四国霊場八十八箇所 ご詠歌

番 所 寺 名 ご詠歌
 徳島県  発心の道場
第一番 霊山寺 霊山の釈迦の御前に巡りきて よろずの罪も消え失せにけり
第二番 極楽寺 極楽の弥陀の浄土へ行きたくば 南無阿弥陀仏口ぐせにせよ
第三番 金泉寺 極楽の宝の池を思えただ黄金の泉澄みたたえたる
第四番 大日寺 眺むれば月白妙の夜半なれや ただ黒谷に墨染めの袖
第五番 地蔵寺 六道の能化の地蔵大菩薩 導き給えこの世後の世
第六番 安楽寺 かりの世に知行争うむやくなり 安楽国の守護をのぞめよ
第七番 十楽寺 人間の八苦を早く離れなば 到らん方は九品十楽
第八番 熊谷寺 薪とり水くま谷の寺に来て 難行するも後の世のため
第九番 法輪寺 大乗のひほうもとがも翻えし 転法輪の縁とこそきけ
第十番 切幡寺 欲心をただ一すじに切幡寺 後の世までの障りとぞなる
第十一番 藤井寺 色も香も無比中道の藤井寺 真如の波のたたぬ日もなし
第十二番 焼山寺 のちの世を思えばくぎゃう焼山寺 死出や三途の難所ありとも
第十三番 大日寺 阿波の国一の宮とはゆうだすき かけてたのめやこの世後の世
第十四番 常楽寺 常楽の岸にはいつか至らまし 弘誓の船に乗りおくれずば
第十五番 国分寺 薄く濃くわけわけ色を染めぬれば 流転生死の秋の紅葉ば
第十六番 観音寺 忘れずも導きたまえ観音寺 西方世界弥陀の浄土へ
第十七番 井戸寺 面影を映してみれば井戸の水 結べば胸の垢や落ちなん
第十八番 恩山寺 子をうめるその父母の恩山寺 訪らひがたきことはあらじな
第十九番 立江寺 いつかさて西の住居のわが立江 弘誓の舟に乗りて到らん
第二十番 I林寺 しげりつる鶴の林をしるべにて 大師ぞいます地蔵帝釈
第二十一番 太龍寺 太龍の常にすむぞやげにいわや 舎心聞持は守護のためなり
第二十二番 平等寺 平等にへだてのなきときく時は あら頼もしき仏とぞみる
第二十三番 薬王寺 皆人の病みぬる年の薬王寺 るりの薬をあたえまします
 高知県  修業の道場
第二十四番 最御崎寺 明星の出でぬる方の東寺 暗き迷はなどかあらまじ
第二十五番 津照寺 法の船入るか出づるかこの津寺 迷うわが身をのせてたまえや
第二十六番 金剛頂寺 住生に望みをかくる極楽は 月のかたむく西寺の空
第二十七番 神峯寺 みほとけの 恵の心神峯 山も契いも高き水音
第二十八番 大日寺 露霜と罪を照らせる大日寺 などか歩みを運ばざらまし
第二十九番 国分寺 国を分け宝を積みて建つ寺の 末の世迄の利益のこせり
第三十番 善楽寺 人多く立ち集れる一の宮 昔も今も栄えぬるかな
第三十一番 竹林寺 南無文殊三世諸仏の母と聞く 我も子なれば乳こそほしけれ
第三十二番 禅師峰寺 静かなる我がみなもとの禅師峰寺 浮かぶ心は法の早船
第三十三番 雪蹊寺 旅の道うえしも今は高福寺 のちのたのしみ有明の月
第三十四番 種間寺 世の中にまける五穀の種間寺 深き如来の大悲なりけり
第三十五番 清瀧寺 澄む水を汲めば心の清瀧寺 波の花散る岩の羽ごろも
第三十六番 龍寺 わづかなる泉に棲める龍は 仏法守護のちかいとぞ聞く
第三十七番 岩本寺 六つのちり五つの社あらわして 深き仁井田の神のたのしみ
第三十八番 金剛福寺 ふだらくやここは岬の舟の棹 とるも捨つるものりのさだ山
第三十九番 延光寺 南無薬師諸病悉除の願こめて 詣る我が身をたすけましませ
 愛媛県  菩提の道場
第四十番 観自在寺 心願や自在の春に花咲きて 浮世のがれて住むやけだもの
第四十一番 龍光寺 この神は三國流布の密教を 守り給はん誓いとぞきく
第四十二番 仏木寺 草や木も仏になれる仏木寺 なほ頼もしき鬼畜人天
第四十三番 明石寺 聞くならく千手不思議の力には 大磐石もかるくあげいし
第四十四番 大宝寺 今の世は大悲のめぐみ菅生山 ついには弥陀の誓ひをぞ待つ
第四十五番 岩屋寺 大聖の祈る力のげに岩屋 石の中にも極楽ぞある
