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極私的インドとロック パート5 〜インド好きなディーバの最高峰、ニナ・ハーゲン〜


 昔から大好きな女性ミュージシャンのひとりにニナ・ハーゲンという人がいる。

 『ニナ・ハーゲン・バンド』でレコード・デビューした78年以来、オペラのベルカント唱法からレゲエまでを雑多に取り込んだサウンドは1作ごとに変化し続け、最新作は何とビッグバンドスタイルによるジャズ。

 音同様に千変万化なファッションセンス(ゴルチェが限りなく似合う)なども含め、クリエイティブな芸術家として、常にチャレンジしつづける貪欲な精神力とスマートでディープな感性には脱帽である。

 そんな彼女だが、とくに80年代に入ってからインド好きの本性を発揮しはじめる。
 ダンサブルなナンバーの歌詞に「ハレクリシュナ、ハレハレ」といったフレーズを挿入したり、インド的なサウンドをコラージュしたり。サード・アルバム『ナンセックスモンクロック』(かなりヤバい題名だ)以降、各作品に必ずインドネタが入っているといって過言ではない。

 インド・マニアなきわめつけのひとつは、自分の娘の名前が「コスマ・シヴァ」ちゃんであること。世界の破壊を司るとともに、コズミックダンスを踊る舞踊の神様、シヴァ神の名を子どもにつけてしまうのだから、ものすごい(ちなみに彼女には息子がいて「オーティス」という。これはかのオーティス・レディングからとったらしい)。
 
 彼女自身、精神修養を兼ねつつたびたびインドを訪れているし、ついにはバジャンだけのCDまで発表している(当然、日本では未発売)。

 論より証拠、ビデオやサウンド・クリップ満載な彼女のオフィシャル・サイトを見れば、彼女がいかにインド・マニアックかよくわかるはず(下の写真をクリック! ジョージ・ハリスンの「マイ・スウイート・ロード」のカバー・ビデオなど、必見必聴の素材が満載!)。

 ある意味、ジャニス・ジョプリン的なロッククイーンの系譜を正統に引き継いだともいえるニナ・ハーゲン。インド好きな音楽ファンならば、これからの活動にも要注目である。
 
 



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