★ 過去の記録・Boys 4

あれは・・・。ワタシがまだ、横浜のあざみ野っちゅうところに住んでいた頃。田園都市線は、急行も止まらない(今は止まるみたいだけど)。マンション(風アパート)は、駅からバス。歩くと30分くらいのところ。

・・・で、ある日。初めて、あざみ野まで終電で間に合わないって時刻まで呑んでしまった。田園都市線は、とりあえず、最終の鷺沼止まり。あざみ野より2駅手前だ。あの日、雪が降ったのだよね・・・。だもんんで、当然、歩いてなんて帰りたくない。あの時間帯の鷺沼のタクシー乗り場を知らなかったワタシ。もう、それはそれは、すっげぇ〜〜〜〜〜ヒト。既に。

でも、並ぶしかないので。並びました。積もり積もった雪ん中。並んでるヒトの列に比べて、やって来るタクシーの数が、異様に少なかったように思いますが。

途中、白タクも来ました。乗客を募ってます。私は、早く帰りたかったので、思わず声をかけてしまいました。ワタシ、乗りたいです、と。

運転手が尋ねます。『姉さん、どこまで?』

『あざみ野です。』

・・・・シカトされました。近すぎたようで・・・。

あとどれくらい待てば私のタクシーは来るのだろう。もう、1時間以上は寒い中立っている・・・。

・・・んで、ワタシの前に並んでいたヤツ(ワタシと同じトシくらい)が振り返り、なんか話し出したのよ。

『寒いですねぇ・・・。』

『はぁ・・・・。」

『タクシー、ぜんぜん来ませんねぇ・・・。』

『ホントに・・・。』

『ボク、○通(会社の名前)なんだけど。』(自己紹介らしい。)

『へっ・・・? 商売敵ですね。ワタシ、N社です・・・。』(なんで、こんな告白を・・・。)

『えぇ〜? あ、そうなの・・・。最近、いろいろ、タイヘンだよね。この業界も・・。』

『はぁ・・・・。ワタシは技術屋さんじゃないもんで・・・。』

『なに? 仕事は?』

・・・・ったく。マジ、な〜んもすることなかったし。1時間以上もつっ立ってたし。話相手になっちゃった、っていうか。されちゃった、っていうか。ど〜でもえぇこと、タクシー来るまで話は続く。

2時間後。ようやく、ヤツの順番、タクシーは来た。さっさと帰れ! と思ったら、このひと、ジェントルマン?

ワタシに『どうぞ。』と言うではないか。いえ、結構です、どうぞお先に、と言ったのだが。

『いや、どうぞ。』と言う。・・・んじゃ、お先に失礼、とそのタクシー頂いた。

・・・が、お先、ではなかったのだ。コイツ、一緒に乗ってきやがった。・・・そういうことだったのか。相乗りね。ま、いっか。

・・・で、コイツ、勝手に運転手に『あざみ野、お願いします。・・・あざみ野だったよね?』

・・・・、あんた、誰? ボーイフレンドでもあるまいに。運転手にはど〜でもいいことだけど。

んで、アチシのマンション(アパート)の前で止めてもらって、そこまでの料金払って、この野郎に、
『どうもありがとうございました。』って言って降りたらさぁ。コイツ、一緒に降りて来ようとするのよ。何を言ったか、っていうと。

『ボクもここで降ります(と運転手に)。今夜は一緒に寝ようよ。キミのウチで。ね?』

うげっ!! ばっかやろぉ〜〜〜〜〜〜っ! こんなワタシにだって、選ぶ権利はありますっ! じょぉ〜だんじゃないよ。・・・いや。こいつ、見た目はそんなに悪くはないのね。けど、2時間くらい話とかしててさぁ。話し方から、話の内容から、オーバーアクションの『気障』っていうか、もう、ホンッと、身の毛もよだつ、ていうか・・・。冗談でも寝たくない男だったのよ。最初は、『えっ・・・。や、それはダメです。』って控えめに言ったのだけど。

『なんでよ。一緒に過ごそうよ。明日は土曜日。キミも休みでしょう?』

『あの・・・。わたし、まったくその気ないしぃ〜。困ります。このままお帰りください。』

『冷たくしないでよ。せっかくここまで来たんだしさぁ。』とか、なんとか。しつこい。仕方ないので、

『カレ氏が、もう、寝てると思います。こんな所に1人で住んでるワケ、ないでしょう?』

・・・と言ったら・・・。いきなり怒り出したのだ、コイツ。

『えっ? そういうヒトがいる、っていうなら、なんでタクシー乗ったんだよ。あんた、ヒトをバカにするのもいい加減にしろよ。』

はっ? なんでワタシが怒られなくちゃなんないわけ? 乗ってきたのはアンタだ、と記憶しているが。いや、どうぞ、って言ったのは、一緒に帰ろう、って意味だったのね。純粋無垢なわたくしは。お先にどうぞ、って意味だと思って乗り込んでいたのでした。

ワタシがバカなの? うぅ〜っ、気ィ〜持ち悪りぃ〜っ。 Yuck!!