日本の航路標識紀行へようこそ。さあ、これから皆さんを日本各地の航路標識へご案内いたします。 welcome to Nagasaki kaigi MARINET |
1 航路標識とは、いったい何だ? |
航路標識とは、船舶を安全で経済的な航路へ導くための施設をいいます。この場合の航路とは、陸上の皆さんが考えているようななんとなく船が通る道筋のこ とではなく、昔から多くの船舶が利用してきた常用航路を指します。常用航路は、陸上に設置された高速道路のようなもので、その位置や長さ等が厳密に定め られています。一船の最高責任者である船長は、通常、この常用航路をこれに忠実に沿って船舶を航行させています。そのような航路を船舶に指導する施設 が航路標識なのです。 |
2 航路標識の種類と基数 |
海上保安庁交通部が公表している資料(平成25年3月31日現在)によると、現在、日本に敷設されている航路標識の種類と基数は、下表のようになっています。 |
大別 | 中別 | 種類 |
説明 |
基数 | 備考 |
光波標識 | 夜標 | 灯台 | 船舶が陸地、主要変針点又は船位を確認する際の目標とするために 沿岸 に設置した構造物及び港湾の所在、港口などを示すために港湾 などに設置した構造物で、灯光を発し、構造が塔状のものを灯台という。 |
3229 | |
灯標 | 船舶に岩礁、浅瀬などの障害物の存在を知らせるため又は航路の所 在を示すために、岩礁、浅瀬などに設置した構造物で灯光を発するもの を灯標という。 |
524 | |||
照射灯 | 船舶に障害物を知らせるために、暗礁、岩礁、防波堤の先端などを照射 するものを照射灯という。 |
145 | |||
指向灯 | 通航困難な水道、狭い湾口などの航路を示すため、航路の延長線上の 陸地に設置し、白光により航路を、緑光により左舷危険側を、赤光によ り右舷危険側をそれぞれ示すものを指向灯という。 |
17 | |||
導灯 | 通航困難な水道、狭い湾口などの航路を示すため、航路の延長線上の 陸 地に設置した2基以上を一対とする構造物で、灯光を発するものを導 灯と いう。 |
50 | |||
灯浮標 | 船舶に岩礁、浅瀬などの障害物の存在を知らせるため又は航路の所在 を示すために海上に浮かべた構造物で、灯光を発するものを灯浮標とい う。 |
1202 | |||
昼標 | 立標 | 船舶に岩礁、浅瀬などの障害物の存在を知らせるため又は航路の所在 を示すために、岩礁、浅瀬などに設置した構造物で、灯光を発しないもの を立標という。 |
39 | ||
浮標 | 船舶に岩礁、浅瀬などの障害物の存在を知らせるため又は航路の所在 を示すために海上に浮かべた構造物で、灯光を発しないものを浮標とい う。 |
22 | |||
電波標識 | ロランC局 | ロランC局は、船舶がロランC受信機によって船位を測定するための100 KHzの長波の電波を発射する局である。ロランC局は、1主局と2つ以上 の従局からなる。 |
2 | (有効距離) 昼夜間 2,000Km |
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ディファレンシャル GPS |
船舶がDGPS受信機によってGPSにより測定した位置の誤差補正値及び GPS衛星の異常情報を得るための電波を発射する施設をいう。 |
27 | 昼夜間 200Km | ||
無線方位信号所 | レーダービーコン | 船舶のレーダー映像面上に送信局の位置を輝線符号の始点で表すよう に船舶のレーダーから発射された電波に応答して電波(マイクロ波)を発 射する施設をいう。 |
30 | 昼夜間 9〜17Km | |
その他 | 船舶通航信号所 | レーダー、テレビカメラ等により港内、特定の航路及びその付近水域又は 船舶の輻輳する海域における船舶交通に関する情報を収集し、その情報 を無線電話、一般電話又は電光表示板により船舶に通報又は表示する 施設をいう。 |
35 | ||
潮流信号所 | 潮流が強く通航困難な海峡において、潮流の流向及び流速の変化を電 光表示板や電波により通報する施設をいう。 |
7 | |||
(合計) | 5327 |
3 日本の航路標識への旅 |
標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
Leading Lights(英訳) |
6327.20 ○ 6327.21 |
長崎漁港三重導灯(前灯) 32 49.3N 129 45.6E F Y (不動黄光) 長崎漁港三重導灯(後灯) |
写真は、新長崎漁港に船 舶が出入りする航路の延 長線上の陸地に、2基1対 で設置された導灯である。 この港に出入りする船舶は、 これらの2灯(黄灯)を一線 に見て航行することにより、 航路から外れることなく確 実に同港に出入りしている H16/12/05撮影 |
○ |
○ |
標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
Bridge Marks(英訳) |
長崎港女神大橋橋梁標 @ 赤色正三角形(頂点上): 右側端標 A 白色円形(赤縦帯2本以 上):中央標 B 緑色正方形:左側端標 |
写真は、長崎港の港口に 架かっている女神大橋の 橋梁標である。昼間、同大 橋の真下にある港内航路 を経由して長崎港に出入り する船舶は、この橋の橋桁 に取り付けた橋梁標を見て、 船舶と同航路との関係位置 を確かめながら同港に出入 りしている。 H17/12/15撮影 |
