シェフズ・スペシャル
カレー伝道師特製オリジナル・レシピ

第8回 北インド風ヨーグルトベースのラムチョップマサラ


 最近はダイエットにも好適なヘルシー食材としても注目されているラムやマトン。中でも、もっとも手に入れやすく、味も濃厚で食べやすいのがラムチョップである。
 インドやパキスタンには、ラムチョップを利用したおいしいメニューがたくさんある。そうした代表的レシピのひとつをご紹介しよう。

 カレーより濃厚なグレービー(カレーソース)を持つスパイス料理をインドなどでは「マサラ」と総称する。今回は、この「マサラ」のベースソースをたまねぎとヨーグルト、そしてスパイス類で調理し、ラムチョップを加えて軽く煮込んで仕上げる。マサラという料理スタイルではたまねぎとトマトをベースにするのがふつうだが、ことラムチョップに関する限りヨーグルトをベースにした方がおいしいのだと、私は肉料理の達人である師から教えられた。
 煮込むといっても、それほど時間はかからない。手軽にできておいしい肉料理である。ぜひお試しいただきたい。
 
 
北インド風ヨーグルトベースのラムチョップマサラ

材料(2人分)
ラムチョップ300グラム(6本程度)、たまねぎのみじん切り1カップ分、
にんにくとしょうがのすりおろし 合わせて小さじ1、青唐辛子1本(なければししとう2本で代用)、
プレーンヨーグルト1/3カップ(60cc強) 塩 小さじ1/2程度、サラダ油 大さじ3〜4、
お湯か水2カップ程度、香菜 大さじ山盛り1(なければ省略)


《ホール・スパイス》
クミン・シード 小さじ1/2、グリーン・カルダモン2粒、ビッグ・カルダモン1粒(なければ省略)、
シナモン・スティック2センチ、ブラック・ペパー5粒、ベイリーフ1枚


《パウダー・スパイス》
ターメリック 小さじ1/8、カイエン・ペパー 小さじ1/2、コリアンダー 小さじ1/2、
ガラム・マサラ 小さじ1/2(市販品でも一応可。

抜群な風味になる秘伝の配合については拙著『誰も知らないインド料理』を参照のこと)


 
下準備

@たまねぎはみじん切りに。にんにくとしょうがはおろし金などですりおろし、ひとつに混ぜておく。
Aヨーグルトはダマのないようかき混ぜておく。
B青唐辛子があれば縦半分に切るか、スリットを入れる。ししとうを使うときは小口切りにしておく。


調理

@厚手の鍋か中華鍋、あるいはフライパンを用意したら、たっぷりめにサラダ油を入れて中火にし、ホール・スパイスをすべて加える。こげやすいベイリーフのみ後から入れるといいだろう。
Aクミン・シードの色が変わるとともに、カルダモンをはじめとしたスパイスもふくらみ、いい香りがしてきたら、たまねぎを入れて最初は強火で炒めはじめる。
B途中から中火、さらには最終的には弱火に落としつつも、なるべく強めの火加減で黄金色に炒める。所要時間は10〜15分程度t。
Cたまねぎが黄金色になったら、弱火のまま、にんにくとしょうがのすりおろしを加え、サッと炒め合わせる。
Dにんにくとしょうがのいい香りがしたら青唐辛子かししとうも加え、さらにサッと炒め合わせる。
E鍋の火を一度止め、ヨーグルトを入れたら、ふたたび弱火にしてよく全体をかき混ぜる。
Fガラム・マサラを除くパウダー・スパイスと塩、、ヨーグルトと同量程度(カップ1/3。分量外)の水かお湯を加えたら、火加減を弱めの中火にアップし、5分程かき混ぜながら煮込む。途中でこげそうになったら、少しだけ水かお湯を足そう(分量外)。
G表面にスパイス色の油が浮き出したら、ラムチョップを加える。
H常にラムチョップの約半分ぐらいがつかる程度にグレービー(カレーソース)の量を維持しながら、全体を大きくかき混ぜつつ、中火で煮込む。途中で必ずグレービーが少なくなるので、そのつどお湯か水を足しながら煮込む。できあがりまでに加えるお湯か水の総量はカップ約2が目安。ただし絶対に過剰な水加減にしないこと(グレービーとラムチョップの量的バランスについては下の写真を参照)。
Iラムチョップに楊枝などを突き刺し、透明な肉汁が出てくれば火が通った証拠。グレービーにもトロみが出てきているはず(少なくともシャバシャバではないことが重要だ。上の写真を参照)。ここでガラム・マサラを投入しよう。
Jさらに水加減を調整しながら、3〜5分ほど煮込んでできあがり。仕上げに香菜をふりかけ、塩加減をチェックしよう。


おいしくするコツ

・多くのカレー同様、水やお湯を入れすぎないことが最大のポイント。あくまで濃厚に味をのせて仕上げたい。それこそがマサラ料理ならではのおいしさである。
・ガラム・マサラが手に入らないときは省略するか、同量のクミン・パウダーに替えてもいい。香菜がないときも省略だ。
・たまねぎ炒めは極力強めの火加減でこなそう。時間も省略されるし、できあがりの風味もいい。ただし、くれぐれもたまねぎをこがさないように(調理の最初にホール・スパイスを入れるときもこがさぬようご注意)。
・今回は2人前に設定し、肉、グレービーともやや難度の高い「少量調理」を行っている。ラムチョップ以外の材料を2倍に増やしてあらかじめ倍量のグレービーをつくり、それを半分程度だけ使って6本程度のラムチョップを入れて煮込んだり、ラムチョップも倍量の12本ぐらいにして、全体を倍の量目でつくってもいい。
・白いごはんのほか、チャパティやローティ、ナーンといったインドのパン、バケットやカンパーニュ、トーストなどの西洋式パン、トマト・ライスやタマリンド・ライス(『カレーな薬膳』)、コリアンダー・ギー・ライス(「dancyu 2004年8月号」)、ピラフやサフラン・ライスなどで食べてもおいしい。


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