シーボルト江戸参府紀行日程 1826年(文政9年)
日数 西暦 和暦 天候 行 程 日  誌
1 2/15 1/9 出島−諫早 威福寺での別れの宴・日本の気候・この地方の植物群・温泉岳および九州の温泉・一向宗の寺院
2 2/16 1/10 諫早−大村−彼杵 大村の真珠・フキ・天然痘の隔離
3 2/17 1/11   彼杵−嬉野−塚崎(武雄) ニノ瀬のクスノキ・嬉野と塚崎の温泉
4 2/18 1/12 塚崎−小田−佐賀−神崎 小田の馬頭観音と梵字・佐賀について
5 2/19 1/13 神崎−山家 筑後川流域の農業・二度の収穫・ハゼノキと蝋燭・山家の天産物収集館・筑前藩主の別荘
6 2/20 1/14 山家−木屋瀬 四季の植物群・キジ・内陸部高地の住民
7 2/21 1/15 木屋瀬−小倉 渡り鳥の捕獲
8 2/22 1/16 小倉−下関 小倉の市場・コンパス測量・海峡の渡航・与次兵衛瀬の記念碑・二人の市長
9 2/23 1/17 下関滞在 門人の来訪・カニの眼
10 2/24 1/18 下関 早鞆岬と阿弥陀寺・安コ天皇廟・伊藤杢之允の招待
11 2/25 1/19 下関 日本人の知識欲・萩の富豪熊谷五右衛門義比
12 2/26 1/20 下関 門人、知友来訪・門人の学位論文提出・病人の診療と手術
13 2/27 1/21 下関 近郊の散策・六連島・捕鯨について
14 2/28 1/22 下関 薬品応手録について・コーヒーの輸入
15 3/1 1/23 下関 正午過ぎ乗船 ブロムホフの詩・下関の市街と神社仏閣について
16 3/2 1/24 下関出帆  
17 3/3 1/25 船中 夜風強まり屋代島の近くに舟をつなぐ
18 3/4 1/26   屋代島の東南牛首崎に上陸・象の臼歯の化石発見・三原の沖に停泊
19 3/5 1/27 船中 水島灘にはいる・阿伏兎観音・琴平山を望む・内海の景観・日比に停泊
20 3/6 1/28 早朝上陸 日比の塩田と製塩法
21 3/7 1/29 日比−室津上陸 室のホテルについて(建築様式・家具など)
22 3/8 1/30 室滞在 室の付近について・娼家・室明神・室の産物
23 3/9 2/1 晴、夜雪 室−姫路 肥料・穢多・非人・シラサギ・ヒバリ・大名の献上品など
24 3/10 2/2 姫路−加古川 高砂の角力者の招待
25 3/11 2/3 加古川−兵庫 敦盛そば・兵庫の侍医某来訪
26 3/12 2/4 兵庫−西宮 楠正成の墓・生田明神
27 3/13 2/5 吹雪 西宮−大坂  
28 3/14 2/6 快晴 大坂滞在 多数の医師来訪・薬品応手録印刷できる
29 3/15 2/7 大坂 二、三の手術を行なう・動脈瘤
30 3/16 2/8 大坂 鹿の畸形・飛脚便について
31 3/17 2/9 大坂−伏見 淀川の灌漑など
32 3/18 2/10 伏見−京都 小森玄良、新宮涼庭らと会う
33 3/19 2/11 京都滞在 小森玄良、小倉中納言来訪
34 3/20 2/12 京都 多数の医師が病人を伴って来る
35 3/21 2/13 京都 来訪者多数・名所見物を帰路に延ばす
36 3/22 2/14 京都 二条城・京都は美術工芸の中心地
37 3/23 2/15 京都 天文台・京都の人口
38 3/24 2/16 京都 明日の出発準備
39 3/25 2/17 京都−草津 日付はないが琵琶湖付近の風景の記述
40 3/26 2/18 草津−土山 梅木の売薬・植物採集の依頼・三宝荒神
41 3/27 2/19 土山−四日市 鈴鹿山のサンショウウオ
42 3/28 2/20   四日市−佐屋(原文 Yazu) 二度の収穫・桑名の鋳物
43 3/29 2/21 佐屋−宮−池鯉鮒 水谷助六、伊藤圭介、大河内存真の宮から同行・駕籠の中の読み書き
44 3/30 2/22 池鯉鮒−吉田 矢矧橋
45 3/31 2/23 曇 雨空 吉田−浜松 雲母の採集・白魚
46 4/1 2/24 浜松−掛川 秋葉山・商館長ヘンミーの墓