○○ |
○ |
標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
Stream Signal(英訳) |
8007 | 火ノ山下潮流信号所 33 57.9N 130 57.8E 電光板による潮流信号 |
写真は、関門海峡の火ノ山 下潮流信号所から発してい る電光板による潮流信号で ある。数字の8は、現在、8 ノットの潮流が流れているこ とを通峡船舶に知らせてい る。 |
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○ |
標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
Local Light Buoy(英訳) |
5421 | 早鞆瀬戸潮流観測灯浮 標 33 57.7N 130 57.6E Fl W G 3s (半面単閃白光 半面単 閃緑光 毎3秒にそれ ぞれ1閃光) |
写真は、早鞆瀬戸の左舷 側に設置された珍しい潮 流観測灯浮標(特定標識) である。この灯浮標は、潮 流により回転し、現在、潮 流が標体の緑色側から白 色側へ流れていることを示 している。(標体の表面は、 半面緑色、半面白色となっ ている。) H19/01/05撮影 |
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○ |
標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
Light Post(英訳) |
6336 | 長崎港三菱造船蔭ノ尾岸 壁灯柱 32 42.3N 129 50.0E Fl (2) R 4s (2閃赤光 毎4秒に 2閃光) |
写真は、長崎港三菱造船 蔭ノ尾岸壁の北端に設置 されている日本では珍しく なった灯柱である。この灯 柱の高さは11メートルで、 塗り色が赤色なので、昼 間、同岸壁へ接岸する大 型船の好目標となってい る。 H20/03/15撮影 |
○ |
○ |
標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
L’t Buoy(英訳) |
6335 | 長崎港楫懸左舷灯浮 標 32 42.7N 129 49.6E Fl (2) G 6s (2閃緑光 毎6秒に 2閃光) |
写真は、長崎港三菱造船 香焼工場の沖合に設置さ れている左舷灯浮標である。 長崎港に出入りする船舶に 標識の左舷側に岩礁等の 障害物が存在し、右舷側に 可航水域が存在することを 標示している。(背後の大型 クレーンは、三菱造船香焼 工場の100万 トン・ドック内 のもの) H20/03/15撮影 |
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○ |
標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
L’t Buoy(英訳) |
6342 | 長崎港女神鼻右舷灯浮 標 32 43.1N 129 51.3E Fl R 3s (単閃赤光 毎3秒に 1閃光) |
写真は、長崎港女神鼻沖 に設置されている右舷灯 浮標である。長崎港に出入 りする船舶に標識の右舷 側に岩礁等の障害物が存 在し、左舷側に可航水域が 存在することを標示してい る。 H20/03/17撮影 |
○ |
○ |
標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
L’t Buoy(英訳) |
6343 | 長崎港ゴンベイ出シ北方 位灯浮標 32 41.9N 129 50.5E Q F (連続急閃白光) |
写真は、長崎港ゴンベイ出 シ沖に設置されている北方 位灯浮標である。付近を航行 する船舶に標識の北側に可 航水域が存在し、南側に岩 礁等の障害物が存在するこ とを標示している。
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○ |
○ |
標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
Eternal L’t (英訳) |
0000 | 平戸港口の常夜灯 常夜灯は、”常灯の鼻”(オ ランダ商館跡の一角の名 称であって、嘗てオランダ 人が築いた石積みの防波 堤の東端の鼻のこと。)に 立っている。 F (不動白光) |
写真は、1643年に平戸港の 入り口に設置さられた常夜 灯(灯台の原点)である。平戸 港が日本初の貿易港として 栄えていたころ、同港に入港 する異国帆船が好目標として 利用 していたものである。 今は、平戸瀬戸を通過する船 舶の安全を見守っている。 H21/4/24撮影 |
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標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
L't Beacon (英訳) |
6227 | 小田助瀬右舷灯標 33 21.6N 129 34.2E Mo (B) R 8s (モールス符号赤光 毎8秒) |
