★ 過去の記録・Boys 5・・・っていうか、苦い思い出

ワタシは入社したばかり。22歳。職場には、別に超ハンサムってわけではないが、ものすごく仕事のできる、カッコイイ先輩がいた。しかし。彼には既にファンがおり。同じ職場っていっても、ワタシは違うグループ。彼女は同じグループ。それはもう、献身的に彼に尽くしておった。彼の知らないところで。彼の社服(当時、制服もどきがあった)とか、イスに置いてる座布団のカバーだとか。そういうもの、彼は独身だから、きっとほったらかしだろう、と思った彼女は、毎週末、彼が職場を離れるのを待ち、密かに自宅に持ち帰り、お洗濯して。月曜日には、誰よりも早く出勤し、何事もなかったように、元の位置に戻す。

脱帽。あたしにゃあ、できん。そうしたいヒトが居たとしても。気持ちはあっても。続かないだろうなぁ。

ある日の呑み会(職場の宴会)で、彼の同僚○葉氏がワタシにちょっかい出してきた(新入社員だったしねぇ〜)。陰湿なものではない。セクハラにも値しない接触。『(個人的に)呑みに行こうぜぇ〜。』とか。そんなもん。うっかり、というか。意図的というか。彼女の一途な思いを知っていながら。でも、ワタシもファンなんだも〜んと。ワタシは、この彼に、『イヤです。ワタシ、H○さんの方がスキだも〜ん。』と言ってしまった。

ちなみに。H○さんは、ヒョウキンなところもあるけれど。毎日ネクタイ締めてます。かなりマジメです。素朴です。ワタシは、超派手です。まぁ、服装は、っていうと。TシャツにGパンが殆どでしたが。誰が見てもつりあいません。しかし。

この、ちょっかい出してきた彼は、H○さんの大の仲良し。『えっ? マジ? それ、すっげぇ、朗報!』と言って姿を消した。・・・朗報、ってなんのこっちゃ。

10分ほどすると、なんと、憧れのH○さんがやって来た。

H 『どうも・・・。』

私 『は・・・・。呑んでます?』

H 『・・・・・。』

なんだろか、この気まずい雰囲気は。『ど〜しちゃったんっすかぁ?』

すると、このH○さん、

『あのさ。○葉に聞いたんだけど。・・・はぁ(ため息)。』

どぉ〜しちゃったんだろか。酔っているんだろうけど。顔が赤い。

『・・・・。あのね・・・。今度。・・・・・。いっしょに呑みに行きませんかっ!

・・・・。なに。ワタシと? マジ? こんな派手なオンナでよろしいのでしょうか。けど、ワタシが執拗に強要したんではないし。脅迫もしていない。あちらからのお誘いだ。ラッキィ〜。でも、あの彼女は。面白くないだろうなぁ・・・。一応、彼女とは同期だし・・・。ケンカしたくないし。いや、でも。んなこと気にして、ワタシの幸せ逃しちゃいかんでしょう。もちろん、ワタシは、

『はい。是非っ!』とお返事してしまった。

こうして、このH○さんとのお付き合いが始まってしまった。

最初は、渋谷とか、原宿とかで、デート、っていうか。お食事、っていうか。はっきり言って、呑みまくり。

4回目くらいのデートは。彼のアパートの最寄の駅で待ち合わせとなった。ワタシは見かけによらず、ウブだったんです。当時は。なんか、スーパーで一緒に買い物させられて。ま、お手伝いなのかな、なんて思いながら。付き合いましたが。結果、彼のアパートにたどり着き、当時、料理なんてしたこともないワタシは料理の真似事させられて。お食事終わったら。ヤツは、部屋の真ん中陣取ってたテーブルを脇へ押しやり。・・・襲われた。

先にも書きましたが。ワタシは当時、(派手な)見かけによらず、かなりウブでした。男性経験ゼロ。ボーイフレンドはいっぱいいましたが。不快、いや違った、深い関係になった男性はいません。焦りました。

最後の一線直前で、彼を退き、『すんません、ワタシ、こういうことできません。』

まぁ、彼はマジメだったから、これまたラッキーだったんすねぇ。押しとどまってくれました。

・・・し、しかし。彼は、たぶん、これ、ワタシが『結婚するんでなきゃ、イヤだ。』って宣言と勘違いしたらしく。そん次のデートで、なんと。

結婚を前提として付き合ってくれ。』と、半ばプロポーズ状態。

この方とは、1ヶ月も付き合っていない。前提、なんか言われても。男性経験ゼロのワタシは、その当時、まだ22歳だし。困るよぉ。いいヒトだとは思うし。お付き合いはしたかったけど。いきなり『ケッコン』とか宣言されちゃうと。・・・つまり、それほどワタシは彼にぞっこんではなかったのだろうなぁ、なんて、今は思う。とにかく、及び腰になっちゃって・・・。『か・・・・、考えさせてくだだい・・。』と、その日は帰る。

