宝物

スマートな細長い瓶の中味は
和芳の幼き日から今日迄の楽しかった事悲しかった事を
ギューギュー詰めにしてしまっておこう

少し形の変った瓢箪式の瓶の中味は
加代子の小さい時から過酷な事に出合った色々な想ひ出を一杯詰めて

下ぶくれの様な形の瓶の中味は
未熟児で生れた可愛ひ照代の宝物を一杯詰めて

丸く少し太っちょの瓶の中味は
ユニークな発想を持った芳昭の宝物を一杯詰め込んで

それぞれの色や形を思い思いに・・・
この四人の子供達が大人になり家庭を持った時
この瓶の中味の宝物を少しずつ取り出して
それを糧に倖せな家庭を築いて欲しい
ささやかな母親の願いでもある