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過去の記録・Boys 10 Daragh, my love! ダブリンの切ない思い出。 ダブリン記をいずれ書くつもりでいたのだけれど。強烈に残った思い出は、やっぱ、彼のことばかり。今となっては、ダブリンで他に覚えているのは・・・。トリニティ・カレッジの脇を車で通ったことと。居酒屋、居酒屋、居酒屋・・・・。なんでダブリンが大好きなのか、って考えたら。やっぱ、酒(ギネスなど、スタウトのドラフト!)を媒体とした、集いの場所。美しいダブリンについては、書けそうもないので。彼について書くことにした。 でもね。この『酒』=『集いの場』って、ワタシ的には、ものすごい、インパクトあったの。ダブリンは、アイルランドの首都、ですが。ものすごい田舎でね。東京生まれの東京育ち、絶対、田舎では暮らせない、って思っていたワタシの気持ちを変えさせたダブリン。田舎でも、ダブリンなら、暮らせる、って思った。だってねぇ・・・。繁華街に出かけていくまでもなく。住宅地にも、ポコポコあるのよ。パブが! つまり。ワタシは、田舎、とか、都会とかじゃなくて。退屈しなけりゃ、どこでも住めるみたい・・・。 ★★★ かつて、職場にいたアイルランド人、Desmond (デズ)が帰国後、激しく、かなりしつこく、ダブリンにおいで、おいで、おいで、泊るところは用意するから、と誘ってくれていたので。行ってみることにした。もうひとり、お人形さんみたいに可愛い後輩、E子チャンが、行きたい、というので。彼女を連れて。時期は、有休足して前倒しした年末・年始の休暇。 彼女(海外旅行は初めて)の希望もあって、ダブリン入りの前に、トランジットするロンドンにもちょびっと滞在することにした。10年ぶり(子供のころ、行ったことがある)のロンドン。相変わらず、白人の目は冷たい。けっ!なんでだか知らんが。アメリカ好きのワタシには、ロンドンの白人がものすごく、冷たく見える。だって。私たちとは、絶対、目が合わないようにしてるみたいなんだもん。(外国人に対する日本人も、きっとそうなんだろうね。) アメリカじゃ、目が合わなくても、駅で路線図なんかを、ボケッと見てるだけで、"Need help?" と声かけてくれるしね。 とにかく。そういう場所からダブリンに入った私は、もう、感激してしまいまいしたよ。ダブリンの人たちに。行った時期が、年末だったから。彼らも、もうお休みなわけで。着いたその日から、毎晩、呑みにでかけました。楽しかった〜ん。行く先々で、目が合わないようにする、どころか、ジロジロ、見られるのだけど。冷たい視線ではないの。その当時は、ホント、日本人は殆どいなかったみたいだし。珍しがられちゃってね。呑み屋さんなんかだと、特に、無礼講、っていうか。知らんヒトたちが、いっぱい集まってきて、マリアとE子の友達になりたがってくれる。それは、もう、スターになった気分よ。 で、宿泊先は。デズの幼馴染、ターロック(25歳で青年実業家。日本でいう、マンションに独り暮らし。)クンのゲストルームを借りることになった。 だもんで、当然のように。毎日、ターロックとデズとE子とワタシは行動を共にしてました。・・・でね。到着してから3日目、ターロックのお母さんのお誕生日だ、っていうんで。4人そろって、ターロックの実家へお邪魔しました。ほんのちょっと立ち寄っただけなんだけど。ターロックがプレゼント渡すためにね。 そこで、ワタシ的には、運命の出会いをしてしまうわけなんだな、コレが。 ターロックには、お兄さんがいたのです。私たちに挨拶しに出てきたの。私、マジで、よだれ垂らしちゃったんじゃないかな、ってくらい、もう〜〜〜〜〜〜〜〜超、カッコいいヒトでした。間違いなく、美形です。握手なんかを求められて。もう、カラダは震えちゃうし、困ったもんだ。彼の名前は、Daragh (デラ、またはダラ)。ワタシの手を握って、優しいまなざしで私の目を見つめて・・・・。 TVじゃなくて、本物の日本人に会ったのは初めてだ。 ・・・・と言った。さすがに。イタリア人じゃないものね。キミは美しい、なんて、歯の浮いたようなことを言いたかったわけじゃあ、ないのね。しかし。鋭い彼は、たぶん、このとき、即座に。ワタシが彼にひと目惚れしちまったことに気付いたもよう。(いや、鋭くなくても・・・。バレるか。ヘロヘロになっちゃってたから。) デラは。それから、毎晩のように、私たちの宿泊先、ターロックの家に来るようになった。私に会いに? なんて自惚れたりして。うっくっく・・・。 しかし。ダブリンで、ワタシが理解できる英語を話してくれたのは、デズと、このデラだけでした。他のみなさん、もんのすごい、訛りがあってね。デラは、ワタシにぴったし、くっついて、『通訳』になってくれました。英語→英語の。笑っちゃうんだけど。 12月31日。ニューイヤーズ・イヴ。デズたちが、ヨットクラブ(地元のね)のパーティーに連れてってくれた。モチロン、デラも一緒。ずっと彼の隣に座ってたんだけど。宴たけなわになってきて。あっちゃこっちゃ、酒もって歩きまわっている間に。恒例のカウントダウンが始まった。新年、一発目のキスは、じぇったい、デラでなくっちゃ、って見回したのだけど。10秒前では時すでに遅し。Happy New Year!!! と歓声が上がったときには、いきなり、隣に立ってたおばちゃんにキスされちまった。