47 4/2 2/25 晴 寒 掛川−大井川−藤枝 大井川の渡河・川人足
48 4/3 2/26 強雨 藤枝−府中 軟骨魚類の加工・駿府の木細工と編細工・支那ジャンクの漂着
49 4/4 2/27 府中−沖津 ウズラ、アホウドリを買う・沖津川増水・上席検使に化学実験を見せる
50 4/5 2/28 快晴 沖津−蒲原 製紙・急造の橋
51 4/6 2/29 快晴 蒲原−沼津 富士川の舟・富士山の高度・原の植松氏の庭園
52 4/7 3/1 沼津−箱根−小田原 箱根山脈の高度測定・関所・中津侯の家臣神谷源内が一行を出迎える
53 4/8 3/2 小田原−藤原 旅館満員で娼家に泊まる
54 4/9 3/3 藤沢−川崎 長崎屋源右衛門出迎え
55 4/10 3/4 川崎−江戸 薩摩中津両侯大森で、桂川甫賢ら品川で出迎え・江戸の商店
56 4/11 3/5   江戸滞在 面会ゆるされず、刺を通じたもの桂川甫賢・神谷源内・大槻玄沢ら・夜中津の老侯来訪
57 4/12 3/6   江戸 終日荷解き・薩摩侯より贈物・夜中津侯来訪
58 4/13 3/7   江戸 桂川甫賢、宇田川榕庵から乾腊植物をもらう・幕府の侍医の階位
59 4/14 3/8   江戸 将軍、その世子への献上品を発送
60 4/15 3/9   江戸 中津島津両侯の正式訪問・日本の貴族
61 4/16 3/10   江戸 最上コ内来訪し、エゾ、カラフトの地図を借りる・同地方について・アイヌ
62 4/17 3/11   江戸 桂川甫賢・大槻玄沢来訪
63 4/18 3/12   江戸 高橋作左衛門来訪
64 4/19 3/13   江戸 桂川甫賢来訪し、ジーボルトの長期滞在の見通しを伝える
65 4/20 3/14   江戸 豚の眼の解剖および手術の講義を幕府の医官にする・地震
66 4/21 3/15   江戸 この日まで朝の時間を最上コ内とエゾ語を研究・針医石坂宗哲ら来訪・謁見延期となる
67 4/22 3/16   江戸 付添いの検使、研究に対して好意を示す
68 4/23 3/17   江戸 幕府の医師に種痘を説明
69 4/24 3/18   江戸 天文方の人びと来訪
70 4/25 3/19   江戸 将軍家の侍医にベラドンナで瞳孔を開く実験をみせる・栗源瑞見みごとな図譜を示す
71 4/26 3/20   江戸 兎唇の手術・種痘の方法を教える
72 4/27 3/21   江戸 再び二人の子供に種痘
73 4/28 3/22   江戸 ラッコの毛皮を売りにくる
74 4/29 3/23   江戸 天文方来訪
75 4/30 3/24   江戸 幕府の侍医らジーボルトの長期江戸滞在を幕府に申請する決議を行った知らせを受ける
76 5/1 3/25   江戸 登城し将軍に拝謁・拝礼の予行と本番・西の丸へ・坊主・老中若年寄を訪礼・婦人たち見物の的となる
77 5/2 3/26   江戸 町奉行・寺社奉行を訪問
78 5/3 3/27   江戸 庶民階級の日本人との交際
79 5/4 3/28   江戸 将軍および世子に暇乞いのため謁見・江戸の市街構造・江戸城・市中・市制・貧富の差
80 5/5 3/29   江戸 使節の公式の行列
81 5/6 3/30   江戸 官医来訪
82 5/7 4/1   江戸 中津侯、グロビウス(高橋作左衛門)来訪・エゾ・サガレンの地図を示す
83 5/8 4/2   江戸 漢方医がジーボルトの江戸滞在延期に反対するという
84 5/9 4/3   江戸 知友多数来訪〔10以後記事を欠く〕
85 5/10 4/4   江戸  
86 5/11 4/5   江戸  
87 5/12 4/6   江戸  
88 5/13 4/7   江戸  
89 5/14 4/8   江戸  
90 5/15 4/9   江戸 高橋作左衛門が日本地図を示し、後日これを贈ることを約す
91 5/16 4/10   江戸 滞在延期の望みなくなる
92 5/17 4/11   江戸 明日江戸出発と決まる
