。
これが…音速弾…?
スゴイ…球が全然見えなかったよ…!
これが千石さんには見えた訳だ…。

さらりと髪をかきあげ、神尾に視線を送る伊武。
「…熱くなりすぎ…。」
「わりーわりー。」
苦笑する神尾。
「じゃあ、俺が橘さんと交代するね…。俺あんまり必殺技なんてないし…。スポットは…悪者扱いされるしね。」
呟いた言葉に皆が苦笑する。
やっぱり越前君との試合、気にしてたんだ…。
「じゃあいくぜ、アキラ。」
「あ、宜しくお願いします、橘さん!」
次はサーブが神尾から。
という事は…出るかな…?
あげられたボールが…あっという間に相手コートへと飛んでいく。
クイックサーブだね…。
けれど流石橘さん。
それをきっちり打ち返す。
それと同時に前にでた。
「悪いが、やらせて貰うぜ。」
ボールが神尾側のコートに落ち、そして…弾まない。
「あー、橘さん速攻かよー!」
悔しそうに神尾が声をあげた。
これがサイレントドロップか…。
手塚さんのは戻るんだよね…。
「どうだ?さん。」
橘さんがこちらを見る。

きっと私は今なんとも言えない表情をしているのだろう。
私の中にはいろんな感情があって言葉がうまく紡げない。
感激…感動…そして…なんとも言えない感情。

「私…」
やっと出した言葉に皆が「ん?」といった顔をしている。
「…やりたい…!」
皆の顔が、一瞬驚きにかわり…すぐさま満足気な表情になった。
「これから…また一緒に練習しような。」
橘さんが言う。
「今度はあいつらも連れてこようぜ。一人頼もしい仲間が増えたってさ。」
楽しそうに神尾が言う。
「…まあ、一緒に試合に出れなくったって仲間は仲間か…。いい事言うじゃん、アキラ…。」
ニヤリと伊武が笑った。
「これからまた宜しく、さん!」
ニッコリと杏ちゃんが微笑む。
「…うん、宜しく!」




私は今日決意をしました。
テニスをするんだと。





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