ショック。オバサンもショック。・・・って、あんたがしてきたんだろ! 新年最初のキスが、日本人の女の子なんて、生まれて初めて!ってさ。 あ、そう。ワタシは女性にほっぺた以外のキス、許したこと、ないんやからね! って、顔ではスマイルしながら、泣きそうな気分でいたら。 人ごみかき分けて、デラが、"Maria!!" って言いながら。ワタシめがけて走ってきて、Happy New Year のキスをしてくれました。もぉ〜・・・。10秒、遅かったよ、10秒・・・。 それから、仲間内だけ、ターロックの家に集まることになった。モチロン、デラも一緒。 バスルームでお化粧直してたら、デラが入ってきた。振り返ると、ジィ〜ッとワタシを見てるもんで、『あ、ゴメン、トイレね。』って言って、外に出ようとしたら・・・・。 いきなり、腕をバシッとつかまれて、引き戻されました。こんなことにも、男っぽい、なんて感激しちゃうワタシ。デラが何をしても、もう、目はハ〜ト。 それから、抱きしめられて、濃厚なキスをされて。なんか、危ない方向に進んでいくのですが。外では、トイレを使いたいヒトもいたわけで。ガンガン、ドアを叩かれて。仕方ないので、身なりを整えて、外に出た。 行き先は。ワタシたちが借りてた、ベッドルーム。鍵かけて。 いちゃいちゃの再開。完璧に、デラに溺れてしまってる私。い〜ムードだったのに。今度は、ベッドルームのドアをガンガン叩くヤツが・・・。 デズだった。ものすごい剣幕で、ドアを叩きながら、『ここを開けろッ!今すぐっ!』って怒鳴ってるの。今すぐ、って言われても。ワタシもデラもスッポンポンだし・・・。 デラは、なんか怒ったみたいで、ウルサイ、邪魔するな、ほっといてくれ("Leave us alone!" ふたりを、ね)、みたいなことを言い返してたんだけど。 邪魔が入って、ワタシの方が興ざめしちゃってですねぇ・・・。それを察してしまったデラは、『勝手にしろっ!』って、服着て出て行ってしまいました。あわててローブを着て。部屋にデズを入れると。 E子はどこで寝るんだっ! 自分勝手もいい加減にしろ! というようなことで、怒っておった。しかし。E子はE子で、やっぱ、デズの幼馴染、チャス、ってヤツとよろしくやってたんだし(居間のカウチで、一緒にいた。)なんで、ワタシのしゃ〜わせ邪魔すんのよぉ・・・。 デズは、ブリブリに怒って、帰ってしまった。翌日は、彼の車で空港まで送ってもらうことになってたのに。すっぽかされちゃったら、ど〜すんだ。や、タクシーで行けばいいか。なんてことを考えながら。とぼとぼと、スーツケースに荷物を詰め込んでおると。 『何してるの?』・・・って。デラが部屋に入ってきた。か、帰ったんじゃないの? よかった。怒ってないみたい。荷物の整理をしてるとこ、って言ったのだけど。すすっとよってきて、ローブを脱がされちゃって、ベッドに引きづりこまれたさ。 けどねぇ・・・。なんか、そんな気になれなくなっちゃって。もったいないんだけど。(ホント、今思えば、もんのすご〜く、勿体無い!! 子供、作っちゃうんだった!) デラは諦めて。帰るのかと思ったら。ワタシのベッドで、眠ってしまった。結局。添い寝。ワタシのせいだけど。いや、デズのせいだけど。(ちゃっかり、熟睡しているデラの上半身ネイキッドのお写真、撮らせていただきました。今でもタカラ物!) 翌朝、っていうか。それから数時間後。デズは、ちゃんと迎えにきてくれた。気マズ〜い感じだったのだけど。空港で、お別れするとき、デズが謝った。夕べはごめん。大人げなかった、って。ワタシは・・・。ワタシも一応、お騒がせして、すまん、と謝っておいたけど。(邪魔しちゃってから、謝られてもなぁ・・・。) ★★★ 足しげく通うのは、アメリカでなく、ダブリンにしよう〜かな〜ん、て思ったり。このまま、デラと一緒にいられたら、とか。夢見ておりましたが。デラは、プラマ―でした。配管工、ですね。デズにそう、聞かされたとき。えっ? あのキレイなお顔で、配管工? ・・・て。ちょっとガッカリしてしまったのだけど。デズが、『ダブリンでホワイトカラーは少ないよ。日本と、ちょっと違うと思う』と言った。いや。どっちかって言うと。髪の長かったデラは、ホワイトカラーも似合わんのよ。アーティストだったら、やっぱりね、ってイメージのヒト。 帰国して、この、ガッカリを、当時やはり職場にいたアメリカ人の女性に話すと。 『なに言ってんの、あんた! 配管工、って、物凄く儲かってるのよ!贅沢な悩みだわ!』 って言われた。ふ〜ん・・・。別に。デラは手紙の返事もくれないし。ま、男っぽい、っていうか。筆まめでない、っていうか。結局。つかの間の恋。 2年後、くらいかな。デズからメールが来て。『キミにとっては、面白くないニュースだと思うけど。デラが結婚したよ。』と知らされた。 運命論者ではないが。やっぱ、新年最初のキスが、デラでなかったってのは。結ばれる運命でもなかったのよね。きっと。(でも。過去を振り返っても。完璧にワタシを骨抜きにしたのは、デラだけです。残念だなぁ・・。) ★★★ ちなみに。デズは、ヤキモチ焼いたわけではありません。念のため。彼には、ちゃんとガールフレンドがいましたから。純粋に、なんか、私たちの『父親』みたいな気分だったのでしょうねぇ・・・。怒鳴ったりしちゃったのは。
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