カレーな食材図鑑

第6回 月桂樹の葉と黒コショウ

 このサイトをご覧になっている方の中には、これまでスパイスやハーブを日常の食生活にあまり活用してこなかったという人もいらっしゃるだろう。それでもきっと料理はお好きということがほとんどだろうから、次のようなスパイスならば、きっとキッチンに常備しているはず。

・ブラック・ペパー(黒コショウ)…本格的なカレー調理には挽いてあるもののほか、粒のものがあるといい。
・ベイリーフ(月桂樹の葉=ローリエ=ローレル)…厳密にはインドのベイリーフは「カシアリーフ」という別種。しかし、ふつうにインドカレーをつくる分に支障はない。
・たかのつめ…ご存知、和食にも使うさやの赤唐辛子だ。

 これらをことさらに「カレー用スパイス」と呼んだら、肩すかしを食うかもしれない。何しろ、日本の台所でもおなじみである。しかし、同時にこれらはインド亜大陸家庭のキッチンにも常備され、毎日のカレーづくりに貢献している、りっぱなカレー用スパイスだ。

 ブラック・ペパーとベイリーフは、肉を中心とした煮込みカレーのレシピによく登場する。また、本場では粒のブラック・ペパーを砕いて仕上げにふりかけたりするのはもちろん、メインの素材といっしょにまるごと煮込む調理法も多用される。

 たかのつめは、野菜カレーや豆カレー、さらには炒め物式の汁なしカレーによく使う。その際、タマネギやメインの素材を投入する前にあらかじめ熱した油の中によく泳がせ、オイルに辛味と香りを移したりするのがふつうだ。

 もちろん、これらがなければカレーがまったくじょうずにできないということではない。しかし、うまく活用すれば、料理の風味の向上とレパートリーの拡大を必ず容易にしてくれる。そんな、すぐれものである。
 インド料理も含め、積極的に使いこなしていきたいものだ。

 

ブラック・ペパーとベイリーフの風味を生かしたシンプル・メニュー

《レシピ》スパイス風味のクイック・バター・ライス

材料(4人分)
米3カップ、クミン・シード 小さじ1、粒のブラック・ペパー5粒、ベイリーフ2枚、バター 大さじ1〜2、塩 小さじ1/2強

【調理】
@といで、ふつうの水加減にした米にすべての材料を入れる。塩の量はあくまで目安。確実に塩気を感じるくらい入れて大丈夫だ。
A炊飯器のスウィッチを入れ、ふつうに炊けばできあがり。

【おいしい組み合わせ】
 インドカレーのほか、シチューやステーキ、肉や魚介のグリル、欧風カレーなどにも相性がいい。どちらかというと風味の強い料理によりマッチする。


 やけにかんたんなメニューだが、クミン・シード、ブラック・ペパー、ベイリーフの相乗効果がかぐわしい香りを存分に醸しだす。炊いているときの香りからして、食欲を刺激するはずだ。ブラック・ペパーは辛味づけではなく、かくし味的な香りを味わうために使うので粒のままがいい。挽いたものしかなければ、炊く前には入れず、炊き上がりにひとふりふたふりして加えればいい。
 バター・ライスというと、スープ・ストックや固形スープの素など入れたくなるだろうが、実際そんなものはまったく不要。塩とスパイス、それにバターだけで十分なコクと風味が出るのである。 
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