炎天下四十日振り落ちるごと |
雨降り続く夕食時に |
|
四十日振りの命の雨に夏野菜 |
天を仰ぎて実花を震わす |
|
もう来るかもう直ぐ降るかと遠雷の |
音を聞きつつ夕立を待つ |
|
蝿一匹死んだ振りした暑き夜 |
人の隙見て飛び立ち去りぬ |
|
ほおずきの中味を除いて鳴らす子は |
仏を送りしその日の夜に |
|
渇水に給水制限受く人に |
湧き出る水を与えたく思ふ |
|
敬老会手伝う吾も演芸の |
楽しき時間与えられたり |
|
如何ですかと頬に手を触れ訪ひ行けば |
言葉無き患者も泣きて答えん |
|
早植えの実りし田圃に群がる雀 |
我が物顔に稲穂を喰ばむ |
|
そこかしこ木犀香る村中を |
通り抜ければ施設見えくる |
|
曼珠沙華芒に秋桜咲く道を |
自転車こぐ子に纏わる蜻虻 |
|
清々しき朝の冷気に包まれて |
挨拶交わし農道を歩む |
|
優勝戦息を飲みつつ見守る夫 |
巨人勝利に酒を振るまい |
|
白鷺の二つの群れが飛び交いし |
川面を渡る風は爽やけき |
|
部活の練習終えて缶ジュース |
回し飲みする子等自販機の前で |
|