考察; 彼に、例のご執心の彼女の話をしてみた。洗濯してくれてるの、知ってる? あなたのことが大好きなのよ? と。 彼は、『げっ・・・。すごい、それ、迷惑。』『なぜ?』『彼女・・・。俺のタイプじゃないよ・・・。』『どこが?』『俺、太った女って、・・・・。ダメ。』う〜ん・・・。つまり。外見重視? このヒト、派手なワタシの仮面に騙されてるわけ? 化粧を取った私の顔、知らないでしょう? 今は彼女と違う体系かもしれないけど。トシ取って、ぶくぶくになったら、捨てるつもり? 

後日。いろいろ考えた末。若者として、楽しくお付き合いするのではなく、ケッコン前提、だと、ワタシもツライし(いや。ワタシ、遊びで付き合ったことなんて、ないですよ。いつも真剣です。んで、結果、いろんな面が確認できて、ケッコン、ならいいのだけれど。やみくもに、いきなり『結婚』ちらつかされたのが、ちょっと不安だっただけです。)・・・。

『結婚前提だと。ワタシ、自信ありません。残念だけれど。今すぐ結婚したくてお嫁さん探しているのなら。ワタシじゃないヒトにして。ごめんなさい。』と言って、お付き合いをお断りしました。

週明け。まぁ、同じ職場ですから。見たくなくても見えてしまうワケで。ものすごい情緒不安定の彼。電話の受話器は投げつけるし。話かけるヒトにはつっけんどんだし。もう、職場中のヒトが、『H○さん、ど〜しちゃったんだろ。』って噂してる。答えを知っているワタシがひとり、ここにいる、って感じで。居辛かったですぅ・・・。ワタシ、会社辞めなくちゃなんないの? ったく・・・。って1日が終わるころ。自分の引き出し、その日初めて(確か、定規だか、なんだかが必要になったので)開けたら。ものっすごっいブ厚い封筒が・・・。

もちろん、この彼からでした。『今、酒呑んでます。』とか。『人生真っ暗です。』とか。『考え直してくれませんか。』とか。たんたんと・・・・。ワタシもツライのよ。あ〜たが間違った方向に導こうとしなければ・・・。

以来、ワタシは、社内恋愛に関して、思慮深くなりました。その数年後、同期の、これまた一番人気の彼と付き合いだすようになり、挙句の果て(彼はたぶん結婚を考えていた、ので、母親にワタシを合わせた)、このヒトは(たぶん、彼の母親がワタシを好きになれないと言ったので)私を捨てた(マザコン?)。でも、ワタシは、以前の教訓があったので。決して、ワタシを捨てた彼に辛く当るようなマネはしませんでした。通路ですれ違っても、にっこり笑って『オハヨウ!』って言う努力。

ウチの会社って、いろいろ組織替えをしてしまって、昔の組織とまったく違う編成になちゃってるのね。以前の職場の人たちは今どこに? って感じ。・・・で、最近のことなんですが。以前の職場にいたあるヒトが、今は部長さんなんですが。ワタシの職場にやってきた。偶然なんですが。ワタシを見つけて立ち止まる。

『知ってる? H○、結婚するよ。』

『へっ・・・。まだ結婚してなかったんですか? もう、結構、いいトシですよねぇ?』

『なに言ってんの、あんた。彼は、アンタにフられてから、女性不審になっちゃったんじゃないか、ってみんなで心配したくらい、女ッ気なかったんだよね(^^;・・・ってゆ〜か、なんで、部長がそんなこと知ってるわけ?)。今いる職場の事業部長にかなり気に入られちゃってさ。是非、頼むって言われて、事業部長の娘と結婚することになったって。20歳もトシ下だってさ。すげぇだろぉ。』

・・・・。どうも。おめでとうございました。しかし・・・。この職場の若い人たちは。そんな昔の話なんて知らないのよ。お願いだから、ここで、しかも、そんなデカイ声で、昔の話をしないでちょ〜だいっ!

(けど・・・。やっぱりっていうか。あのひと。女性の外見しか気にしてないのね。20も年下の♀に鼻の下伸ばしているんだろうか。っていうか。その話題性に満足して結婚決めたんだろうなぁ。きっと・・・。)