シェフズ・スペシャル
カレー伝道師特製オリジナル・レシピ

第20回 ダール・タルカ


 「インドの国民食」ともいえる挽き割り豆のカレー、ダール・カレーをバージョンアップさせて、より濃厚な味わいに仕上げてみよう(プレーンなダール・カレーのレシピは『カレーな薬膳』ほか拙著をご参考にどうぞ)。

 通常、ダール・カレー(以下「ダール」と記する。よく「ダール・スープ」といったり書いたりする方がいるが、ダールはごはんやチャパティに合わせるカレーとしての役割が主であり、そのまま啜ることがまれであることからもスープという表記には違和感がある)に使う挽き割り豆は
@ムング・ダール(春雨やもやしになる緑豆の挽き割り)
Aマスル・ダール(インド製レンズ豆の挽き割り。欧米産のレンズ豆とは風味が異なる)
Bチャナ・ダール(インドの黒いひよこ豆の挽き割り)
Cウラド・ダール(日本ではもやしになる黒マッペ豆の挽き割り)
Dトゥール・ダール(日本にはない豆。サンバルやラッサムにも入れる)
 の5種類だが、ダール・タルカには@かAを使う。両者をミックスしてもいい。

 ダール・タルカではタマネギを揚げるようにして茶色に炒め、それを挽き割り豆といっしょに煮込む。揚げタマネギ=フライドオニオンという北インドやパキスタンならではのイスラーム料理テクニックだが、それがとてつもない効果を生み出すことを実感できる。
 ごはん、パン類どちらにもよく合う。他におかずがなくとも、思わず食が進む、魔法のカレーのひとつといえるだろう。
 

《レシピ》ダール・タルカフライドオニオンとギーが威力を発揮するイスラーム風ダール


材料(4人分) ダール(ムングまたはマスル・ダール) 乾燥状態で1カップ、タマネギ1/4ヶ、トマト1/4ヶ、シシトウ2本、ニンニク1片、塩 小さじ1強、ギーかバター 大さじ2、水 5カップ、サラダ油 ひとたらし
ホール・スパイス クミン・シード 小さじ1/2、タカノツメ 2本
パウダー・スパイス ターメリック 小さじ1/4、カイエン・ペパー 小さじ1/4
【下ごしらえ】
@タマネギは繊維を断ち切る横方向に薄くスライスしておく(こうした方が早く煮くずれて、風味が増す)。
Aトマトは粗みじん切りに。
Bシシトウは小口切り。
Cニンニクはみじん切りに。
【調理】
@
厚手の鍋にダールを入れ水を加えたら、ゴミなどをとる意味で一度水を換え、再びダルの5倍量程度の水を加えて火にかける。
Aパウダー・スパイス、トマト、シシトウ、ニンニク、サラダ油ひとたらし(こうすると早く煮える)も鍋に加える。最初は強火で煮よう。

Bこのまま放っておくとかならずダールはふきこぼれる。沸騰したら火を弱め、じっくりと煮る。途中で水気が減ってきたら、お湯(分量外)を加えよう。
Cダールの粒を食べてみて中まで火が通っている頃になったら、別にフライパンを用意し、ギー、クミン・シード、タカノツメ、タマネギのスライスを入れて火にかける(ギーの代わりにバターを使う場合はこげやすいので、分量外のサラダ油大さじ1とバター大さじ2を合わせてから火にかける)。
Dタマネギをこがさないように注意しながら弱めの中火で黄金色まで炒めよう。これがフライドオニオンだ。

Eフライドオニオンができたら、油ごとすべてダールの鍋に加える。ジャッという音がして、ときに煙も出るが気にしないこと。
Fさらに30分ほど弱火でコトコト煮込もう。途中で煮つまりそうになったら、分量外のお湯を少し差すこと。
G塩をチェックすれば完成だ。お好みで刻んだ香菜を散らそう(分量外)。

【おいしさのヒント】
・フライドオニオンをこがさずつくることが何といっても重要だ。
・できてから少し時間がたった方がおいしい。

・白いごはんはもちろんプラオやチャパティにもよく合う。カンパーニュのようなパンでもおいしい。

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