お母さん愛しているよ私もよ |
電話の向こうの夫の声聞けば |
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柚子の実が凍てつく雪の上に落つ |
黄色き色がただ美しく |
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托鉢の大師の祖母と僧の影 |
雪降る中を重なり歩む |
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テレビより密入国と映るたび |
務むる吾子思ひてやまず |
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老い人の小言を日毎に聞き居れば |
我が老ふ事も哀しく思ひぬ |
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ぽつぽつと児童が通る農道に |
青田を渡る爽やかな風 |
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子供等と膝突き合わせワープロの |
手ほどき受けし夫の横顔 |
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早苗田は絣モンペの遠き日の |
開拓姿に思ひを馳せる |
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梅漬けの梅を貰いて厨に置けば |
その香居間にも漂ひ来たる |
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長雨の続きし田園の稲よりも |
我が物顔に稗の群生 |
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陽も落ちて次々ゴールを目差す子の |
五十キロハイクの重き足取り |
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霧深き歩道を渡る子供等の列 |
頭を下げる仕草可愛いく |
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かさこそと紅葉に栃の葉落ちる音 |
木陰に佇ちて優しく聞けり |
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但馬路を夫と二人でドライブし |
私の心も染まる秋色 |
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雪が降る雪が降るぞと地響きを |
立てて雷鳴り響くなり |
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