第四十六番 浄瑠璃寺 極楽の浄瑠璃世界たくらへば うくる苦楽は報ひならまし
第四十七番 八坂寺 花を見て歌よむ人は八坂寺 三仏ぜうの縁とこそ聞け
第四十八番 西林寺 弥陀仏の世界をたづね行きたくば 西の林の寺にまいれよ
第四十九番 浄土寺 十悪の我が身を棄てずそのままに 浄土の寺へまゐりこそすれ
第五十番 繁多寺 よろづこそ繁多なり共怠らず 諸病なかれと望み祈れよ
第五十一番 石手寺 西方をよそとは見まじ安養の 寺にまいりてうくる十楽
第五十二番 太山寺 太山へのぼれば汗の出でけれど 後の世思へば何の苦もなし
第五十三番 圓明寺 来迎の弥陀の光の圓明寺 照りそふ影は夜な夜なの月
第五十四番 延命寺 くもりなき鏡の縁とながむれば 残さず影をうつすものかな
第五十五番 南光坊 このところ三島に夢のさめぬれば 別宮とても同じ垂迹
第五十六番 泰山寺 みな人の参りてやがて泰山寺 来世の引導たのみおきつつ
第五十七番 栄福寺 この世には弓矢を守る八幡なり 来世は人を救う弥陀仏
第五十八番 仙遊寺 立ちよりて作礼の堂に休みつつ 六字を唱へ経を読むべし
第五十九番 国分寺 守護のため建ててあがむる国分寺 いよいよめぐむ薬師なりけり
第六十番 横峰寺 たて横に峰や山辺に寺たてて あまねく人を救ふものかな
第六十一番 香園寺 後の世を思へば詣れ香園寺 止めてとまらぬ白滝の水
第六十二番 宝寿寺 さみだれの後に出でたる玉の井は しらつぼなるや一の宮川
第六十三番 吉祥寺 身の内の悪しきひほうを打ちすてて みな吉祥を望みいのれよ
第六十四番 前神寺 前は神うしろは仏極楽の よろづの罪をくだくいしづち
第六十五番 三角寺 おそろしや三つの角に入るならば 心をまろく慈悲を念ぜよ
 香川県  涅槃の道場
第六十六番 雲辺寺 はるばると雲のほとりの寺に来て つきひを今は麓にぞ見る
第六十七番 大興寺 植えおきし小松尾寺を眺むれば 法の教の風ぞ吹きぬる
第六十八番 神恵院 笛の音も松吹く風も琴弾くも 歌ふも舞ふも法のこゑごゑ
第六十九番 観音寺 観音の大悲のちから強ければ 重き罪をも引きあげてたべ
第七十番 本山寺 本山に誰か植えける花なれや 春こそたをれたむけにぞなる
第七十一番 弥谷寺 悪人とゆきつれなむも弥谷寺 ただかりそめもよき友ぞよき
第七十二番 曼荼羅寺 わずかにも曼荼羅おがむ人はただ ふたたび三たびかへらざらまし
第七十三番 出釈迦寺 迷ひぬる六道衆生すくはんと 尊き山に いづる釈迦でら
第七十四番 甲山寺 十二神味方にもてる戦には おのれと心かぶと山かな
第七十五番 善通寺 我すまばよもきえはてじ善通寺 深き誓いの法のともしび
第七十六番 金倉寺 まことにも神仏僧をひらくれは 真言加持のふしぎなりけり
第七十七番 道骼 ねがひをば仏道隆に入りはてて 菩提の月を見まくほしさ
第七十八番 郷照寺 踊りはね念仏唱ふ道場寺 拍子をそろへ鉦を打つなり
第七十九番 天皇寺 十楽のうき世の中をたづぬべし 天皇さへもさすらひぞある
第八十番 国分寺 国を分け野山をしのぎ寺ゝに 詣れる人を助けましませ
第八十一番 白峰寺 霜さむく露白妙の寺のうち み名を称ふる法のこえごえ
第八十二番 根香寺 よひのまの妙ふる霜の消えぬれば あとこそかねの勤行のこえ
第八十三番 一宮寺 讃岐一宮のみ前にあふぎきて 神の心を 誰かしらゆう
第八十四番 屋島寺 梓弓やしまの寺に詣でつつ 祈りをかけて勇むもののふ
第八十五番 八栗寺 煩悩を胸の智火にて八栗をば 修行者ならでたれかしるべき
第八十六番 志度寺 いざさらば今宵はここに志度の寺 祈りの声を耳にふれつつ
第八十七番 長尾寺 あしびきの山鳥の尾の長尾寺 秋の夜すがらみ名を唱えよ
第八十八番 大窪寺 南無薬師諸病なかれと願ひつつ 詣れる人はおほくぼのてら
高野山 ありがたや高野の山の岩かげに 大師はいまだおわしますなる