法話
 
『今を考える』

         
 
今年も国の内外で色々な事が有りました。北朝鮮の問題。イラク戦後処理の問題。国内に於いても冷夏のため冷害、十勝沖地震、景気低迷等、又嫌な事件が多発、今年もまた余り良い話が聞かれない年でありました。

 しかしこうした国内外の問題についてはすべて根本に経済、つまりお金の問題が絡んでいるように思われます。つまり今の国際社会はお金がすべてを補うことの出来るものかのようです。

 昨年私はお寺の皆さんと四国遍路をさせて頂きました。私にとって何度目かのお遍路ですが、行くたびに便利になり、足腰の弱い方でも1〜2の札所を除き殆どの札所の本堂、大師堂までお参りすることが出来ます。
 参拝された中には、今まで本、テレビ、ビデオ等で想像をめぐらせていた方が、夢にまで見たお四国を自分の足で参拝をして、感激で涙を流されている姿を何度か見ました。
 唯お大師様が自ら歩まれた道筋を想像することより、自分の足で歩む事の方が、よりお大師様に近づき、お大師様と命を共有することが出来るとは思います。  
 文明と豊かさがお四国を、遠隔の地に住む人、又体の弱い方々を身近にしてくれました。  

 文明と豊かさは確かに私達の求める物の距離を短くし、門戸を広くしました。でも反面求められた物の容料は小さくなったと思われます。    

 札所のご住職の話です。「戦前戦後この札所の参道には帰る国も家も無く重い身体の不自由をかかえ、命をかけてお接待を求められていた方が多数おられた。お遍路の風景も大きく変リました。でもどちらのお遍路の方がお大師様にご利益をいただいたのでしょう。」  

 21世紀の日本人が考えなくてはいけない問題だと思います