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関健一写真展 |
飾るという行為は猿から人への進化の分水嶺を決める指標の一つだそうですが、美術や建築においては飾りを排除するのが「現代的」だという考えがまだまだ大きな力を持っている様に思います。ブルーノ・タウトによって「発見」された日本美術における簡潔の美も、その文脈の中で考えても良いのかもしれません。最近の伊藤若冲の人気や日光陽明門の復権はそのようなものだけを優れた日本美術だとする考えに対するアンチテーゼなのではないでしょうか。 飾ることは人間の本能ですから、いくら抑圧されても止む事は無いでしょう。過剰な装飾で歪んだ真珠と揶揄されたバロック美術は空間を埋め尽くす事で安心を得ようとしているかのようです。その楽しさや人間くささに励まされて写真においても過剰な物を追求してみたいとイメージの重なりによる作品を制作してきました。 以前はイメージを重ねる時にアナログ的な手法をとっていましたが、今回はオリジナルこそフィルム、デジタルと多様ですが合成の作業は全てコンピュータ上で行いました。この手法はとても自由な反面「写真らしさ」から離れて、いわゆるコンピューターグラフィックになる危険があると制作中に感じました。CG的なフラット感を排し写真的な「生」な感じを残す事を大切にしようと思いました。皆様の厳しいご批判を頂ければ幸いです。 |
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