法話
 


「布施のこころ」

         
  今年も国の内外で嫌な事件が多く耳に入ってきました。いかに人間が愚かなものかと悲しくなるほどです。世の中の何かが狂っているようです。何時の世も人間とは愚かなもので、だから凡夫と表現するのでしょうが、今の世は以前より、凡夫なりの秩序が崩れて来ているように感じます。

 今の世の迷いの最大の根源は「欲」特に「金欲」に有るように思います。世界の価値観が資本主義一辺倒になり、それぞれの国の利権を巡り、争いが有ります。イランの紛争もその最たるものでしょう。国内の問題にしても原因の主は「お金」が絡んでいます。

 仏さまも教えの初めには必ず「布施」が出てきます。「布施」とは施しですが、相手を哀れんで施すものではなく、貰っていただく「受け取って下さり有難う」と言う打算のない行為です。つまり「喜捨」喜んで捨てるのです。

 四国八十八ケ所巡拝が人気をはくしています。お四国は一度巡拝すると、又行きたくなる所だと言われます。それは四国には「お接待」という布施の心が宿っていて、乗り物の席、食べ物、触れる物すべてに「分け与える心」があります。又体の弱い人を優先し、強いものが後を守る。人々が一度そうした世界に触れると、又触れてみたくなる、これがお四国の魅力です。さすがお大師様のお国です。

 これからは、私達は自分の身の周りから、 布施の心を持ってお大師様のお気持ちに近付きたいものです。