シェフズ・スペシャル
カレー伝道師特製オリジナル・レシピ

第23回 ガラム・マサラ


 インドカレーといえば、何にでもガラム・マサラが使われると勘違いしている日本人は少なくない。

 南インド料理の場合、基本的にガラム・マサラは不要である(それでも、私の場合使うアイテムはある。例えば「チキン・ペパー・フライ」=チキン・メラグというスパイシーな鶏肉の炒め煮など)。

 北インドのカレーにしても、野菜や豆を中心とした家庭的なレシピの場合、ガラム・マサラを使わないものは多い。「ガラム・マサラはお客様が来たときのちょっと凝ったカレーぐらいにしか使わない」という意見もある。

 一方、ガラム・マサラがないとはじまらないというメニューもある。
 私にとって、北インド式の「マサラ」料理がその典型だろう(いわゆるカレーよりも濃厚なグレービーを持った炒め煮込みメニューの総称。チキン・マサラ、マトン・マサラのほか、チャナ・マサラ、ナスのマサラ、エビのマサラ、チキンレバーのマサラなど、いろいろなマサラ・メニューがある)。さらには北インドの肉カレー全般にも、私はよく使うし、ある種のスペシャルなベジタリアンカレーにも使用する。

 タンドゥーリ・チキンやシーク・カバーブといったタンドゥール料理にとっても、ガラム・マサラは必需品。ある意味、ガラム・マサラの出来映えでタンドゥール料理の優劣が決まるともいえそうなくらいに重要なのである。

 ともかく、インド料理全般を見回せば、やはりガラム・マサラは不可欠といえる。
 インド亜大陸中にいろいろな配合のガラム・マサラがあるが、私のお奨めの配合をご紹介しよう。市販品とはまるで別物の素晴らしい香りであることは保証する。後は使う方のセンス次第だ。
 

《レシピ》秘伝のガラム・マサラ


材料と調理
@以下のスパイスを次の容積比で用意する。
・クミン・シード…大さじ山盛り4
・コリアンダー・シード…大さじ山盛り2
・グリーン・カルダモン…大さじ山盛り1
・ビッグ・カルダモン…大さじ山盛り1(なければ省略)
・シナモン・スティック…ポキポキ折って大さじ山盛り1
・クローブ…大さじ山盛り1
・フェンネル・シード…大さじ山盛り1
・ブラック・ペパーの粒…大さじ山盛り1
・ベイリーフ…グシャグシャとちぎって大さじ山盛り1
・メース…大さじ1/2
Aフライパンにすべての材料を入れたら、弱火にして、水分を飛ばすよう軽く炒る。こがさないように。
B粗熱を取ってからイワタニのミルサーなどで微細につぶす。
Cタッパーなどの密閉容器に入れて保管、適宜使用しよう。

【おいしさのヒント】

・とにかくこがさないように。炒るのは余分な水分を飛ばして香りが十分に出るようにするため。
・冷蔵庫に保管すると、さらに香りは飛びにくい。


 トップページへ戻る