早朝の畑の中より声がする |
分譲農地の野菜の影より |
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手を上げて吾子はマラソン私は速歩 |
行き交う時の何時ものサイン |
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タイ米を不味い等と文句を言うな |
木の芽も食みた遠きひ思えば |
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延々と菜の花畑がつづく道 |
蝶を追いつつ幼なに還る |
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心地良く畦に佇みさみどりの |
早稲田の苗に風吹き渡る |
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茶湯してご先祖様と対話する |
子にも孫にも伝いおきたく |
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母親の萎みし乳房をくわえたる |
ソマリアの児等の瞳は虚ろ |
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捨て苗を貰いて畑に植えにけり |
咲く花描き水を与える |
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サポータと手袋はめて書く文字は |
指頼りなき初夏の風にも |
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亡き父の五十回忌の供養にと |
五百巻の写経を終える |
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陽照りの赤きトマトを一つもぎ |
水撒きしつつ丸ごと齧る |
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きんさったか優しき言葉を頂きて |
年齢追う程に故郷恋し |
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握手したその手に残る温もりを |
母の如くに想いて眠る |
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日毎の悲しき事に合う度に |
父母亡き事を有難く思う |
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今の世とあの世を繋ぐ掛け橋を |
渡りそめずに今在る生命 |
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