93 5/18 4/12 江戸−川崎 江戸の富士
94 5/19 4/13 川崎−藤沢 鶴見付近のナシの棚
95 5/20 4/14 藤沢−小田原  
96 5/21 4/15 小田原−三島 山崎で江戸から同行した最上コ内と別れる
97 5/22 4/16 三島−蒲原 再び植松氏の庭園をみる
98 5/23 4/17 蒲原−府中 牛車について
99 5/24 4/18 府中−日坂 薬用植物のこと
100 5/25 4/19 日坂−浜松 高良斎の兄弟来る
101 5/26 4/20 浜松−赤坂 植物採集とその整理
102 5/27 4/21 豪雨 赤坂−宮 宮で水谷・伊藤らと会う
103 5/28 4/22 宮−桑名−四日市 宮の渡し舟のこと
104 5/29 4/23 四日市−関  
105 5/30 4/24 強雨 関−石部 夏目村の噴泉
106 5/31 4/25 石部−大津 川辺の善性寺の庭・タケの杖・瓦の製法
107 6/1 4/26 大津−京都  
108 6/2 4/27 京都滞在 友人門人、小森、新宮ら来訪・京都とくに宮廷について
109 6/3 4/28 京都 宮廷に関する記事
110 6/4 4/29 京キ 小森玄良から宮廷の衣裳の話
111 6/5 4/30 京キ 小森の家族と過ごす
112 6/6 5/1 京キ 所司代・町奉行を訪問
113 6/7 5/2 京キ−伏見−大坂 知恩院・祗園社・清水寺・大行寺・方広寺・3十三間堂などを見る・小森と伏見で会い淀川をくだる
114 6/8 5/3 大坂滞在 ただいこの日については日付はないが、大坂についての詳しい記述
115 6/9 5/4 大坂 研究用品の購入と注文
116 6/10 5/5 大坂 心斎橋・天下茶屋・住吉明神・天王寺にゆく・植木屋・動物商のこと
117 6/11 5/6 大坂 町奉行および製銅家を訪問
118 6/12 5/7 大坂 芝居見物・日本の劇場・妹背山の芝居
119 6/13 5/8 大坂 来訪者多数・明日は出発
120 6/14 5/9 大坂−西宮 肥料船のこと
121 6/15 5/10 西宮−兵庫  
122 6/16 5/11   兵庫 向い風のため出帆延期
123 6/17 5/12   兵庫 向い風のため出帆延期
124 6/18 5/13   兵庫 向い風のため出帆延期
125 6/19 5/14     夜兵庫を出帆
126 6/20 5/15   船中 朝 室の沖合で経度観測
127 6/21 5/16   船中 朝には室の沖合−日比半島と讃岐の間を進む−正午与島にゆく・造船所
128 6/22 5/17   船中 夜備後の海岸に向かって進み、陸地近くに停泊
129 6/23 5/18   船中 引き船で鞆に入港・正午上陸・夜半に港外へ
130 6/24 5/19   船中 島から島へ進み、夕方御手洗沖・夜半停泊
131 6/25 5/20   船中 御手洗より患者が来て診察をもとむ・家室島の近くに停泊
132 6/26 5/21   船中 風雨強く午後出帆し、上関瀬戸を経て夜上関入港
133 6/27 5/22     上陸し上関見物・室津へゆく・夜出港
134 6/28 5/23   船中 午後二時過ぎ下関入港
135 6/29 5/24   下関滞在 海峡の図を受け取る・友人来訪
136 6/30 5/25   下関−小倉  
137 7/1 5/26   小倉−飯塚  
138 7/2 5/27   飯塚−田代  
139 7/3 5/28   田代−牛津  
140 7/4 5/29   牛津−嬉野  
141 7/5 6/1   嬉野−大村 出島の友人みな元気との知らせを受ける
142 7/6 6/2   大村−矢上 出迎えの人その数を増す
143 7/7 6/3   矢上−出島 正午、同郷人に迎えられ出島につく
参考文献
・江戸参府紀行 ジーボルト著 斎藤 信訳 (平凡社)
・シーボルト 板沢 武雄著 (吉川弘文館)