●尿意を感じるわけ
尿は腎臓でつくられ、いったん膀胱(膀胱)にためられた後、排泄されます。膀胱にためることのできる尿の量は、通常、最大450〜500mlほどですが、ふつうは膀胱に尿が200〜350mlぐらいたまると、その刺激で膀胱内の圧力が高まり、その信号が大脳に伝わって尿意を感じます。腎臓、膀胱、あるいは脳神経などに、なんらかの異常があると、このシステムがうまく作用しなくなります。
●1日あたりの尿と回数
排尿の回数や分量は、気候や摂取した水分量、精神状態によって変化します。健康な人の平均的な回数は、おきているときで10回以内、眠っているときは50歳未満だと0回、50〜60歳では1回ぐらいです。尿の量は、1日トータルで1000〜1500mlが平均的な量です。これより回数が多い場合を頻尿、分量が多い場合を多尿、逆に少なすぎる場合を乏尿といい、いずれも排尿時の痛みや尿のにごりに注意が必要です。
●尿とにごりで健康状態がわかる
尿は体が健康でどこにも異常がないときは、淡黄色か黄褐色で、にごりがなく透きとおって見えますが、お酒や水分をいつもより多めにとって尿が多くなった場合などは、色が薄くなります。逆に、ほとんど水分をとらなかったり、運動でたくさんの汗をかいたり、発熱や下痢、嘔吐などで水分が失われたときなどは、色が濃くなります。また、尿がにごるのは、何らかの細菌に感染し、尿道炎や前立腺炎などをおこしている疑いがあります。
●赤い尿が出たら
尿の色の変化で、いちばん気をつけたいのは、尿が赤く染まる血尿です。血尿は、肉眼ではっきりとわかる場合もありますが、潜血と呼ばれる尿検査ではじめてわかるものもあり、原因となる病気もさまざまです。また、病気ではなく、飲んでいる薬などのせいで、尿が赤くなることもあります。たとえば下剤としてつかわれるソルベンやセンナ、抗結核薬のリファンピシンなどを服用していると尿が赤くなります。
●血尿が出たら重大な病気の疑いも
血尿の原因の多くは、尿の通り道である腎臓から尿道までの間に、何かのトラブルが発生した場合ですが、まれに膠原(こうげん)病や白血病といった出血しやすい全身性の病気のこともあります。自分の目でわかる血尿に、激しい痛みを伴うときは、尿路系の結石が疑われます。また、血尿に加え発熱、排尿後の残尿感と頻尿があれば、膀胱炎の疑いがあります。痛みがない場合は慢性じん炎、あるいは腎臓や膀胱、前立腺のガンなどが考えられますので、早めに病院で診てもらいましょう。
●量があまりにも少ないとき
水分の摂取量をおさえたり、下痢や嘔吐といった原因がないのに、1日の尿量が500ml以下で顔や手足がむくんでいたら、急性じん炎やネフローゼ症候群といった、腎臓の病気か心不全の疑いがあります。また、お腹がふくれて腹水という水がたまっているときは、肝硬変や腹膜炎をおこしている可能性がありますので、すみやかに診察を受けましょう。
●量が多くて、あまりにも喉がかわくとき
水分のとりすぎや利尿剤を服用しているわけでもないのに、多尿が続くようなら、糖尿病の疑いが考えられます。この場合、1日の尿の量が3000〜5000mlに達することもあり、昼夜を問わずのどが渇いて水をガブガブ飲み、尿は甘ったるいにおいがして泡立つのが特徴です。また、脳下垂体から分泌される利尿ホルモンが不足して発症する尿崩症でも、同じように多尿やのどの渇くなどの症状がでることもあります。
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