シェフズ・スペシャル
カレー伝道師特製オリジナル・レシピ

第6回 オクラのムスリム家庭風炒め

 インド亜大陸でもっともポピュラーな野菜のひとつがオクラである。
 東西南北、各宗教、各コミュニティごと、煮込みカレーから炒め物、揚げ物、詰め物に至るまで、じつにさまざまなオクラのメニューがあって食べ飽きない。
 今回は、超シンプルでおいしく召し上がっていただけるオクラの炒め物をご紹介しよう。
 何と使うスパイスは「たかのつめ」のみ。
「こんな手抜きでいいのだろうか」といぶかしくお思いになる方も少なくないだろうが、論より証拠、一度トライしていただければ、そのおいしさはおのずとおわかりいただけるはず。
 イスラム料理における「揚げタマネギ」の底力を実感するアイテムでもある。
 まさに「目からウロコが落ちる」逸品と申し上げたい。

 
 
オクラのムスリム家庭風炒め

材料(副菜として2〜4人分)


オクラ2パック(20本程度)、タマネギ1/4ヶ、塩 適宜、サラダ油 大さじ5〜6
《ホール・スパイス》
たかのつめ2本

 
【下ごしらえ】

@オクラは産毛をとるようにして、さっと水洗いしたら、水気をよくふきとっておく。
Aおなじく水気をよくふきとったまな板を用意したら、オクラのへたを切り落とし、さらに3から4等分にカットする。
Bタマネギはよく切れる包丁で、薄く均等にスライスしておく。このとき現地では繊維を断ち切るよう水平方向にスライスするのがふつうだが、このあたりはお好みで。


【調理】

@中華鍋かフライパンを用意したら、たっぷりサラダ油を注いで、火をつける。
A油が熱くなる前に、タマネギをほぐすようにして入れる。
B最初は強めの中火、その後は徐々に火を加減しながら、油の中で泳がすようにして揚げ炒めする。
Cタマネギのスライスを茶色になるまで炒めたら、ペーパータオルを敷いた皿などにとり、余分な油を切る。絶対にこがさないように。
D中華鍋やフライパンからいったん油を全部空け、あらためて大さじ2程度の油を引く(残った油は「オニオンオイル」として、別の料理に使える)。
Eたかのつめを入れたら、弱めの中火にして、しばらくたかのつめを油の中で泳がせよう。
Fたかのつめの色が少し濃くなったら、オクラを入れて炒める。
Gオクラ全体に油が回ったら、あらかじめフライしておいたタマネギを戻し、いっしょに炒める。
Hあまり強い火にはせず、オクラを好みの加減まで炒めたら、塩をしてできあがり。インドでは、きっちりと火を通してやわらかめに仕上げるのがふつうだが、日本のオクラならば歯応えを残しておいてもおいしいものだ。


【おいしさのヒント】

・えらくかんたんなのだが、なぜかバツグンにおいしい。不思議な料理である。
・揚げタマネギは余熱でさらに色が濃くなることを憶えておこう。一気に揚げ炒めしすぎると、できあがりがコゲ気味になるので要注意だ。
・オクラと炒めている間にも揚げタマネギに火が通って、色が濃くなるときがある。ある程度オクラを炒めてから、揚げタマネギを鍋に戻すようにしよう。余熱でも十分揚げタマネギの風味はオクラに移るから大丈夫だ。
・好みで、たかのつめといっしょに小さじ1/2程度のクミン・シードを炒めてもいい。
・インド亜大陸式にオクラを調理するときは、とにかく水気をふきとって、粘りを最小限に抑える。これが大事だ。
・煮込みタイプのカレーとともに供すれば、格好のコンビネーション。ごはんにもパン類にもよく合う。やや邪道だが、単品で酒の肴としてもイケる。


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