シェフズ・スペシャル

カレー伝道師特製オリジナル・レシピ

第3回 コリアンダー・ギー・ライス


 ハマるとクセになる食材の代表、香菜を炊いたご飯にミックスして、手軽でおいしい南インド流の混ぜご飯をつくってみよう。
 香菜とともに混ぜるのはクミン・シードやブラック・ペパーといったスパイス類、そしてインド独特の精製バター、ギーである。
 クミンは体の余分な熱をとってくれる。まさに暑い国、暑い季節にぴったりのスパイスだ。食欲を増進しながら消化を助けるとともに、心臓や肝臓、腎臓の働きを強化したり疲労回復や目の疲れ、便秘や下痢にも効果があるともいわれている。
 日本人の食生活にもすっかりおなじみなブラック・ペパーも、解熱やかぜ、ぜんそく、体のむくみ、消化不良、胃腸病、疲労回復など、たいへん幅広い効用を持つスパイスのひとつである。
 ギーはインドでお菓子作りやダルのカレー調理に欠かせない。さらにはヒンドゥ教徒が崇拝する神様の祠や彫像にギーを塗る儀礼があるなど、神聖で高貴な食材でもある。人体への効果としても、殺菌浄化作用はもとより、美肌、目や鼻の健康維持、コレステロールの抑制、記憶力の向上などがインドで指摘されている。
 体にいいこうした食材をサッとご飯と炒め合せ、仕上げにたっぷりの香菜をまぶすのがコリアンダー・ギー・ライスである。
 炒め合せるといっても、チャーハンのように鍋をガンガンふりながら、ご飯に味を入れるようなことはしない。最初に混ぜご飯といった通り、フライパンや中華なべの中で、ギーやバターで炒めたスパイスとご飯をミックスする、そんな軽やかなメニューである。南インドではポピュラーだが、従来日本で紹介されてきた北インド料理ではまったく触れられてこなかったタイプのご飯料理だ。
 香菜、ブラック・ペパー、クミン・シード、ギーの相乗効果でおいしく体力アップを図ることができる。疲れを感じたとき、あるいは梅雨から夏場の食欲が落ちる時期などにおすすめである。
 
 
コリアンダー・ギー・ライス

材料(2人分)

米1.5合(インディカ米がベター)、塩 小さじ1/2、ギー 大さじ2(なければ同量よりやや少なめのバターで代用)、サラダ油 大さじ1/2(ギーを使用する場合は不要)、香菜のみじん切り 大さじ山盛り1〜2(お好みで加減)
《ホール・スパイス》
クミン・シード 小さじ1、ブラック・ペパー 小さじ1/2

 
下準備

@米はといだら、ふつうに炊飯する。
Aブラック・ペパーは軽く空炒りしてから、スパイス・ミルや乳鉢などで粗くつぶしておく。辛みよりも香りを生かしたいので、いわゆる粗挽きよりもさらに粗いくらいがいい。
 
調理

@中華鍋か大きめのフライパンを用意したら、ギーあるいはサラダ油とバターを加え、中火でギーやバターを溶かす。サラダ油とバターをいっしょに使うのはこげつき防止のためだ。
Aバターやギーが溶けたら、クミン・シードを入れ、しばらく加熱する。
Bクミン・シードの色が濃く変化していい香りがしてきたら、ごく弱火にし、ご飯と塩、ブラック・ペパーを加えてよくミックスする。チャーハンのように炒める必要はない。むしろ、まったく火を止めてもいいくらいだ。とにかく、ご飯にクミン・シードやギー、バターをまんべんなく混ぜ合わせよう。
C全体をよくミックスしたら、フライパンや中華鍋を火から降ろし、さらに香菜を加えてよくあえる。このとき、お好みでさらにギーやバターを加えてもよい。
Dご飯全体にすべての材料がまんべんなくミックスできればできあがりだ。塩加減をもう一度チェックしよう。

 
おいしくするコツ


・あらゆるカレーと相性がいいライスだ。クミン・シード、ブラック・ペパー、、ギーやバター、香菜の量は適宜増減しよう。
・炒めるのではなく、あくまで混ぜるご飯である。だから、ギーやクミン・シード、ブラック・ペパーを混ぜるところから火を切ってもかまわない。
・とくに香菜をミックスするときは必ず火を止めること。香菜に火が入ると退色が早まるし、フレッシュな風味も飛びやすい。さらには、香菜を混ぜたら、なるべく早く食べることだ。
・残念ながら、チャーハンのように冷ご飯を活用することはできない。必ず、まだ温かさのあるご飯で調理しよう。
・香菜の手に入らない方は、なしのままでもかまわない。この場合、ギー・ライスという料理になる。

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