写真は、平戸瀬戸の北部 に設置された赤塗りの右 舷灯標で、平戸瀬戸を航行 する 船舶に対して、同標 識より右舷側(平戸島側)に 岩礁、浅瀬などの障害物が 存在し、左舷側に可航水域 が存在す ることを標示して いる。 H21/4/24撮影 |
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○ |
標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
L't House (英訳) |
6261 | 高後埼灯台 33 05.8N 129 40.1E Fl W 6s (単閃白光 毎6秒に 1閃光) |
写真は、佐世保湾口に設 置された高さ15mの白塔 形の高後埼灯台である。 同灯台は、灯高が高い(平 均水面上64mの高さにあ る。)ので、佐世保港へ出入 りする船舶の絶好の目標 となっている。高後埼灯台 の周囲は、立入 り禁止区 域となっているため、写真は 対岸の寄船鼻から撮ったも のである。 H22/5/14撮影 |
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○ |
標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
L't Beacon (英訳) |
6331 | 平瀬孤立障害灯標 32 42.5N 129 47.1E Fl (2) W 5s (群閃白光 毎5秒に 2閃光) |
写真は、長崎港口の西方 約2海里の地点に設置さ れた高さ14mの黒色球形 頭標2個付黒地に赤横帯 1本塔形の平瀬孤立障害 灯標である。同灯標は、標 識の位置に孤立した岩礁及 び浅瀬が存在することを付 近を航行する船舶に標示し ている。 H23/4/12撮影 |
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標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
L't House (英訳) |
6330 | 伊王島灯台 32 42.7N 129 45.8E Fl (4) W 30s (群閃白光 毎30秒に 4閃光) |
写真は、長崎港の西方海 上にある伊王島の西端に 設置された白塔形の伊王 島灯台である。同灯台は英 国人技師ブラントンの設計 指導により明治3年6月に初 点灯した。以来、原爆による 受難を経験しながらも長崎 港へ出入りする数多くの船 舶の絶好の目標となって活 躍している。 H23/4/12撮影 |
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標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
L't House (英訳) |
0715 | 角島灯台 34 21.0N 130 50.6E Fl W 5s (単閃白光 毎5秒に 1閃光) |
写真は、山口県の角島に設 置された角島灯台である。 この灯台は、イギリス人技 師 R・Hブラントンの設計指 導により、明治9年3月1日 に完成点灯した。灯塔は御 影石造りで、堅牢で高くて美 しい。以来,日本海を経由し、 関門方面へ向かう船舶の好 目標として活躍している。 H24/5/8撮影 |
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標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/設備 |
業務の概要 |
(英訳) |
8110.7 | 関門海峡海上交通セン ター (略称:Kanmon-Martis) 33 53.6N 130 55.3E 関門海峡の航行情報の 提供及び航行管制に必 要なレーダ、電光掲示板、 VHFチャンネル、その他 加入電話等を備えている |
写真は、関門海峡海上交通 センターである。平成元年6 月1日、関門海峡における海 難の防止を目的として運用 を開始した。主な業務は、航 路の航行制限状況、海難等 の状況、巨大船の航路入航 予定、早鞆瀬戸の潮流の状 況、その他航行の安全に必 要な情 報を提供するとともに、 視界 不良時の航路航行制 限の指示等の管制業務を行 っている。 H25/9/28撮影 |
Kanmon KaikyoTraffic Advisory Service Center |
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標識番号 |
スナップ写真 |
名称/位置/灯質 |
説明 |
L't House (英訳) |
5409 F5312 |
部埼灯台 33 57.4N 131 01.5E F Fl W 15s (連成不動単閃白光 毎15秒に1閃光) |
写真は、関門海峡東口の九 州側、企救半島(きくはんと う)の北東端に設置された部 埼灯台である。同灯台は、イ ギリス人技師R・Hブラントン の指導により、明治5年1月 22日に完 成初点灯した。 以来、周防灘から関門海峡 に入航する多くの船舶の好 目標となっている。写真右上 は、早鞆瀬戸の潮流情報を 知らせる 電光表示板である。 H26/7/8撮影 |
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長崎海技マリネット |
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